2012年7月27日金曜日

日刊デジクリ[#3311] 映画について書き続けること…

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.3311    2012/07/27.Fri.14:00.発行
http://www.dgcr.com/    1998/04/13創刊   前号の発行部数 10042部
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      《環境はどれほど作品に影響を与えるのだろうか》

■映画と夜と音楽と…[554]
 映画について書き続けること…
 十河 進

■エンドユーザー大変記[30]
 不便なこともまた善きなり
 ジョニー・タカ

■ところのほんとのところ[82]
 所幸則第三期が始まる
 所幸則 Tokoro Yukinori

■セミナー案内
 第一回コンテンツ企業「Osaka ブランド形成」事業スキルアップセミナー
 関西ネットショップ大学

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■映画と夜と音楽と…[554]
映画について書き続けること…

十河 進
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20120727140500.html >
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〈瞼の母/真田風雲録/車夫遊侠伝 喧嘩辰/明治侠客伝 三代目襲名/
 沓掛時次郎 遊侠一匹/緋牡丹博徒 花札勝負/緋牡丹博徒 お竜参上」〉

●すべての本を購入したい国書刊行会は謎の版元である

今年の「ブックフェア」は、国際展示場で7月5日から8日まで開催された。僕
が勤めている出版社も出展したので、6日の金曜日と8日の日曜日に会場にいっ
てみた。6日は仕事優先だったから自社ブースを見た後、「電子書籍フェア」
だとか、「クリエイターズ・エキスポ」などを見てまわった。

その途中、各出版社のブースを詳細に見てみた。数年前、作品社のブースで高
い本を見付けて八掛けで購入したが、「ブックフェア」の一般客の目当ては書
籍の割引販売である。二割引は当たり前。最終日の夕方近くになるとスーパー
マーケットのタイムセール並みの安売りが始まるという。

そこで、最終日の午後に改めてプライベートでいくことにして、「本を読むシ
ェフ」ことカルロス兄貴を誘うことにした。メールすると「是非」という返事。
カルロスは人文社会系(思想、哲学、宗教、歴史など)の本が好みで、渋谷の
スペイン・レストラン「ラ・プラーヤ」の壁には、そんなジャンルの本が山積
みになっている。

カルロスと最初にゴールデン街のバー「深夜+1」で会ったとき、何者かわか
らなかったが妙に哲学的な用語を頻繁に口にするのが気になった。ソフト帽に
口ひげ、鋭い目つきをして片耳にダイヤのピアスである。堅気ではないと思っ
たが、スペイン・レストランのオーナー・シェフだとは想像できなかった。

その後、内藤陳さんの誕生祝いがカルロスの店であり、その店の壁に並んだ書
物に圧倒された。昔、新潮社から出ていたマルセル・プルーストの「失われた
時をもとめて」全巻揃いの箱入りセットが並んでいて、「これは凄いですね」
と声をかけた。三島由紀夫の「豊饒の海」全四巻箱入りセットも並んでいて、
どういう趣味してるんだ? と思ったのも事実だったけれど…

兄弟分の盃を交わすきっかけは、岡林信康の「友よ」という歌とタトゥーであ
る。カルロスは大阪市役所には就職できない身体で、両の二の腕にタトゥーを
彫り込んでいる。それもラテン語である。ラテン語を墨だけで彫っているのだ
が、そのタトゥーを見て感服し「友よ」を一緒に歌った後、「弟分にしてくだ
さい」と頭を下げた。

堺正章の「チューボーですよ」に二度も「スペイン料理の渋谷の巨匠」として
出演したほどのシェフだとは、兄弟盃を交わした後に知ったのだが、それより
実によく本を読んでいるので脱帽した。読書歴を話すと共通する部分はあるが、
今も思想書、歴史書、宗教関係の書籍などをよく読んでいて、「負けました」
となることが多い。

今年の「ブックフェア」で目についたのは人文書関係の版元のコーナーである。
ミネルヴァ書房、国書刊行会、みすず書房、勁草書房、法政大学出版局などな
ど、書店ではなかなか置いていない書籍がブースに並んでいた。五千円くらい
の本が二割引である。「こりゃあ、カルロスを誘わなきゃ」と僕は思った。

そんないきさつで8日の午後2時、新木場駅でカルロスと待ち合わせ、3時前に
会場に入った。まっすぐ人文書版元のコーナーをめざす。カルロスは法政大学
出版局の白を基調にした書籍の愛読者であり、さっそく「マリア」という宗教
関係の書籍を買った。その後、ふたりで国書刊行会のブースに入る。

国書刊行会は謎の版元である。すべての本を僕は購入したいくらいだが、その
日は下見段階で目を付けていた本があった。ビル・エヴァンスの奇跡のピアノ・
トリオのベーシストの伝記「スコット・ラファロ その生涯と音楽」と山根貞
男さんの「日本映画時評集成2000─2010」だ。合わせて7,770円。パチンコな
ら大当たりなんだけどなあ。

●「著者謹呈」カードと見返しにサインが入った映画の本

山根貞男さんの名前を知ったのは、たぶん就職した翌年のことだ。1976年、今
から36年前である。1939年生まれの山根さんは、まだ30代後半の気鋭の映画評
論家だった。なぜ、僕がその名前を知ったかというと月刊「コマーシャル・フ
ォト」という雑誌で映画評論の連載が始まったからである。

その連載を始めたのは、現在のデジクリ編集長である柴田さんだったと思う。
僕が入社したことで切望していたコマーシャル・フォト編集部に異動できた柴
田さんは、いろいろと新しいことを始めていたが、山根さんの映画評の連載も
そのひとつだったのかもしれない。見開き2頁の連載だったが、その頁は目立
った。

目立った理由は明確である。そこだけデザインのテイストが違ったからだ。そ
の頁は完全版下で入稿しているらしかった。特別な書体を使った写植文字が貼
り込まれ、独特のデザインが展開された。時評で取り上げた映画のスチールも
大胆な形でカットされていた。デザイナーの名前は鈴木一誌とクレジットされ
ていた。

鈴木一誌さんの名前は、山根さんとセットで憶えた。鈴木一誌さんは杉浦康平
さんの弟子だという。納得した。杉浦康平さんも独特のデザインをするが、そ
のテイストは鈴木さんにも引き継がれていた。20年以上も後、僕は鈴木さんを
取材するのだけれど、山根さんの頁のデザインをやっていた頃、まだ20代半ば
だったと知って唖然とした。すでに、鈴木さんのデザインは完成されていたか
らだ。

僕の手元に山根貞男さんの「映画狩り」(1980年11月発行)と「映画が裸にな
るとき」(1988年6月発行)という本がある。「映画狩り」を開くと、見開き
頁に藤純子の横顔が縦位置で印刷されている。表紙裏を上にして本を持ち直さ
ないと、「お竜さん」こと「矢野竜子」の凛々しい横顔は正しく見られない。

「映画狩り」を開くたび、その見開き頁を見て「ああ、鈴木一誌さんのデザイ
ンだなあ」と思うけれど、その見返し頁に銀のサインペンで「柴田忠男様 山
根貞男」と書かれてあるのを見て昔のことを思い出した。その本は連載担当者
だった柴田さんに山根さんが献本したものであり、それを僕が譲り受けたので
ある。

そのときの光景は、今も甦る。「ソゴーさん、あげるよ」と柴田さんは僕のデ
スクにきて、「映画狩り」を差し出した。表紙に「沓掛時次郎 遊侠一匹」の
中村錦之助と「緋牡丹博徒」の藤純子が描かれていた。僕は挟まれていた「著
者謹呈」のカードと見返しのサインを見た。「いいんですか」と顔をあげる。
「いいんだよ〜」と、30を過ぎたばかりの柴田さんが答えた。

●1976年「コマーシャル・フォト」から始まった山根さんの時評

「映画狩り」に掲載されている「コマーシャル・フォト」初出で最も古い文章
は、1976年12月号に載った「大衆を愚弄する映画」というものだった。「大島
渚監督『愛のコリーダ』と市川崑監督『犬神家の一族』が、同じ10月16日(19
76年)一般公開された」と始まっている。大昔の話である。

「映画狩り」には、「コマーシャル・フォト」で1976年から1978年まで連載さ
れた文章が再録されていた。その他には「キネマ旬報」「ムービー・マガジン」
「映画芸術」などに掲載されたものだ。あとがきで山根さんは「本書はわたし
のはじめての映画評論集であり、1969年から79年までに書いた文章で構成され
ている」と記している。

山根貞男さんの「コマーシャル・フォト」の連載を僕は見本誌ができるたび真
っ先に読んでいたが、その連載は当時のトップには不評だった。トップが嫌っ
た理由が僕にはわかった。「コマーシャル・フォト」全体のデザイン・テイス
トと鈴木一誌さんのデザイン・コンセプトが水と油で違和感があった。

その見開き頁だけが、まるで別の雑誌のようだった。杉浦康平さん(およびそ
の系列の人たち)は独特の肉厚な書体を使う。写植にも凝るから、専任の写植
オペレーターが本文さえ手詰めで打つ。その結果、本文部分に異様な濃度が醸
し出され、濃密な頁が展開されることになる。

当時のトップは映画好きでもあった。僕は映画に詳しいと思われていたので、
当時、社長室にいくとよく「今月の山根ナントカの原稿は読んだか」と不機嫌
そうに訊かれたものだ。「はい、いつも真っ先に読んでいます」と、へそ曲が
りの僕は答える。「どう、思う?」とトップはとりあえず僕の評価を確認する。

「面白いですねえ、あんな観点は僕には思いつきません」と答えると、トップ
は苦虫を噛みつぶしたような顔をして、「どこが面白いんだ。ひとりよがりじ
ゃないか。勝手なことを書いているだけだ。偏見に凝り固まった映画評だ。そ
うは思わんか」と、まだ50代で元気いっぱいだったトップは言う。

今から振り返れば、僕もフェアではなかったと思う。毎回、独特の観点で日本
映画を時評する山根さんの文章には感服していたし、そんな視点で映画を深く
見ることを教えてくれた山根さんだったが、一般的な観客が読んだとき、その
先鋭的かつ戦闘的な文章にはついていけない部分が確かにあった。

当時のトップは、ある意味で素直な映画好きであり、一般的な見方をする人だ
った。僕のような黒澤嫌いを標榜するへそ曲がりの映画マニアではなく、黒澤
明の作品群を名作(正しい評価です)だと素直に受け入れていた。僕のような
マイナー好み、B級映画びいきではなく、山田洋次が作るような正統的な作品
を評価した。

山根さんはマイナーな映画、B級アクションを高く評価するところがある。当
時も「最も危険な遊戯」(1978年)などを絶賛した。確かに村川透監督と松田
優作が組んだ「遊戯」シリーズはよくできていて僕も大好きだったが、一般的
な名作かと問われると「そういうレベルでの評価じゃないから」とムニャムニ
ャと口ごもる。

だから、父親と同じくらいの年齢だった当時のトップに、「あれがわからない
んじゃ…」という気持ちで「山根さんの原稿は面白いですよ」と、あえて逆ら
うように答えていた若き日の僕はフェアじゃなかったのだ。「どうせ、若い人
間の感覚はわからないでしょ」と最初から高をくくっていた。しかし、そうい
うことに気付くのは歳を重ねたからである。手遅れだなあ、まったく。

●山根さんは加藤泰作品を無前提的に評価したと感じるが…

山根さんの時評には共感することが多かった僕だが、首をひねることもあった。
それは加藤泰作品に対する評価である。山根さんは、加藤泰作品を無前提的に
評価した。加藤泰監督の最後の作品になった「炎のごとく」(1981年)を、そ
の年の邦画のベストワンにあげた映画評論家は山根さんだけだった。僕も加藤
泰監督と鈴木清順監督を神とあがめてはいたけれど、山根さんには「ひいきの
ひき倒し」を感じた。

「キネマ旬報」1982年2月下旬号に「1981年度ベストテン」が発表になってい
る。誰がどの作品に何点を入れたかわかる表組も掲載されている。山根さんは
「炎のごとく」に10点(つまり1位)、鈴木清順監督作品「陽炎坐」に9点(2
位)を入れている。その年のベストワンは「泥の河」、2位が「遠雷」、そし
て3位が「陽炎坐」だった。

僕の手元にある二冊目の山根さんの本は「映画が裸になるとき」で、これは
「コマーシャル・フォト」連載の二代目担当者だったHさんにもらったと記憶
している。柴田さんはHさんに担当を渡したのである。映画に対する知識や熱
意はHさんの方が上まわっていたから、Hさんは原稿を受け取りにいくと必ず
山根さんと話し込んでいたらしい。

そのHさんが担当した頃の原稿を中心に、「映画が裸になるとき」は構成され
ている。80年代に書かれた文章である。その本の第一部は山根さんが加藤泰監
督、工藤栄一監督と海外の映画祭に招かれたときのことを書いた文章でまとめ
られている。楽しそうな旅の話だ。

第三部は「加藤泰のために」と題された章で、「『炎のごとく』をめぐる断章」
と「最後の加藤泰」というふたつの長い文章が掲載されている。山根さんの加
藤泰監督およびその作品に対する深い思い入れが伝わってくる。加藤泰監督が
1985年6月17日に68歳でなくなったことから、その追悼と鎮魂の想いを込めた
評論集ではないだろうか。

第二部が時評の文章で、あとがきで山根さんはこう書いている。「IIは本書の
中心をなす部分で『コマーシャル・フォト』連載の時評を主に、年度総括、作
品論、エッセーなどが、ほぼ執筆順に並べられている。「コマーシャル・フォ
ト」の時評は、1976年1月から1984年12月まで9年間にもわたってつづき、わた
しはその間、成果のほどはともかく、その連載時評を書くことで自分の映画思
想を鍛えてきたつもりである」

その後、山根さんは日本映画時評を書き続けることをライフワークとする。19
86年10月からは「キネマ旬報」で時評を書き始めた。そして、先日、僕はブッ
クフェアで国書刊行会から「日本映画時評集成2000─2010」が今年の1月に刊
行されていたのを発見したのだ。図書目録には、近刊として「日本映画時評集
成1976─1989」「日本映画時評集成1990─1999」が予告されていた。

●加藤泰監督から直接聞けた貴重な言葉が記憶に刻まれた

山根さんが「コマーシャル・フォト」で日本映画時評を連載している頃、僕は
月刊「小型映画」という8ミリ専門誌の編集部にいた。1981年の春先のことだ
った。神とあおぐ加藤泰監督がひさしぶりに新作「炎のごとく」を撮ったとい
うニュースが届いた。僕は期待して試写会に出かけた。

「炎のごとく」は間違いなく加藤泰監督の作品であり、他のどんな監督にも表
現できない情感にあふれていたが、かつての加藤泰監督作品のきらめきには及
ばなかった。しかし、それは僕の期待が大きすぎたのだと得心し、新設した
「監督インタビュー」の頁に加藤泰監督に出てもらおうと、東宝宣伝部に連絡
した。

どんな大物監督でも新作のパブリシティ時期であれば、部数の少ない専門誌の
インタビューでも受けてもらえる。古巣の東映ではなく東宝の制作で「炎のご
とく」を撮った加藤泰監督に会うために、僕は日比谷の芸術座の上階にあった
東宝宣伝部を訪ねた。31年前のことだが、あのときの緊張感は今も憶えている。

高校生のときからの神だった。「瞼の母」(1962年)「真田風雲録」(1963年)
「車夫遊侠伝 喧嘩辰」(1964年)「明治侠客伝 三代目襲名」(1965年)
「沓掛時次郎 遊侠一匹」(1966年)「緋牡丹博徒 花札勝負」(1969年)
「緋牡丹博徒 お竜参上」(1970年)を監督した加藤泰が、僕の目の前に坐っ
ているのだ。

監督は肩すかしを感じるほど優しい人だった。伝説的な現場での厳しさはまっ
たくうかがえなかった。そして、最後に自分がいかにヘボな8ミリカメラマン
であるかと語ってくれた。監督は愛娘を8ミリカメラでずいぶん撮影したのだ
という。「それはスタッフには見せられまへん」と京都弁で笑った。僕の雑誌
へのサービス・トークだった。

改めて僕は神に心酔した。信者になった。信者になったのに、厚かましくも
「へぼな8ミリカメラマンに言いたいことを原稿にしませんか? 連載をお願
いできませんか」とつけ込んだ。監督は快く引き受けてくれ、インタビューが
載った次の号から、「ローアングルのキャメラアイ」という見開き連載が始ま
った。

加藤泰監督の連載が始まって数回が過ぎた頃、Hさんが「山根さんが『小型映
画』送ってくれと言っていた」と言う。山根さんは「加藤泰監督が連載を引き
受けるなんてホントに珍しい。資料にするから連載開始の号から送ってほしい」
と言ったという。「映画業界誌じゃなくて、アマチュア向けの雑誌だからじゃ
ないですか」と僕は答えたが、誇らしさがジワリと湧きあがってきた。

そのときの連載は、雑誌が休刊し10回で終了した。休刊した数ヶ月後、加藤泰
監督作品の特集上映と監督の対談がアテネ・フランセで開催されることを知り、
その控え室を僕は訊ねた。監督が笑顔で迎えてくれた。「すいません。連載途
中で…」と僕が頭を下げると、「惜しいことしましたなあ」といつもの優しい
喋り方で慰めてくれた。

控え室の少し奥で、その夜の対談相手である山根貞男さんが怪訝そうな表情で
見ていた。山根さんはスキンヘッドで、薄めのサングラスをかけている。以前
に試写室で見かけたときもそうだったから、それがいつものスタイルなのだろ
う。僕は挨拶をしようかと思ったが、監督も紹介してくれる様子がなかったの
で、そのまま部屋を出た。

数年後、加藤泰監督の訃報に接した。朝日新聞の記事には、「工藤栄一監督、
山根貞男氏ら親しい人たちと親族とで密葬」とあった。京都の自宅にうかがっ
たときの加藤泰監督が目の前に浮かんできた。叔父である山中貞雄監督の評伝
を執筆中だった。以来27年の月日が過ぎ去った。山根さんの著書を買うと、今
も加藤泰監督の思い出が甦ってくる。

【そごう・すすむ】sogo@mbf.nifty.com < http://twitter.com/sogo1951 >

僕のこの連載は、1999年の夏休み明けから掲載になったので、デジクリの夏休
みがくると「一年経ったなぁ」という感慨が湧く。夏休み明けからは14年目に
入ることになるのだけれど、いつまで続けられるかなと思うことが最近増えま
した。

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■エンドユーザー大変記[30]
不便なこともまた善きなり

ジョニー・タカ
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20120727140400.html >
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7月20日に群馬の実家に帰省して一泊した。暑くなるだろうという予想を裏切
り、見事に梅雨寒に戻ったかのような気候。ここまで気温のアップダウンが激
しいと身体に参るよなぁ…と思ったぐらい。

毎度のごとくネットブック持参で帰省したわけだが、さすがに去年と違うこと
がわかってきた。"未開の惑星"とまで揶揄されている群馬なわけだが、さす
がにスマホ&タブレットの波には抗えず、あちこちの家でも無線LANを常備す
るようになってきた。

その結果、去年はサクサクのスピードで表示されたネットの速度が、急激に遅
くなったのである。最大下り14MbpsのFOMA-HISPEEDでも、感覚的にはアナログ
64k並に低下した感覚だった。

どうして実家にネット環境を入れないのだ、と疑問に思う方もいるだろうが、
老いた祖母と叔父二人が住んでいるので、ある意味そんな環境など必要ないか
らなのだ。

では、高速のモバイルを導入すればいいじゃないか、ということで折角WIMAX
を契約したものの未だに実家周辺ではまだ未対応であるし、Xiに至ってはいつ
になるか分からない(横浜の自宅周辺でもまだ対応してないので最初から期待
はしていない)。

今のデータ通信用をXiに変えても、Xi未対応エリアだとFOMA-HISPEEDでの接続
になってしまうからだ。

驚いたのは横浜駅のヨドバシの入り口で、APが10個以上検出されてしまい、使
うはずのdocomo-wifiが全く電波を拾えなかったこと。店内での無線LANの大半
がWPA形式で、いわゆる公衆無線LANであるdocomo-wifiはWEP故、電波強度が当
然落ちてくるため、これも全く意味をなさないことも分かった。

現状だとAPを選り分けて通信するのは不可能である。濫発を招くと却って速度
や品質が反比例的に落ちてくることを分かっているのかなぁ、プロなのに…と
思ってしまう。

感覚的にはこの線が欲しいのに、目の前には10数本以上の線があって、手繰る
のだけで体力を消耗するのと同じだ。

しかしこの不便さが、かえってストレスを減らせることも分かった。自然に触
れる機会でもあったし、川の流れを聴きながら寝ることがリラックスできるこ
とも分かったので、こういうのもいいだろうと思った弾丸ツアーであった。

そして、帰りに水沢(伊香保温泉の手前)に寄ってもらうというドライブも満
喫できたが、天候が悪く、見事な霧。幻想的な光景が広がってはいたものの、
標高が500mの場所なので寒いこと寒いこと。山道でもあるので運転に慣れてい
ないと物凄く怖い。水沢うどんの名所である「大澤屋」でうどんを食した。
< http://www.osawaya.co.jp/ >
< http://yfrog.com/e3r92mj >

通されたのがこの第一店舗内の"岡本太郎の部屋"。岡本太郎が気に入ってい
た店で、部屋には岡本太郎から託された書や版画に囲まれている。うどんは久
々に味わう絶品であった。まぁ、家で茹でて食べるのもうまい、ということも
分かっているので1.1kgのお徳用をおみやげに買ったけれど。

それと高崎駅でたむらやのナチュラルチーズの味噌漬を買う。冷やして切って
から食べる時に常温に戻すと、フルーティーな香りと味噌の芳醇な香りが楽し
める。想像以上にしょっぱくないのもいい。
< http://www.tamuraya.com/ >

まぁ、いつもと変わらず、リフレッシュできた帰省でした。今年は去年より暑
さがストレートに来るようなので、皆様どうぞご自愛の程を。

【ジョニー・タカ】johnnytaka32(a)gmail.com

1976年、横浜・関内で生まれ、上州と越後の風を受けて育ち、来世でもFUNKを
踊り続けるフリーランサー。ヴァーチャル・キャラクターに曲を付けて選曲を
展開する"コンピレーション"を1998年から行っている。2012年はようやく発売
されたPSPソフト『フォトカノ』のコンピレーションを展開中(と言っても勝
手にやってるだけです。それを続けて14年目)。PS3でも『THE IDOLM@STER2』
が発売されたので、そちらの選曲作業も始めてます。
< http://music.ap.teacup.com/cafedejohnny/ >

(日常ブログ)< http://ameblo.jp/johnnytaka/ >
(ツイッター)http://www.twitter.com/johnnytaka1962/

○ついにキヤノンがミラーレスに参入してきたか…。
< http://cweb.canon.jp/eos/lineup/m/index.html >

デザイン的にはpowershotGシリーズを踏襲していながら、予想通りEFマウント
があること、多様なカラバリがないと売れないのも分かっているからか4色用
意していること、と様々な意味で最後発らしいスタートだが、価格がEOS kiss
のレンズキットより高いのが気になる。そして自分は、いつコンデジを買える
のやら…。

○そしてネットブックを起動するとデスクトップガジェットが表示されない…
そしたらいつの間にか提供が終了していた。早いよ!
< http://windows.microsoft.com/ja-JP/windows/downloads/personalize/gadgets >

元々Vistaの頃からあまりガジェットには力を入れてこなかったので(フリー
ソフトで充分代用が可能なため)8のmetroスタイルに早々と移行してもらうに
は打ち切ったほうが早いという結論か。

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■ところのほんとのところ[82]
所幸則第三期が始まる

所幸則 Tokoro Yukinori
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20120727140300.html >
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前回、前々回突然の休載、もうしわけありませんでした。

実は[ところ]は、自分の環境を変えている真っ最中です。渋谷のアトリエも、
渋谷区内ではあるけれど別のところに移動。そして実家のあるうどん県の栗林
町にも、制作のため、両親のためにもう一つのアトリエを準備中。

そういうことで本当に頭の回線がショートしそうなほどいろんな事を考えてる
時に、NYのギャラリストからのアメリカでの取り扱いのオファーや、スペイン
はバルセロナのギャラリーからの個展のオファーなども重なり、完全に[とこ
ろ]の一度に考える容量をオーバーしてしまったのです。ほかにもプライベー
トなことで、ここには書けないような難問も抱えていた[ところ]です。

渋谷のアトリエは、以前より駅に近くなったような気がする良い場所を見つけ
ることができました。来週にはネット環境も整い、完全に機能するようになる
のは9月初めくらいだと思います。

実家の近くのアトリエも、友人の優秀な建築家に依頼してつくろうとしていま
すが、予算のこともあるので、まだいつ出来るかは未定、なんとかしなければ。

渋谷はどんどん変わって行ってる真っ最中なので、遅れをとらないよう迅速に
撮影しなければいけないと、ちょっと焦り気味です。アトリエの位置が微妙に
変わったことによって、[ところ]の渋谷感も変わるんだろうか、ということ
も非常に興味深いところです。

以前のアトリエは「人情味溢れる渋谷の下町!」といったような場所で、一階
でした。今度は昔からの人はそう住んでないエリアの、10階建てのマンション
の10階です。眺めも凄くいい。実際、マンションに住むこと自体がすごく久し
ぶりで、どんな生活になるのか見当もつきません。

環境はどれほど作品に影響を与えるのだろうか。

といった具合なので、本格的にまたガンガン撮影を始めるのは8月の下旬あた
りになるかなあ。「渋谷1sec」を始めた頃が所幸則第二期とすれば、ここか
ら所幸則第三期になるのかもしれません。

【ところ・ゆきのり】写真家
CHIAROSCUARO所幸則 < http://tokoroyukinori.seesaa.net/ >
所幸則公式サイト  < http://tokoroyukinori.com/ >

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■セミナー案内
第一回コンテンツ企業「Osaka ブランド形成」事業スキルアップセミナー
< http://dcc-net.biz/event/index.html >
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20120727140200.html >
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大阪の内外を知る4名の有識者をお招きして、"中から見る大阪、外から見る大
阪"について、それぞれの専門分野からの観点でご講演いただき、コンテンツ
企業による新たなビジネス創出や、他業種との結びつきを強化することで、大
阪のクリエイティブ産業の競争力強化をサポートします。

第1回は、"次世代コミュニケーションプランニング"の著者でもある 株式会
社スケダチ 高広伯彦氏をお招きし、お話いただきます。
この機会に、新たなビジネスの創造、既存ビジネスの進展に繋がるヒントを得
る場としてご活用ください。(主催者情報)

日時:2012年8月2日(木)14:00〜
会場:大阪大学中之島センター 10階 佐治敬三メモリアルホール(大阪市北区
中之島4-3-53)
< http://www.onc.osaka-u.ac.jp/others/map/index.php >
講師:高広伯彦(株式会社スケダチ)
< http://www.mediologic.com/profile.htm >
参加費:無料(要事前申込)
申し込み:サイト参照

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関西ネットショップ大学
< http://www.netshopdaigaku.com/ >
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20120727140100.html >
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今年で3年目を迎える、ネットショップの高等教育を行う連続セミナーです。
8月10日(金)から毎月第二金曜日に全4回開催。各分野のプロフェッショナル
を講師にお迎えして、ECを事業として捉え、売上を上げるための方法を学び、
実践して行きます。
ネットショップをお持ちの方、これからネットショップを! と検討されてい
る方にオススメです!(主催者情報)

日時:2012年8月10日(金)〜11月9日(金)18:00〜21:00(全4回)
会場:クリエイティブネットワークセンター大阪 メビック扇町(大阪市北区
扇町2-1-7 扇町キッズパーク3F)
< http://www.mebic.com/access/ >
講師:河野武、住太陽、松尾茂起、あびるやすみつ、寿倉歩、伊藤富雄
参加費:各5,000円、セット16,000円(セットの受付は7月末まで)
申し込み:サイト参照

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編集後記(07/27)

●デジタルクリエイターズは、7月28日(土)から8月19日(日)まで、恒例の
夏季メンテナンス休暇に入ります。次回発行は8月20日(月)の予定です。

●暑い夏の夜はこれ一本で涼しくなる、かもしれないパニック・スリラー映画
「ピラニア」DVDを見た。この映画は3Dで上映されたが効果はあったのだろう
か。トップレスやビキニの若い女の子がいっぱい出て、それぞれがブルンブル
ンさせていたから、その立体感はみごたえがあったかもしれない。ビクトリア
湖畔シーズン恒例のイベントで盛り上がっていた人たちにピラニアの大群が襲
いかかって、阿鼻叫喚の地獄模様が展開されたちまち血の湖に、という分かり
やす過ぎるベタなストーリー。なぜ湖にピラニアがいるのかというと、湖底で
地割れが発生し、その裂け目から地下湖に棲息していたピラニアが湧き出すよ
うに出現したからだ。そのピラニアは200万年前に地球上から消えた生きた化
石であった。

なんて、とってつけたような理由がお笑いだが、獰猛な顔のピラニアが群れで
人間を襲うシーンは笑っている場合ではない。のだが、つい笑っちゃうような、
あの手この手の、これでもかこれでもかの残虐な殺され方(食べられ方)のオ
ンパレード。人体切断はあたりまえ。サービス満点である。警告を無視して水
に入るあきれたバカ連中だから(登場人物のほとんどがバカ)、痛い目にあっ
ているのを見ても同情しなくていいからお気楽だ。残虐シーンはリアルでグロ
テスクだから、そういうのが苦手な人は見ない方がいい。エロ、グロ、ナンセ
ンス、悪のりの極致。子供と一緒に見るのは厳禁だ。そして、みごとなラスト
シーン。感動的B級映画だ。今夜、もう一回見ようかとも思う。   (柴田)

< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B005QUVX1E/dgcrcom-22/ >
→アマゾンで見る(レビュー32件)

●デジクリサイトのRSS情報をTwitterに自動投稿するTwitterfeedで不具合。
今までは30分に一度、5件ずつポストされていたのに、先月末の日付を最後に
しなくなった。Twitterfeedだけでなく、サイトの設定を見直したりと、いろ
いろ試してみたがギブアップ。翌日、新しく登録しなおそうとして、RSS
(feedburner)のアドレスが「.jp」から「.com」になっていることに気付く。
そんなことって……。.comにしたら、何事もないように動き出しましたわ。

「Mozilla Factory」に参加してきた。今回は未成年者向けのワークショップ
で、教えるのは大学生ら。この「Mozilla Factory」は全世界でスタート。英
語が世界共通言語になったように、Webが今後担う役割は大きくなり、知らな
いでは済まなくなるだろう。デジタル・ネイティブの子供たちが、英語ベース
のWebの世界で羽ばたける土壌を作る。好奇心を輝かせ、翼を持たせ、企業と
対等に、社会進出も含めて後押しする。オープンな世界で、子供たちの発想が
イノベーションに繋がっていく。人と人が繋がっていく。

京都の町家。畳の部屋で、ほぼマンツーマン。時間内であればいつ来ても、い
つ帰ってもいい。やりたいことをする。わからないことは訊く。私たちの場合、
「Webmaker」からスタート。「X-Ray ゴーグル」で首相のページをハイジャッ
ク。「Thimble」でHTMLを学ぶ。「Popcorn」で動画にテキストや画像を入れる。
ツール自体は説明がなくても使いこなせる。普段使わないWindowsの、使った
ことのないアプリを電話でサポートすることだってある私である。今まで独学
でやってきたのだ。だから使い方を学ぶというよりは、このツール自体の完成
度の高さ、使いやすさを楽しみ、そして興奮する時間だった。これらを作ろう
と思った人すごい。題材をこれらにしようとした人もすごい。わかりやすい。
これがあったらHTMLの勉強は楽だよなぁ、おお、ここでこんな画面まで出せる
のか、これ、仕事にも使えるんじゃないのか、うぉーーー!! 教えてくれた
大学院生もすごくいい人で、彼ならどんな職場でも歓迎されそうだなぁ、なん
て思ったりもしたよ。とても楽しかった!

一足先に夏休み。どこかで読んだんだけど、人生80年なら、夏は80回しか経験
できないって。お元気で夏をお過ごしください。      (hammer.mule)

< http://feeds.feedburner.com/dgcr >  デジクリのRSS
< http://www.mozillafactory.org/ja/ >  Mozilla Factory
< http://www.mozillafactory.org/ja/about/ >  Mozilla Factoryとは
< http://www.mozillafactory.org/ja/webmaker/ >  Webmaker

< http://taisy0.com/2012/07/26/5617.html >
「Mountain Lion」の通知センターに「Growl」の通知を統合させるアプリ
< http://www.lifehacker.jp/2012/07/120726trackpadplusplus.html >
トラックパッド機能をWinでも使えるアプリ
< http://wayohoo.com/mac/tips/how-to-clean-install-os-x-mountain-lion.html >
OS X Mountain Lionをクリーンインストールする方法
< http://www.macotakara.jp/blog/index.php?ID=17203 >
OS X Mountain Lionに追加されたキーボードショートカット

< http://fordesign.jp/LOGO/ >
ロゴデザイン
< http://japan.internet.com/allnet/20120720/4.html >
スマホ利用率は3割強、20代前半女性だと6割弱
< http://www.nikkei.com/article/DGXNASGV24002_U2A720C1000000/ >
フェイスブック、広告主つなぎとめに尽力
< http://about.naver.jp/press/press_detail?docId=1279 >
「LINE」、登録ユーザー数が世界5,000万人を突破

< http://blogtimes.jp/blog/2012/07/19184.html >
ロンドン・パラリンピックのTV-CM。心に来ました
< http://matome.naver.jp/odai/2134327824989042101 >
RTされまくった人気ツイート10選
< http://sakusakumirai.blog.fc2.com/blog-entry-966.html >
女子を落とすための5つのルール。この人のまわりにはこういう女しかいない
イコール……ですね。
< http://www.youtube.com/watch?v=4i46D9DCdj4 >
サブウェイ「オーダーメイド彼氏 第1話」

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発行   デジタルクリエイターズ < http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/ >

編集長     柴田忠男 < mailto:shibata@dgcr.com >
デスク     濱村和恵 < mailto:zacke@days-i.com >
アソシエーツ  神田敏晶 < mailto:kanda@knn.com >

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2012年7月26日木曜日

日刊デジクリ[#3310] 同情するなら金をくれ

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.3310    2012/07/26.Thu.14:00.発行
http://www.dgcr.com/    1998/04/13創刊   前号の発行部数 10042部
情報提供・投稿・広告の御相談はこちらまで     mailto:info@dgcr.com
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        《のり弁1週間分でどうでっしゃろ?》

■ショート・ストーリーのKUNI[122]
 レタス
 ヤマシタクニコ

■歌う田舎者[35]
 同情するなら金をくれ
 もみのこゆきと

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■ショート・ストーリーのKUNI[122]
レタス

ヤマシタクニコ
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20120726140200.html >
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ある日夫は買ってきたばかりのレタスを調理台の上に出す。がさがさと音をた
てる透明フィルムをはがし、いちばん外側の葉をめくると、薄みどりのみずみ
ずしい葉があらわれる。

「なんて美しいんだ」

夫はそういいながら一枚、また一枚と葉をちぎりかけて、ふと手をとめた。

「おおい、これを見ろ」

言われた妻がそばに行くと、夫は興奮した面持ちで言った。

「まるでいまにも飛んでいきそうじゃないか」

調理台の上にはころんとまるいレタス。そのレタスの左右に、ひろげただけで
まだ根元をちぎっていない葉が2枚、確かに、翼を思わせるかたちでくっつい
ている。

妻は見るなり
「レタスが空を飛ぶなら大根は海を泳ぐわ」
そう言って洗濯物を取り入れに行った。

「あいつはいつもああだ」

夫はひとりごとのように言った。それからレタスをまっすぐ見つめ、斜めから
見、近寄ったり遠ざかったりして見つめては、にんまりとした。

「うん、見ればみるほど、これは空飛ぶレタスだ」

結局夫は夕飯にレタスは食べないことにした。予定変更。サラダはレタス抜き
だ。お酒を飲みながら

「おまえはどうしてそんなに夢がないのかねえ。いや、想像力というか。日常
を離れられないんだ。おまえにはおれみたいな仕事は絶対できないね」

「何よ。スーパーのパートで悪かったわね。デザイナーといってもたいしたも
 の作ってないくせに。だいたい仕事がないほうが多いのに」
「なんだと」

夫はむっとして口をつぐんだ。そのあとひと言もしゃべらず、おなかいっぱい
になるとぐうぐう寝てしまった。妻もなんだかむしゃくしゃするのでさっさと
寝てしまう。いや、寝てしまおうと思うが寝られない。薄暗がりの中でぐうぐ
う寝ている夫の顔をのぞき込むと、ぽかんと口を開け、子どもみたいな顔で寝
ていた。

「むかしと同じ顔してる」と思う。20数年前と。

それから妻が自分のふとんに戻り、仰向けに寝てあれこれ考えていると、思っ
た通りレタスがやってきた。レタスは2枚の葉をつばさのようにゆったりと動
かし、団地の六畳間の天井から40センチくらいのところを浮遊していた。

そしてやや高度を下げ、つばさで妻を招く。妻は当然のようにレタスに乗った。
レタスはそのまま窓から外に出る。団地の中を抜けると急浮上する。眼下に夜
景がひろがる。団地の中にまだぽつぽつと見えるあかり。オレンジの外灯が連
なる道路。ひときわ明るい駅前付近。

「きれいだね」
レタスは黙っている。
「あ、電車が来た」

闇の中をざーっという音とともに列車が駅めがけてやってくる。明るい窓の中
に立ち上がって降りる支度をする人たちが小さく見える。パジャマのままレタ
スの上に寝そべってそれらを見ているのは不思議な感覚だ。

寝そべっている? それはレタスが大きくなったのか自分が小さくなったのか
どっちかを意味している。まあいいさ。レタスはなんだか頼りになるひとの背
中のようである。自分がいつからかほほをゆるめ、笑みを浮かべていることを
彼女は知る。

「もっと遠くに行きたいわ」

そう言うとレタスはスピードを上げた。うすみどりの葉をはばたかせ、団地や
駅前を後に、どんどん進む。古墳らしき黒々とした森をいくつも過ぎ、光の帯
となった幹線道路を越え、ひんやりとした風が吹くほうへ。いつのまにか、下
にはなにもなくなっている。いや、そうではない。海の上なのだ。暗い水の堆
積がどこまでも広がっている。彼女は思わずレタスにしがみついた。

「こわい」

前方からなまあたたかい風が束になって吹き付ける。空には灰色と紫の雲が重
なりあい、途方もない大きさで彼女をうちのめす。ふとそばを見ると、夫がい
た。いつものしま模様のパジャマ姿で口をぽかんと開けて寝ている。

「むかしと同じ顔」

彼女がほほえみかけたとき、夫は一匹の青虫になる。
あっ。
声を上げることができなかった。なぜなら彼女も青虫だからだ。あたしたちは
空に浮かぶレタスの上の小さな2匹の青虫。そう思ったとき、目がさめた。

朝の光が差す台所の調理台の上に、レタスはゆうべのままいた。それを見てい
ると夫が起きてきた。

「あ、レタス」

夫は目をこすりながら、まだ半分寝ぼけた声で言った。

「それ・・・葉がしなびているだろ」
「ええ?」
「どうしてだか、知ってるんだ」
「そう? どうして、なの?」

「おれはゆうべ、レタスの上に乗って空を飛ぶ夢をみたんだ。あちこちね。そ
 れで、レタスはすっかり疲れ切って、しなびているというわけだ」
「ふうん」

「おまえはそんな夢はみないんだろ。そういう女なんだ」
「空を飛ぶ夢なんかありふれているわ」
「そんなことないさ」

「人間はむかしから鳥にあこがれてきたのよ。使い古されたイメージだわ」
「それは・・・永遠のあこがれだからだ」
「レタスに乗ってどこに行ったの?」

「いろんなところさ。古いお城とか、森の中とか。そして、妖怪が現れて闘う
 んだ」
「ひとりで?」
「もちろんだ。おれは孤高の騎士。供はレタス・・・何をしてるんだ?」
「レタスを水につけるの。またぱりっとなるように」

妻は青いプラスティックの洗い桶にいっぱい水を張り、つばさを持ったレタス
をそこに入れた。

「あ、青虫だ」

レタスの葉の間から2匹の小さな青虫が浮き上がってきて、彼女ははっとした。
夢の中と同じ。小さな小さな青虫。胸の奥がじいんとした。なのに口では別な
ことを言っていた。

「やだ。青虫なんて。捨てて」
「まだ生きてるじゃないか。捨てずに飼おう。そうだ、チョウになるかもしれ
 ない。チョウは美しいぞ」

「レタスにつく青虫はチョウにならないわ」
「うそだ」
「ほんとよ。レタスにつく青虫は蛾の幼虫なのよ」

夫は一瞬黙り込んだ。

「おまえはいつもそんなつまらないことを言うんだ」

【ヤマシタクニコ】koo@midtan.net
< http://midtan.net/ >
< http://yamashitakuniko.posterous.com/ >

ブログにも書いたように、現在歯医者に通院中。その発端となった「いきなり
歯が欠ける」というできごとは自分ではかなりの「びっくり」だったが、会社
のIさんに何気なく言うと「ああ、よくあるよね、歯が欠けるって。私、何回
もある」と顔色ひとつ変えずに言った。彼女は私よりずっと若い。これまで、
さぞかし苦難に満ちた人生を歩んできたのだろうと思った。

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■歌う田舎者[35]
同情するなら金をくれ

もみのこゆきと
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20120726140100.html >
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本題に入る前に、7/11デジクリ編集後記における柴田編集長の誤りを正してお
きたい。さつま白波と二階堂のCMについてである。

  薩摩藩在住の〈もみのこゆきと〉さんに、このふたつのCMどう思いますか
  と聞いたら、いきなり「焼酎はあきまへん。男らしくないわい。やっぱ男
  は芋焼酎でないと! わたしが好きなのは黒糖焼酎ですが」とのお答え。

正解は「麦焼酎はあきまへん」である。「焼酎はあきまへん」などと口にした
ら、「長渕剛は嫌いです」「西郷隆盛は嫌いです」に次いで、薩摩藩では即刻
袋叩きあるいは村八分にされることになっておるのだ。

このようなコピペミスをやらかすなど、もう柴田クンは薩摩藩を敵にしたも同
然である。生麦村で切り捨て御免にされたくなかったら、賠償金の1,000万や
2,000万、このわたしに振り込んでもらおうではないか。まぁ、楽しみにしと
きや。骨の髄までしゃぶりとってやるからな。ひひひひひ。……失業者は金を
むしり取るためなら、どんな因縁でもつけられるものなのだ。ふふ、相手が悪
かったな。

あ、ちょっと、そんな怖い顔せんといて、柴田はん。うそです、うそですって
ば。いや、そんな1,000万なんて冗談に決まっとりますやん。なんなら分割払
いでどうです? え、ダメ? ほなら大負けに負けて1万に減額しますわ、1万
に。あ、まだ怒ってはる。じゃ、のり弁1週間分でどうでっしゃろ? 320円×
7=2,240円で、ずいぶんオトクでっせ!

「あちらのお客さまからです」と、黒服を着た男がピルエットしながらのり弁
を差し出してきたら、そら惚れますわ、柴田はん!

                □■□

このような昨今でありますが、皆さま、いかがお過ごしでありましょうや。
さて、野田政権においては、先日、消費税増税を含む「社会保障と税の一体改
革」関連法案が衆議院で可決されたところでありますが、まことにもって生ぬ
るい。このような法案では生活に困窮するわたしを、いや、国民を救うことは
できない。

だいたい失業者だっちゅーに、健康保険や年金、市県民税と、お上という奴ら
は貧乏人から金をむしり取ることばかり考えておる。お上ばかりではない。一
般庶民の奴らも、大昔からわたしの金をむしり取り続けてきたのだ。

それは結婚式のご祝儀というヤツである。22歳を過ぎた頃から、顔を赤らめた
女子が「もみのこさん、わたし結婚することになりました。ぽっ」などと言っ
てくるたびに、雨の日も風の日も、ひたすらご祝儀を払い続けてきた。

22歳になれば少しずつ臆病者になる、という学説が谷村新司先生によって提唱
されているが、結婚にも臆病になっていただきたいものである。それにしても、
こちらとしては払うばかりで1円たりとも回収できていない。

もちろん、それだけでは済まない。次に来るのは「もみのこさん、オレ、今度、
父親になるんスよ。ぽっ」である。あぁ、逃げも隠れもしねぇ。出産祝いだろ、
もってけドロボー! ♪こんにちは〜あっかちゃん〜あなた〜の〜泣き〜声〜♪ 
こっちが泣きたいわ。もちろんこちらも1円たりとも回収できていない。

私の人生史上、最も極悪非道な輩は、結婚祝いを2回分、出産祝いを3回分むし
り取って行った男であろう。ここまでくると、もう犯罪者と呼んで差支えない
のではなかろうか。

いや、ぼ、ぼ、ぼくはもみのこさんと初めて会ったときには既に結婚もしてた
し、子どもも大きかったから、何もむしり取ってないと思うんですけど……と、
消え入りそうにつぶやくそこのお前。何を言うか。

お前、このあいだ死んだではないか。死んでわたしから香典をむしり取ったで
はないか。同罪である。草葉の陰からつべこべ言うでない。香典についても、
自分がまだ死んでいないから全く回収できていない。

わたしは常々考えていたのだが、このような不公平が許されていいのか。これ
では全くの払い損ではないか。テレビで「払い過ぎていませんか」と呼びかけ
る法律事務所の過払い金CMを見るたびに、電話番号を控えるべきではないかと
思う今日この頃なのである。

これはやはり人間同士の相互扶助の精神に鑑み、即刻改善すべきであろう。よ
って、わたしを救うため、新党「独身者の生活が一番」(ただしバツ無し子ナ
シに限る)を旗揚げし、下記のように法律改正を行うべく、政治活動に身を捧
げようと決意した。

●独身者救済法案

結婚式のご祝儀、出産祝い等に未納のない日本国民が、45歳を過ぎてもバツ無
し子無しの独身であった場合、ご祝儀、出産祝いの受益者は、その金額に年利
18%を上乗せして当該日本国民に還付すること。

だいたいな、このわたしが清貧な聖職者の如き禁欲人生を歩んでいる間、既婚
者の皆さま方は、帆かけ茶臼だの乱れ牡丹だの松葉崩しだのといった愉しい研
究に勤しんでいたわけでありますから、反省のひとつもしていただかないと困
るのである。え? なんのことかわからない? 清純なわたしにも全くわかり
ません。

しかしながら、一般庶民の皮をかぶった既婚者とは、なんと恐ろしい生き物で
あることか。やはり天下国家のためにも成敗しなければならぬ。

まずは新党立ち上げだ。「できるか俺に……できるさ」男の真ん中でいたいじ
ゃないか。……気分はすっかりMARK Xの佐藤浩市である。

梅雨も明けきらぬ某日、佐藤浩市気分のわたしは市街地に向けて車を走らせて
いた。とある曲がり角をカッコつけて左折したところ、物陰から赤いライトを
振り回して近づいてくるヤツがいる。警察官だ。

「ちょっとすいません。窓あけてもらえますか」
「はい、何か?」
「毎日お仕事お疲れ様です」
「いえ、お仕事ないから疲れてませんけど。このへんで事件でも?」

「あー、そこの角がですね、一時停止になってるんですよ」
「……は?」
「停止せずに来られましたのでね、ええ」

なんということだ! 成敗されるのはわたしの方か!

「あそこに停止線があることはご存じでしたか」
知るか、そんなこと!
「一時停止違反ということで、大変申し訳ないんですが反則金の方をですね、
こちらの振込用紙からお願いしますね」

申し訳ないと思うんだったら、反則金取るのやめんかい! ゴルァ。警察官ま
でわたしから金をむしり取ろうとするとは! わたしを誰だと思ってるんだ。
佐藤浩市じゃないぞ。恐れ多くも失業者だぞ! このハローワークカードが目
に入らぬか!

あぁ、わたしの夏目漱石が7人も財布から消えていく……。神よ、わたしをお
見捨てになるのですか。

♪まず〜しさに〜まけた〜
♪いえ せけんに〜まけた〜

神は死んだ。わたしも死んだ。警察官にまでこのような仕打ちを受けるとは……。
あぁ、7,000円あれば、のり弁が21.875個も買えたのに。お前ら、金に困って
ないやろ。その金をどうするというのだ。わたしの7,000円を返せ! 返して
くれ!

さぁ、和田アキ子先生、熱唱お願いします。
♪あの金を〜使うのは〜どな〜た〜♪

諸行無常。神様のなさることはまったく意味がわからない。

※「家なき子」安達祐実
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00005H1PI/dgcrcom-22/ >
※「22歳」谷村新司
< http://www.youtube.com/watch?v=SjGz5pTqRo8 >
※「こんにちは赤ちゃん」梓みちよ
< http://www.youtube.com/watch?v=1_cXrf6jBkk >
※「四十八手」(アダルト用語)
< http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%9B%E5%8D%81%E5%85%AB%E6%89%8B_%28%E3%82%A2%E3%83%80%E3%83%AB%E3%83%88%E7%94%A8%E8%AA%9E%29? >
※「男の真ん中でいたいじゃないか NEW MARK X」佐藤浩市
< http://www.youtube.com/watch?v=OlZCt2b84Wg >
※「昭和枯れすすき」さくらと一郎
< http://www.youtube.com/watch?v=y0r3Chud5Fc >
※「あの鐘を鳴らすのはあなた」和田アキ子×大友康平
< http://www.youtube.com/watch?v=gkv0z4lFUC0 >

【もみのこ ゆきと】qkjgq410(a)yahoo.co.jp

かつてはシステムエンジニア。その後、働くおじさん・働くおばさんと無駄話
するのが仕事の窓際事務員。失業生活4か月目。

7/24のGlowHairさんの番外編「パリの秘宝はアメリカの香り」を読んで、いっ
そ世界各地のストリップ劇場をめぐるレポートでメシを喰えぬものかと夢想中。
ついでに、わたしは誰がなんと言おうと長渕剛は嫌いなので、薩摩藩では透明
人間になって生きていかなければならないのである。

あ、もひとつ追記。Facebookの診断アプリを作ろうとしているのだが、どっか
にいい参考サイトはないものか。というか、ソースコピーでほとんど動いちゃ
うよ、みたいなサイト。XAMPPやEclipseの設定するだけで疲れ果てたでごわす。
とにかく早く作らねばならんということで、ただいま大パニック中。

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編集後記(07/26)

●サバイバルサスペンス映画「127時間」のDVDを見た。単独行のクライミング
の途中、大地の割れ目に落下した青年。運悪く岩石が落ちて来て、岸壁との間
に右腕を挟まれてしまう。右腕以外は動くので、脱出のためにいろいろトライ
するが、どうしても右腕を抜くことができない。究極の「決断」をして彼は脱
出に成功するという結果はわかっている。「彼の勇気が世界に感動を与えた、
奇跡の実話」だからだ。この映画を見る人は誰でも、その決断を予想できるは
ずだ。「ネタばれ」以前の話だ。意外に早い段階で彼はその方法を試してみる
が、安物の中国製ナイフでは果たせない。もしかしたら誰も考えつかない奇想
天外逆転ホームランな方法があるのかも、と期待したがやっぱりそれしかない。
もちろんそのシーンには目をそむけたけど。この陽気で身勝手な遭難者には感
情移入しずらいし、焦燥感もあまり感じられない。見る者をあきさせないしか
け(回想やら妄想やら)もあるが、わたしには退屈な94分であった。

久しぶりに黒澤明の「夢」を見た。たしか原発の爆発事故がエピソードにあっ
たと記憶している。初めて見たのはレンタルビデオかWOWOWか忘れたが、とに
かくはるか昔。ほかに覚えているのはトンネルで犬に吠えかかられる軍服姿の
寺尾聰と、水車の回る水郷に笠智衆がいたということくらいだ。いや、ゴッホ
も出て来たようだ。そこであらためて図書館からDVDを借りて見た。初見では
どう思ったか忘れたが、今回見てあまりの退屈さに怒りを覚えた。それでも早
送りせずに耐えた。全部で8つもの夢があったのか。「赤富士」が今日の原発
事故の予知夢であると絶賛する意見も多い。わたしはこのエピソードを映画と
してひどい出来だと思うが、いまはそう大声では言えないのだろうな。いやな
時代にいやな夢を見てしまった。                (柴田)

< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B007UVGL3M/dgcrcom-22/ >
→アマゾンで見る(レビュー54件)
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00007AJUL/dgcrcom-22/ >
→アマゾンで見る(レビュー35件)

●昨日、iTunesのインストールエラーについて書いたら、相子さんから、同じ
ようにはまりました、直接ダウンロードしてインストールすれば良いですよ、
と。ありがとうございます。読んでくださっているのが嬉しい!

昨日、すっきりした状態で、と書いた。ユーザ登録後すぐにApple IDによる
iCloudを設定した。ついうっかり、Safariのブックマークまでチェックしてし
まい、大量の未整理ブックマークまでずどーんと同期された。いや、便利だか
らいいんだけど。ブックマークって使わないよね、今や。ほぼ毎日行くところ
と、期間限定でしょっちゅう行くところ(仕事関係)と、メモ代わりにするぐ
らいしか。だって古い技術をブックマークを辿って行ってたら、不具合は出る
わ、新しいもっと良いものに出会えない。で、メモ代わりにしてるだけで消さ
ないもんだから、肥大しちゃう。

山ライオンが出た。FacebookやTwitterとの親和性があるので、サイトもそれ
用に強化していかなければなぁと思う。Growlはいらなくなりそう。Boxcarと
連携し、iPhoneにも通知されて便利なんだけど。音声入力やら何やらで、クラ
ムシェルモードはやめた方がいいのかもとか、純正アプリに戻す必要があるか
もなぁなんて思ったり。

Adobe系は今のところ問題なさそうだ。ScanSnapは対応済で、対応が遅れてい
るものは7月末には解決。使っているCanonインクジェット複合機のダウンロー
ドページにはアナウンスなし。ステアーマウスのサイトを見に行ったら、カー
ソルセンスなる新しいドライバが出ているではないか。トラックパッドのスピ
ードが変えられるのはいいね。              (hammer.mule)

< http://growl.info/ >  Growl
< http://boxcar.io/ >
BoxcarとGrowlを連携し、Transmitでのダウンロード終了をiPhoneに通知
< http://www.panic.com/jp/transmit/ >  Transmit。FTPアプリ
< http://www.apple.com/jp/osx/ >  動画がわかりやすい
< http://applech.info/mac-mountain-lion-app-issue/ >
Mountain Lionでの不具合、起動しなくなったアプリ等バグレポートまとめ
< http://plentycom.jp/cursorsense/ >  カーソルセンス

< http://ichitaso.blogspot.jp/2012/07/platinum-band.html >
iPhoneでSoftBankプラチナバンドの対象エリアか確認する方法。うちのエリア
は昨日からじゃなかったの(怒)! 対象エリアですってメール来てたけど、
まさか25日「より順次」対応とは思わなかったよ。最大二ヶ月待ち。
< http://www.apptoiphone.com/2012/07/miveu-iphone.html >
使い道考えてないけど、ちょっと欲しい。「MIVEU」iPhoneをウェアラブルに。
< http://www.app-life.jp/2012/07/45432/ >
言うアラーム 無料。コレいい!

< http://appscore.blogspot.jp/2012/07/mac8.html >
Macの動作を軽くするためにする8つのちょっとした事
< http://blogs.itmedia.co.jp/android/2012/07/android100-55a1.html >
Androidアプリで日商100万円達成した時にやったこと
< http://www.iphone-girl.jp/digest/181743.html >
iPhoneのスケジュールアプリ、18点紹介。Pocket Informantはなし。
< http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1207/26/news017.html >
日本人の"行列好き"に驚き。北欧雑貨店が休業に追い込まれる

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2012年7月25日水曜日

日刊デジクリ[#3309] 眠っていた何かのスイッチがオン

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.3309    2012/07/25.Wed.14:00.発行
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    《液タブを出して片づけてを一週間に一度くらい繰り返す》

■ネタを訪ねて三万歩[90]
 眠っていた何かのスイッチがオン
 海津ヨシノリ

■グラフィック薄氷大魔王[311]
 あらためて、液晶タブレットと板タブレット
 吉井 宏

■ローマでMANGA[54]
 アモーレの始まり
 midori

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■ネタを訪ねて三万歩[90]
眠っていた何かのスイッチがオン

海津ヨシノリ
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20120725140300.html >
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普段出向くことのない町に用事が発生した場合、可能な限り早めに出掛けて近
隣を散策し、スナップ写真を撮りまくるようにしています。新しい刺激の収集
という感じですね。

最近は特定の会社へ一定期間出向するような案件が増えてきており、そんな場
合は事前に色々な出掛け方や帰宅方法を検討し、目に入るモノを片っ端から撮
影しています。ただし、撮影しても実際にBlogやfacebookにアップするのはお
およそ全体の1%程度。面白いけれどもイマイチという場合は、再撮影または
思い切って没にしてしまいます。

ちなみに撮影はコンパクトカメラやマイクロフォーサーズのミラーレス一眼、
あるいはレンジファインダーカメラに完全依存しています。スナップ写真を一
眼レフでやると、威圧感が強すぎて誤解を招きかねないからです。些細な誤解
が大きな失態にすり替わってしまうのは怖いです。

さりとて、iPhoneでというのもまだ私には抵抗があります。お気軽すぎる感覚
に対する抵抗です。そんなわけで常時持ち歩く荷物が増えてしまったので、大
きなバッグに切り替えるようになりました。もちろん、飲み会や各種パーティ
ーなどでもカメラは大活躍します。

ただし、顔を撮影する場合は「ネットにアップしてもいいか?」の確認を取る
のが今のマナーですからね。教員からのパワハラと誤解されるようなことは御
法度です。そして、顔出しが駄目な場合は手の集合写真など、臨機応変にその
場の雰囲気を撮影するようにしています。

問題は日ごとに増える交友関係から、イベントや飲み会の招待が激増してしま
ったこと。もちろんすべてに参加する事は不可能です。ちょっと贅沢な悩みだ
と感じています。でも、スケジュール調整を工夫するのもまた楽しいひととき
なんですね。

楽しいひとときと言えば、今年も多摩美術大学造形表現学部デザイン学科の卒
業制作基礎審査会が先月行われました。私が関わっているデジタルコミュニケ
ーションコースでは、担当教員が合議の上で数名の学生を担当することになっ
ており、今年は4名の担当となりました。

しかも、そのうちの2名からは事前に逆指名を受けており、残りの2名も勝手知
ったる学生だったので、最初の緊張がほとんどない雰囲気でスタートすること
が出来ました。

あとはこの4名を集中してサポートするだけです。もっとも、既に5月の段階か
ら一部の学生とはfacebook上で公開対応していますので、気が付いている方も
多いでしょう。もちろん、担当外の学生からの相談も色々あります。

で、慣例として担当学生が決定したら、取り敢えず顔見せを行うのですが、今
年は初めから和気藹々でしたので、思い切って校庭でピクニックすることにし
ました。各自がお菓子を持ち寄って校庭で相談というわけです。

実は、私はこの学生達が入学したときから一部の学生と不定期に校庭ピクニッ
クをしていたので気になりませんでしたが、参加した学生はこんな体験をした
のが初めてであったのでかなり楽しんでくれました。彼女たちにとって、近場
にこんなにくつろげる場所があったことへの驚きの方が強かったかも知れませ
ん。ちなみに、彼女たちと明記しましたが4名の担当学生のうち、1名はイケメ
ン男子生徒です。

分かってしまえば当たり前なのですが、刺激や発見は遠くに出掛けなくても、
近くで沢山得ることが出来るのです。それは誰もが実は近場を意外と分ってい
ないからなのです。思い込みなどがそれに拍車を掛けていますね。

大切なのは、違う視線に立つ好奇心です。同じ視線は感覚を退化させます。同
じ町を徘徊するにしても、視線の位置を少しかえるだけで見え方が激変します。
見え方が違ってくると、こちらの反応も違ってきます。こうして眠っていた何
かのスイッチがオンになります。

あとはそれの繰り返しと、そこから生まれる連鎖反応ですね。今それがとても
楽しい状況です。次から次へと入学してくる学生達の、新鮮で斬新な発想と行
動はおじさんを激しく刺激してくれます。

もちろん学生とだけ付き合っているわけではありませんし、若いから刺激的と
いうわけでもありませんが、出来上がってしまった大人の多くは防御姿勢なの
で刺激を得ることは難しいですね。

ところが、中にはそうでもない人もいて、それがとても嬉しいのです。例えば、
ほぼ20年来の友人の一人と、ここ数年は毎年あるプロジェクトで一緒になるこ
とがあります。そして、会うと必ず刺激をもらいこちらのスイッチも入りっぱ
なしになります。何故かウマが合う感じ。こういった交友関係は大切にしたい
ものです。いつまでも良い関係で、ゆっくりと年を重ねていきたいと感じてい
ます。

でも。誤解を持って欲しくないのですが、若い人達からの刺激を受けるだけと
いうわけではありません。刺激を受けることで「忘れていた」あるいは「眠っ
ていた」技やアドバイスのスイッチが入り、結果として若い人達へのアドバイ
スというプレゼントが産まれるわけです。そのためには、若い人達にしがみつ
いてフットワークを良くしていないとダメかもしれませんね。

ダメと言えば、最近facebookでかなり不快なことが起きています。facebookの
細かいルールを読んでいるわけではないので、的外れなのかも知れないことを
はじめに断っておきます。

それは、プロやアマに関係なくネットで自身の作品を発表している人の作品を
「新しい写真をアップ」で自分の作品のように利用している人がいること。か
なり唖然としています。有名人でもそんな人を発見してしまいました。自分が
撮影した写真か否かぐらいは明記すべきだと思うのです。ましてや、自身でも
作品を作る立場の人がやっているのをみると凄い違和感を覚えてしまいます。

これは、フリー素材を生のままアップしている行為でも同じだと思います。モ
ノを造りだす立場の側が、これをやっちゃ恥ずかしいという意味です。

もちろん、これはリンクやシェアの話ではありません。リンクやシェアは出典
を明記しているわけですから、問題ないのは当たり前。ダマテンで自分の作品
のように使っている人の話です。有名人だとそれに3桁の「いいね!」が付い
たりして仰天してしまいます。

そんな中、私が8年ほど前に著書の中で紹介したアイデアに酷似したネタをア
ップした人を発見しました。どこの誰だか分かりませんが、気分は最悪ですね。
もっとも、こういった場合、誰が見ても100%同じでないと勝負は負けですか
らね。当然見なかったことにしました。

----------------------------------------------------------------------
■今月のお気に入りミュージックと映画

[Dance Tonight]by Paul McCartney in 2007(U.K.)
「アップル」という会社を作ったポールが、65歳(現在70歳)になり時、違う
「アップル」のCMに出演したときの曲。このCMのポールが凄くいいのですが日
本では放映されていなかったと記憶しています。

マンドリンを弾きながら歌い、ただ歩いているだけなのに、足取りも軽くて、
映像もすごく良くて、うっとり。「ダンス・トゥナイト」のビデオクリップに
使って欲しかったほどいい映像でした。実は、今月は私にとってポール月間な
のです。前妻リンダが撮影した写真集"Life in Photographs"を買ってしまっ
たからです。

[The Beatles The Beatles Live]by Beatles

いわゆるビートルズのライブ映像集。そして正規に購入していますが、完全な
海賊版です。本家は速やかに正式版をリリースしなければいけませんね。では
どうして購入したのかというと、1964ワシントンDC、1965NYCシェイスタジア
ム、1965パリ、1966武道館という内容だったからです。

特に武道館ライブ映像が入っているので思わず購入してしまいました。武道館
ではなんと11曲も歌っていたんですね。私はビデオ映像も含めて武道館ライブ
映像を一切見たことがなかったのでニヤニヤ状態。ただし映像はとんでもなく
品質が低く、Youtubeの最低画像より汚い映像に笑うしかありませんでした。

【海津ヨシノリ】グラフィックデザイナー/イラストレーター/写真家/
怪しいお菓子研究家

yoshinori@kaizu.com
< http://www.kaizu.com >
< http://kaizu-blog.blogspot.com >

先月末を以てAppleのMobileMeが10年の歴史に幕を閉じた。私もiWebで作成し
たページを持っていましたが、道連れとして自然消滅させました。どんなに便
利な機能であっても次々と新しい技術やデザインが入り込むコンピュータ関連
の世界で、10年持ちこたえたというのは奇跡に近いかも知れません。

それでもたかだか10年です。でも10年って長いですよね。だいたい10年も会っ
ていなければ誰だか忘れてしまいます。それも昔のパソコン通信時代のハンド
ル名しか分らない人はある意味致命的ですね。本当に「この人誰?」以上には
進展しませんので。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■グラフィック薄氷大魔王[311]
あらためて、液晶タブレットと板タブレット

吉井 宏
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20120725140200.html >
───────────────────────────────────
22インチと24インチの新しいCintiqが出ましたね。僕的には回転機構を残した
22インチがいいな。肘や手首を中心にペンを動かしたときの描線が絵の中の水
平になるように、紙をちょっと回して角度をつけておくと描きやすいのですが、
それを自然にできるのが回転機構。

24インチCintiqは新モデルのマルチタッチが便利かもしれないのはおいといて、
Adobe RGBをほとんどカバーする液晶は魅力的。他のディスプレイは廃止して
24インチCintiqだけで作業環境を作ることもできそう。

< http://cintiq.jp/ >

僕はといえば、昨日、最終的決心のもとにしまったはずの液晶タブレットを再
び引っぱり出してきて、30分後にまた片づけた(昨年末、スケッチ専用として
買った安い15インチのWACOM DTI-520UB)。

通常のペンタブレット=板タブで描いてて思うように描けないとき「液タブさ
えあれば!」って思っちゃうんだよなあ。それで、せっかく出した液タブをち
ょっと使って「う〜ん、やっぱ板タブのほうがぜんぜんいいや!」って片づけ
ちゃう。

今回は「最終的決心」の次の次だったので、自分でもアホらしいとは思いつつ
出してきたわけです。確認のため液タブと板タブの両方でしばらく描いてみま
したが、やはり同じ結論。僕には液タブはそれほど必要じゃない。板タブのほ
うが便利。と、片づける。

実は液タブを出して片づけてを一週間に一度くらい繰り返す。っていうのをこ
こ数ヶ月、何度も繰り返してるわけですよ〜。この液タブを購入以来、20回く
らいやってるんじゃないかな。

液タブはチャッチャカ描けるから、Painterで仕事してたときにはものすごく
重宝した。板タブのような遠隔操作を介さないから、板タブの3〜5倍速くらい
の体感スピードで描ける。仕事で2D絵を描くのがメインの人は液タブあったほ
うがいいです。「ホワイドンチュー液タブ使わないの?」って感じ。絵を描く
仕事のスピードに対する投資としては、激しくお得です。

僕は現在3DCGがメインなのでペンタブでの作業の大半は「操作」。「描く」の
はラフスケッチとテクスチャペイントくらい。でも大量に描くラフスケッチ作
業がクリエイティブの中では最重要と思ってるので、そこが液タブか板タブか
の迷いポイント。

で、液タブでは思い通りに描けるのは確かなんだけど、ツルツル画面は描きづ
らくて不快。ペンから伝わる摩擦の振動など感触も含めて「描く楽しさ」なん
です。ビニールなど各種透明素材を30種類くらい試したけど、満足には至って
ない。

描きやすさからツルツル不快を差し引かなきゃいけない液タブ。その点、板タ
ブは摩擦の調整し放題。LIONカッティングマットの感触が気に入ってる。細か
い部分を描くときは、何も敷かないほうが描きやすいこともあるけど。intuos
に何も敷かずにぜんぜん大丈夫の人は、ツルツルは気にならないと思いますの
で念のため。

ラフスケッチとかしてて、客観的に見れるのは板タブと普通のディスプレイを
使ってるとき。形を描くときも目で確認しながら描くわけだし。液タブでは画
面と目が近いこともあって客観的に見づらいし、手クセに引きずられてしまう
ことが多い。

あと、液タブを使うときはしがみつくような姿勢になりがちで疲れる。それと
ここ肝心なんだけど、近眼に老眼はいってくると、液タブを使う距離って微妙。
全体を見渡すにはメガネが必要だし、作業中はメガネは取らないとキツイ。

もうひとつの理由。24インチCintiqなどでかい液タブ一台で全部済ませられる
ように環境を整えれば問題ないけど、通常の液晶ディスプレイと並行して液タ
ブを使うと、当然机の上がほとんど占領される上に、ケーブルが何本も余計に
のたうつのが耐えられん。机の上には最低限のモノしか置きたくない。

などなど、とりあえず僕的に板タブのほうがいいや、という理由の列記でした。
ケーブルがのたうたないiPadやタブレットPCのような独立したデバイスなら、
スケッチ用補助として使いたい気持ちはあるけど、大きな液タブは今のところ
いいや、でした。

・余談1。最近、板タブで描きやすいと感じるのは、Photoshop CS6で無段階ズ
ームが非常に快適なのが割と決め手になってる。ズームが苦じゃないから、板
タブで腕を大きく動かして描けて快適なのです。

・余談2。ASUS Eee SlateというWACOMセンサー搭載のタブレットPC。リンクの
動画を見ると相当魅力的に見える。お絵描き系の人だったらこれ一台で仕事が
完結しそう。かつてのタブレットPCが正しく進化してる感じ。Core i5搭載な
のでパワーもある。12インチCintiqとほぼ同じ値段でPC内蔵ってことですね。
マイクロソフトが発表したsurfaceも良さそうなんで迷うところ。

3D人 -3dnchu- < http://bit.ly/uhTZ8U >
Eee Slate EP121 < http://www.asus.co.jp/Tablet/Slate/Eee_Slate_EP121/ >

【吉井 宏/イラストレーター】
HP < http://www.yoshii.com >
Blog < http://yoshii-blog.blogspot.com/ >

夜、川崎か羽田空港方面にオレンジ色にギラギラ強く光る何かが見えることが
ある。たぶん空港の灯台みたいなものだろうと思ってたけど、検索して謎が解
けた。「東燃化学川崎工場のフレアスタック」だった。フレアスタックっての
は石油精製の不純物を燃やす煙突とのことだそう。
↓こんなのが燃えてるんだもん、そりゃ明るく光るわ!
< http://shinshins.blog91.fc2.com/blog-entry-328.html >

●iPhone/iPadアプリ「REAL STEELPAN」ver.2.0がリリースされました。
「長押しロール」のオン・オフ切り替えスイッチを追加しました。
「オフ」ではレスポンスが速くなるので、素早い演奏が可能になりました。
REAL STEELPAN < http://bit.ly/9aC0XV >
●「ヤンス!ガンス!」DVD発売中
amazonのDVD詳細 < http://amzn.to/bsTAcb >

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■ローマでMANGA[54]
アモーレの始まり

midori
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20120725140100.html >
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●イタリアのマンガも日本へ入った

前回、日本のMANGAがイタリアに入った瞬間のことを書いた。
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20120621140100.html >

今回はイタリアのマンガが日本へ入った時のことを書いてみる。この時も、私
が率先してイタリアのマンガを日本へ入れようとしたわけではなくて、巻き込
まれたのだった。ずっとこうやって巻き込まれてきたので、自分からなにかを
立ち上げることなく来てしまった。今、もっと色々できたのに、と思ったりす
るけれど、これは別の話だ。

まず初めに、私とMANGAとイタリアと講談社を結び付けたい神様が、イタリア
の作家・イゴルト < http://www.igort.com/home.html > を自費で講談社に売
り込みに行かせた。

アーティスト精神に加えマネージング能力のある作家さんだから、下調べをし
て講談社に行ったにちがいない。当時、英語で答えてくれる部署を持つ、数少
ない日本出版社だったのだと思う。ボローニャの国際児童図書展で話をつけた
のかもしれない。

結び付けたい神様のせいで、イゴルトが講談社へ行った時、モーニングの編集
長が海外の作品を載せたいと、モーニングに描きおろしをしてくれる海外作家
を探してるところだった。

編集長の栗原さんは、私にイゴルトの話をし、編集部との間に立って「モーニ
ング海外支局」として外部編集の仕事をしてくれませんか、と願ってもない話
を持ってきてくれた。イゴルトにもローマに「外部編集者」がいるから、コン
タクトはそちらへ、と話をつけた。段取りを済ますと、イゴルトに担当編集者
をつけた。それが堤さんだった。

堤さんは、小林まことのMANGAの描き方のミニシリーズに登場した猫が面白い
と「what's Michael?」< http://p.tl/NH4D- >を誕生させ、原稿を取りに行っ
た先にあった同人誌から「鶴田謙二」< http://p.tl/O9jE- >を発見してプロ
にし、田中政志の初期作品「FLASH」に登場した恐竜の子に目をつけ、作者と
一緒に悩んで「Gon」< http://p.tl/80xE- >を誕生させたりの、私が天才編集
者と尊敬する人だ。

堤さんとイゴルトの間に入ってやり取りの翻訳をしたおかげで、作者のアイデ
アを編集者がどんなふうに作品に持っていくのかをじっくりと観察することに
なった。

●マフィアがテーマの作品「アモーレ」

イゴルトが講談社に売り込みに行った時、当然、作品企画を持参した。それが
「アモーレ」。その昔、ヒデとロザンナが「アモーレ! アモーレ・ミーオ!」
と歌っていたが、まさにそのアモーレ、愛がタイトルだ。と言っても恋愛モノ
ではない。社会派、マフィアがテーマの作品だ。

日本の文化圏が東西に分かれるように、イタリアでは南北に分かれる。イゴル
トは南に属するサルデーニャの出身で、南イタリアには独特のメンタリティ
「宿命」があるという。自分ではどうにもできない運命に流されていく。歴史
的に様々な異民族に支配されてきたことと無関係ではないと思う。

イゴルト自身もそんな宿命論に翻弄されているのか、それとも、サルデーニャ
からボローニャへ出ていってアートを仕事にしているから、運命は切り開ける
と言いたいのか。

マフィアはそもそも、コロコロ変わる異民族の支配、だから規則も変わり、異
民族支配だから被支配者のことは考えない…という状況(宿命?)から生まれ
た。マフィアの家族に生まれたら、マフィアと関わらないわけにはいかない。

主人公のマリオはマフィアのボスを父に持つが、そんな犯罪組織とは無縁に生
きていきたかった。恋愛と料理にうつつを抜かしていた間は良かったが、父親
が死ぬと、否応なくファミリーを統率していかねばならなくなる。

作者のイゴルトは、世の中に何か出すときには社会的責任がある。だから、自
分はマフィアを扱うときには、決して美化しない、と言っていた。そして、そ
の通りに、このマフィアのボスのファミリーの崩壊を描く。それと、南イタリ
アの宿命論。

イゴルトは当初、36ページくらいの読み切りのつもりで持ち込んだ。この時の
会話は編集長となのか、担当となのか、私には伝わっていないのだけど、こう
いう会話があったと後にイゴルトに聞いた。

編集部はイゴルとの企画を読んで、これなら100ページは必要ではないか?
と言った。イゴルとは、ちょっとびっくりして、200ページにもできる。と答
えた。編集部は、それならいっそ400ページの長編にできないか? と。そし
て、大河ドラマ「アモーレ」の企画が出発した。

●テクノロジーの進化とともに

イゴルトと編集部のやり取りはほぼ全部とってある。なにしろ、私を通さない
と意思の疎通がスムーズに行かないわけだから。「ほぼ」なところが捨てられ
ない病な割には、中途半端な私だ。このテキストを書くのを機会に、もうずっ
とやろうやろうと思っていたことを実行した。やり取りを全部スキャンして
DropBoxに放り込んだのだ。

一番古い日付は1991年8月21日。イゴルトから私に宛てた「手紙」だ。富士通
のワードプロセッサーで打って、点々で字が構成されている。30(36?)ペー
ジなのか、300ページなのか、の確認とともに、原稿料についての提案が続く。

その後私はFAXを手に入れ、イゴルト宛には、日本から持ってきていたオリベ
ッティのヴァレンタインで打ち、日本へは手書きで送信した。
< http://www.rakuten.co.jp/twinland/301056/1811715/1811929/ >

それからポータブル・ワープロへと進化した。ポータブル・ワープロは今のノ
ートブックよりちょっと大きめのワープロだった。ただ、画面が小さくて一行
しか表示されない。打った文章を記憶してくれているけど。だから、とりあえ
ず全文打ち込み、印字してみて変な文章や誤字を見つけねばならなかった。

印字はカートリッジテープ。これがなかなか馬鹿にならない消費なので、試し
の印字用には、使いきったテープを巻き戻して使用し、清書には新しいテープ
を使用するという工夫をした。その内、FAXの感熱紙を使うというアイデアを
得て、テープの消費を節約した。

話が進むうちに妊娠、出産をし、子供を見せに里帰りをした折に中古のMacの
PowerBook165Cを購入した。
< http://www.dentalx.jp/01product/develop/mac_otaku.html#pic9 >

AirMacなんていうのがある今から見れば、やたら重いnotebookだったけど、持
ち運び出来るコンピューターで、しかもカラー画面!! 内蔵HDは脅威の16MB!! 
GBなんてなかった時代の話。

ちゃんとフォントを選んでいたり、なぜかうまく行かなくて昔の富士通のワー
プロみたいな点々の印字なったりしながら、FAX通信は続く。どうも、出荷時
にすでに問題のあった機械らしく、何度も修理に出してすごく高くついてしま
った。そのせいで捨ててしまったのだけど、あの歴史的マシン、オブジェとし
てとっておけばよかったな、と、後悔している。

FAX通信の最終の日付は1996年9月10日になっている。その後は、Performa5200
< http://ja.wikipedia.org/wiki/Performa >を手に入れ、電話回線ながらイ
ンターネットでメールのやりとりに変わった。後のパソコンのHDが死んだりし
て、残ってないメールもある。

ちなみにこのマシンはまだ生きてる、というか、休眠中。電源につなげれば動
く。メールも残っているかもしれない。そのうち、サルベージに行こう。

イゴルトと編集者から受け取ったFAXは感熱紙だ。この頃、息子が生まれて腕
に抱えながら仕事をしていた。その息子が19歳だから、19年経った感熱紙なの
に、そこそこ読めるのがすごいなと思う。
< https://picasaweb.google.com/102936978768158289322/xEckIB#5767293895581120370 >

●日本の雑誌に掲載するということ

イゴルトはこの当時で、すでに20年のキャリアを持つプロだ。だから漫画家と
しての仕事の進め方は知っている。でも、日本の雑誌掲載は初めて。編集の方
もヨーロッパの作家と仕事をするのは初めてだ。

ここで、イゴルトも編集者も大いに戸惑いつつ作業をすすめることになる。ど
ちらも自分のやり方がスタンダードだと思ってしまうのは仕方がない。両者と
もそのやり方でずっとプロとしてやってきたのだから。

イゴルトのコマ割りは原稿をほぼ同じ高さに三段に分ける。コマの大きさが読
者の読む時間をコントロールする手段の一つであるMANGAの構成から見ると、
ちょっと異質ではあるけれど、編集者は意に介さない。このコマ割りでイゴル
ト独特のちょっと実際の出来事よりゆっくりしたリズム、回想シーンを見てい
るようなレトロな感じが、絵柄とよくマッチしている。

やり取りを読み返してみて、編集者が何度も何度も書いているのはページ数に
ついてだ。何度も32ページに納めてくれ、と書いている。イゴルトがハーフト
ーンを使いたいと希望したので、オフセット印刷のページを割り当てることに
していた。当時230円の週刊モーニングで、オフセットページは64ページあっ
た。これがコスト的にギリギリだそうだ。

週刊誌はご存知のように紙を重ねて半分に折って、真ん中を金具で止める。だ
から、オフセットページが64ページあっても、続けて配置されるわけではない。
雑誌を中央で開いた状態で右に32ページ、左に32ページ、その上に別の活版印
刷ページが載って、オフセットページを分けている。

この当時、オフセットページを確保していたのは、中国人作家・鄭問(ちぇん
うぇん)の「東周英雄伝」
< http://kc.kodansha.co.jp/content/top.php/1000001613 >
と田中政志の「Gon」
< http://kc.kodansha.co.jp/content/top.php/1000000361 >
だけだった。

それでも、どうしても32ページを超える回が出てしまうのであれば、モーニン
グは負担と危険を追うことになるが受け入れます、とまで言っている。それだ
け、編集部でイゴルトを買っていたことが伺える。実力を認めていたのだ。

何度も書いている、ということはイゴルトが何度も32ページ以上でネームを書
いてくるからだ。しかも、37ページという奇数で。ヨーロッパの場合、片起こ
しという決まりがないので奇数ページで構成するのは変でもなんでもない。見
開きで始まって、片ページで話が終わったりする。

イゴルトの方でも、構成と日本人読者の理解に関して悩んだ。自分の好きな構
成がミーティングで編集長にわかってもらえなかった。日本の読者にはわかり
にくい構成がいくつかあると指摘されたが、どういうやり方なら理解されるの
かわからない、とFAXに書いている。

わかりにくいと指摘された構成の一つは、「主人公とお目付け役の会話→その
時間帯に行われた殺人→殺人を告げるTVニュース→そのTVが主人公の部屋にあ
り、ニュースをBGMにベッドで恋人といちゃいちゃ」という構成で時間軸にそ
っている。編集長は殺人場面を主人公の回想場面と解釈した。

つまり、MANGAでは主人公の感情にそって構成していくので、読者が見る場面
(作家が用意する場面)は主人公になにかしら関係があるものと考えながら理
解しようとする。ヨーロッパマンガは「何が起こったのか」を語るのが大事だ
から、時間軸のみに添って話をすすめるのは不思議でもなんでもない。

この構成のしかたの疑問を呈したFAXは1993年2月4日の日付がついている。イ
ゴルトの最初の手紙を受け取ってから、すでに1年半だ。問題の場面は第二話
に出てくる。つまり、第二話のネームを基に話をしている。

講談社に持ち込んだ30ページの第一話はやり直しにやり直しを重ねて、イゴル
トも編集も納得の行くまで詰めに詰めた。編集のダメをこれだけ受け入れたヨ
ーロッパ人作家は他にいないのでは、と思う。

日本人読者にわかりにくい構成をした場面は、その後、「主人公とお目付け役
の会話」と「その時間帯に行われた殺人」の間に、見開きでパレルモの大聖堂
を入れ、マフィアの一人が殺人の舞台になるアパートの階段を上がっていくシ
ーンを挿入し、それに合わせて他を構成しなおして32ページにまとめ、殺人が
主人公の回想シーンではなく、別に起こった出来事なのだと日本人読者にもわ
かるようにした。

そして、アモーレの制作はまだ続く。

【みどり】midorigo@mac.com

毎年恒例で、6月の半ばに息子の学校が夏休みに入るとバカンスに行ってしま
う。今年は6月の4週目と7月の最初の週の二週間。初めて訪れる土地、クロア
チアへ行ってきた。昨年から寡夫となった海好きの舅と一緒に行く。舅がTVの
旅番組を見て「クロアチアって海がきれいなんだよ、行ってみたいね」と言い、
高齢でいつまで動けるかわからない父親を喜ばせようと、旦那が企画した。

ただし、使えるお金が充分ではないので、アンコーナから出るバカ高いフェリ
ーでの近道ではなく、延々北上し、国境の町トリエステからスロベニアを経て
入るルートをとった。874キロ。ローマ・東京直行便が12時間のフライト。我
らが1000ccに満たないちびカーで、天井に荷物入れをくっつけての走行は14時
間だった。

リアス式の岩ばかりの海。透明度が高く綺麗な海。海上からしかたどり着けな
い貸家はネットにも繋げられず、帰宅してからは溜まった仕事を片付けるので
日本の状況を見聞きする暇が殆どなくて、実に精神状態良くすごしている昨今
です。

主に料理の写真を載せたブログを書いてます。クロアチアの写真はまだ載せて
ない。
< http://midoroma.blog87.fc2.com/ >

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集後記(07/25)

●黒野伸一「限界集落株式会社」を読む(小学館、2011)。タイトルからの想
像では限界集落テーマのリアルな小説かと思ったが、帯には「逆転満塁ホーム
ランの地域活性エンタテインメント!」とあり、カバーのイラストを見れば深
刻な話ではないことがわかる。まさしく、サクセス&ラブストーリーの楽しい
内容であった。1/5くらい読むと先が予想できて、ほぼその通りにいくのだか
ら安心である。そんなうまくいくものかねえ、という気もしないではないが。

自分自身のリセットのつもりで、祖父の田舎・止村にやってきた元エリート銀
行員の主人公・多岐川は、いきがかり上、限界集落になっている止村を復興す
るために営農組織の連名代表になる。もう一人の代表は野菜作りが大好きな農
家の娘・美穂。新自由主義を信奉するアメリカ型経営者VS現場至上主義者の思
想上の戦いが始まるが、あとはお約束通りの展開だ。はからずも農業という典
型的な不採算事業に乗り出した多岐川は、さまざまな戦略で思わぬ利益を村に
もたらす。就農研修に来た三人の男女は、農作業では使い物にならないが、多
岐川は彼らをPR・営業部門に選抜し能力を開花させる。

二年後、営農組織を法人化してさらなる事業拡大めざすが、思わぬトラブルで
資金繰りのピンチ。それもテンポよく解決してハッピーエンド。380ページの
長編だが抵抗なくスルスル読めて気持ちいい。それぞれのキャラが立っている
ので(わかりやす過ぎるけど)、漫画やドラマにしたらもっとおもしろくなり
そうだ。巻末にあげられた19冊の参考資料も興味深い。消夏の一冊としておす
すめである。                         (柴田)

< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4093863156/dgcrcom-22/ >
→アマゾンで見る(レビュー6件)

●MacBook Proを買った。Retinaではない。迷いに迷って全部入りにした。13
インチのi7のもの。メモリ16GB、480GBのSSD。これで虹色くるくる(あれ、ビ
ーチボールだったのね)から開放されることを祈る。今回は自分で増設・換装
せず、ショップでやってもらった。いつも自分でやっては、取り出した方を売
ることもなく持て余しているからだ。たぶん今日には新しいOSが発売されるだ
ろうから、それまでに欲しかった。手元にはLIONの入ったものがないので、一
応経由しておこうかなと。Retinaにしなかった理由は、普段は外付けディスプ
レイを使っていることと、13インチが欲しかったこと、まだFirewireを使った
外部装置が多いことなど。店頭で見比べて、そのきれいさに心が動かなかった
わけではない。もし13インチがこの時期に発売されていたら買っていただろう。

立ち上げてユーザ登録。反応が若干早いような気はするが、これは裏で動いて
いるアプリがないからかもしれない。メモリとSSDを確認。まずはソフトウェ
アアップデート。なぜかiTunesのアップデートでエラー。二度試したけれどダ
ウンロードしたデータが壊れてるとか何とか。次にDropboxのインストール。
同期に時間がかかるからだ。インストールして同期を始めたら「30日」と出た。
5時間経って、今は5日〜15時間をうろちょろ。今日は持って出る予定があるの
で、軽い新製品をと思っていたけれど、整備に時間がかかりそうだ。今回は、
移行アシスタントを使うのをやめた。必要なものを必要なだけ、随時入れてい
くつもり。そう考えていたって、試しに入れたアプリやら、気まぐれでダウン
ロードした画像なんかが溜まっていくんだし。       (hammer.mule)

< http://www.kitcut.co.jp/onlinestore/floor/mac/Apple_MacBook_Pro >
見積もりをとる行程が不要なのでここにした。メモリ16GB載せられるし。

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発行   デジタルクリエイターズ < http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/ >

編集長     柴田忠男 < mailto:shibata@dgcr.com >
デスク     濱村和恵 < mailto:zacke@days-i.com >
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2012年7月24日火曜日

日刊デジクリ[#3308] ビッグウェーブこわい

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.3308    2012/07/24.Tue.14:00.発行
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       《変態は犯罪ではないからだいじょうぶなのだ》

■アナログステージ[80]番外!?
 拝啓、後記から失礼いたします
 べちおサマンサ

■Otaku ワールドへようこそ![番外]
 パリの秘宝はアメリカの香り
 GrowHair

■デジタルちゃいろ[19]
 ビッグウェーブこわい
 browneyes

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■アナログステージ[80]番外!?
拝啓、後記から失礼いたします

べちおサマンサ
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20120724140300.html >
───────────────────────────────────
【べちおサマンサ】pipelinehot@yokohama.email.ne.jp
某ナノテク業界の技術開発屋。NDA拘束員。
< http://start.io/bachio > ←まとめ

○すみません、今回は急遽、名古屋へ出張となってしまった故、本文を書く時
間を削られてしまった都合上、後記のみで失礼いたします。したがって、本文
(メイン)はない。なぜ本文がないのか。それは時間がないからだ。それだけ
なのだ。ゴメンなさい。

もう、失礼極まりないのは重々と承知しておりますが、喉に魚の小骨が残った
ような、中途半端なコラム書くくらいなら、潔く、後記だけで終わります。し
かし、ニセJKが登場ってことなので、もの凄く楽しみだったり、うふふふふ。

○記憶に残っている2週間の出来事→前回、ここはもうやめる! って書いたら、
久多(@麩羅画堂)さんから、「だっていかれ具合が半端でないもの。そんな
ベチ様が好きHARTあっはっは」と、『やめないでぇ』コールをいただいたので、
継続することにw 隅まで読んでいただいて、ありがとうございます! 感謝!
/ということで、記憶に残っている2週間の出来事は→鎌倉へ簪を買いに行く
(もちろんカミさん用)ついでに少しフラフラ→渋谷で軽く立ち飲み。ハシゴ
ついでに寄ったセンター街にある某中華料理店にトキメク。

○今回のオイラだけの音楽

パンパカパーん! ついにパクりデビューだぞ。オイラパワーが本領発揮でき
る場所かもしれないと、密かに自分に期待していたりもする。今回は初回なの
で、オイラの音楽バックボーンから簡単に説明すると…… たぶん、説明だけ
でデジクリ10回分を費やしてしまう可能性があるので、サラっと書くと…

母親の影響で、OLDIES関連は全部、プレスリーも全部、BEATLESも全部、越路
吹雪も全部叩き込まれている。しかし、小学生のときにZEP(Led Zeppelin)
を聴いてから毛色が変わる。中学生に入ると、HR/HM一辺倒に。次第にギター
のザクザク音が加熱して、スラッシュメタル→デスメタルに移行。いまは素敵
なグラインドコアファンシャーとして完熟。中でも、BRUTAL TRUTHとNapalm
Deathが大好物。

OLDIES系では、ガールズポップは今でも大好きで、コニー・フランシス、シュ
ープリームス、ロネッツ、パティ・ペイジ。ヒットは一曲だけ(The Loco-
Motion)だったけど、リトル・エヴァとか。ジャンルは外れるけど、エラ(フ
ィッツジェラルド)や、サラ(ヴォーン)、ヘレン・メリルなどのJAZZシンガ
ーも好き。ビバップ好きってのもあるんだろうけど、ビリー・ホリデイだけは
触手が動かず。特にエラとコニーにいたっては、カラオケで涙を流しながら熱
唱するほどの生粋のファン。

それで。今回は、いきなりグラインドコアに走るのではなく、オイラ自身、
LIVEでよく演って遊んだりする『CREAM』をチョイス。ご存知のかたはご存知
のCREAMですが、知らないかたに簡単に紹介すると、クラプトンとジャックと
ジンジャーが三人で、スタジオでセッションして遊んでいる延長線のような面
白さ抜群のバンド。

なにはともあれ、まずは『Crossroads』。アルバム、『WHEELS OF FIRE』でお
馴染み、ロバート・ジョンソンのアレンジ曲ですが、クラプトンだけでなく、
三人が三人で楽しく弾き遊んでいるのがよく分かる曲。ちなみに、アルバムも
下記の映像もアドリブ。
< http://www.youtube.com/watch?v=becWr0vc6cA&hd=1 >

途中、変なワイプが挿入されているのと、3:36あたりからジンジャーが酸欠の
金魚みたいに、口をパクパクさせているが気にしたらいけない。とにかくアル
バム、映像とともに歴史に残る一曲なのは間違いない。紹介ついでに、ロバー
ト・ジョンソンの『Crossroads』はコチラ↓
< http://www.youtube.com/watch?v=Yd60nI4sa9A&hd=1 >

そして、オイラの中では絶対に外せないCREAMの曲は、『I'm So Glad』。たま
ーに、コテコテブルースセッションでLIVE演るときに、欠かせない一曲になっ
ており、AメロBメロ以外はすべてアドリブの、演る側も聴く側も、非常に面白
い一曲。

現に、CREAMもこの曲は演奏時間がいつもバラバラで、調子(調子ってよりは
機嫌が良いときなんだろうけど)良いときと、調子悪いときの差がハッキリ分
かる曲。オイラも、LIVEでご機嫌になって、最長で30分くらいアドリブで遊ん
だ記憶がある。
< http://www.youtube.com/watch?v=0Yi7AJvzRUA&hd=1 >

オイラのmixi動画ログ(友人限定だけど)に、とあるスナックで即席バンドで
遊んだときのCrossroadsとI'm So Gladの動画が残っているので、興味あるか
たはドゾ。9割ちかく完成された酔っ払いの演奏だけどね。

うーん、しかし、音楽ネタや食べ物ネタっていうのも、ヒトによっての好みが
まったく違うわけだし、書きかたも難しいですね、ホント。購入したCDとかの
レビューとかに収まりそうな臭いもしたり。

それではデジクリ読者の皆さま、楽しい夏期休暇をお過ごしください。ムスメ、
ムスコと一緒に遊べる貴重な時間ですぞ。暴雨中に川でBBQやって、中洲に取
り残されてヘリで救助されたとかないように、ぜひとも満喫してください。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■Otaku ワールドへようこそ![番外]
パリの秘宝はアメリカの香り

GrowHair
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20120724140200.html >
───────────────────────────────────
黄金色に輝くという伝説のエルドラドの秘宝をばわが手をもって発掘せんとの
高邁な志に牽引されて、遥か地球の裏側、アルゼンチンの首都ブエノスアイレ
スまで赴いたもみのこゆきと氏に敬意を表して本稿を捧げるものである。

幾多の旅人が捜し求め、血みどろの争いを繰り広げるも、誰ひとりその手に秘
宝を掴むことかなわず力尽きて斃れたという伝説の黄金郷エルドラド。その在
り処としてもみのこ氏が天啓を得たのは、アンデスの峻烈な山や谷でもなけれ
ば、アマゾンのジャングルでもない。南米のメトロポリスの片隅で妖しく踊る
マッチョなガイのパンツの中。あれ?

●これまでのあらすじ:始まりは浅草だった

人形作家さん二人とともに、人体美の研究にと浅草ロック座に赴いたのは'10
年1月17日(日)のこと。22日(金)の当コラムのプロフィール欄でごく簡単
にレポートしている。
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20100122140100.html >

薩摩藩士であるところのもみのこゆきと氏は、ここに花のお江戸の文化研究の
ヒントが隠されているのではないかと直感され、同年秋に上京された際、果敢
に赴いている。その模様は '10年11月12日(金)の「歌う田舎者」連載第17回
に詳述されている。題して「わたしの初体験」。
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20101112140100.html >

のみならず、ブエノスアイレスを訪れた際には、男女共同参画社会を実現すべ
しとの高邁な理念に則り、男子禁制の「イケメン男子ストリップ」をレポート
しているのである。'12年5月31日(木)、連載第33回。題して「ご旅行は計画
的に ─エルドラドの秘宝─」。
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20120531140100.html >

さて、このたび私はフランスの首都パリへ旅する機会を得た。海外に出ること
などめったにない私は、文化研究に余念のないもみのこ氏に研究の素材情報の
足しにでもしていただけたらと、この機を逃さずかの地の事情にも探りを入れ
てきた次第である。

本題に入る前に、かような興業を見学することが、比較文化研究にいかに有用
であるかを示しておきたいと思う。米国西海岸を例に挙げよう。

●ハリウッドの騒がしい掛け声

'94年だったか、当時の同僚と二人でアメリカ西海岸へ行った。二人とも初め
ての海外旅行であった。行ったからにはアメリカ文化のヒダの奥まで見てこな
くてはなるまいという高邁な探求精神の下、ハリウッドの裏通りで通りがかっ
たお店に、勇気を振り絞って入ってみたのである。

ここに、日米の文化の差異がはっきりと現れていた。まず、日本のストリップ
ショーでは、ほぼ例外なく(← 全部見たんかい!)、ステージからキャット
ウォークが突き出てT字になっている。客席は、映画館のように縦横に整列し
て据えられている。

一方、ハリウッドのは、ステージがビリヤード台のように四角くて、それを取
り囲む形でバーのカウンターのように一層だけ席が設けられている(つまり全
員かぶりつきで、後方席というものがない)。ステージから天井まで垂直に鉄
棒が何本か延びている。それにからみついて、くねくねするわけですね。あの
鉄棒くねくねがいかにもアメリカ〜って感じしませんか?

映画 "Striptease"(1996)(邦題:「素顔のままで」)でデミ・ムーアがやっ
てましたね。ちなみに、ストリップショーは、英語では "striptease" とも言
います。あの原題は、そのまんまなわけです。

ウェイトレスがいて、飲み物を注文し、飲みつつ踊りを鑑賞する。入場料と飲
み物代を足しても、日本の入場料よりも1,000円ばかり安かった。だが、アメ
リカにおいては、お客が踊り子に1ドル札をチップとして渡すという慣わしが
ある。あの映画でもやってましたね。踊り子のパンティーの横紐に挟んでいま
した。

日本より1,000円も安いんだから、その分ぐらいはチップで還元しておこう。1
ドル札を6枚使い、細い棒に丸めたのを「く」の字に曲げて、"XXX" をかたど
って、舞台に置いた。これが気前よく映ったか、たいへんウケて、他のお客を
そっちのけで、目の前の鉄棒から動かずに、ずーっと踊っていてくれた。

文化の違いが最も顕著だったのは、お客の鑑賞姿勢である。日本だと、クラシ
ックコンサートを聴くのとさほど変わりない態度でみんなおとなしく鑑賞し、
ご開帳のタイミングできわめて紳士的に拍手する。ところで、全部見せちゃう
のは、専門用語で「特出し」と言って、摘発対象になっていた時代もあったら
しいけど、最近は、むにゃむにゃ...。

一方ハリウッドでは、お客が野次る野次る...。くねくねしている踊り子に
"That's nothing!"(その程度じゃ、なんともないね!)とか。なんか、わい
わい楽しく騒ぎながら飲むバーというノリである。明るいなぁ、と。

ところで、オランダのを見たという人から話を聞くと、これまた趣きが異なっ
ていた。ガタイのいい女が北極グマのごとくのしのしと登場してきて、微塵の
恥じらいも伺わせることなく、いきなりぱっぱぱっぱと脱ぎ捨て、がばっとさ
らすのだそうである。「どうだ見ろ!」と啖呵を切らんばかりの勢いで。これ
には萎えたどころか、恐ろしくなったそうである。

●はっきり言って行くとこ間違えた

さて、フランスはどうだろうか。いま、ウィキペディアで「ストリップティー
ズ」の項目を見てみれば、なんと、「フランスでは1880年代から1890年代にか
けて、ムーランルージュやフォリーベルジェールなどのショウでは、わずかな
衣装のみをつけた女性のダンスなどの見世物が行なわれていて、これが近代ス
トリップの源流となったと言われている」とあるではないか!

さらに、「クレイジー・ホース(キャバレー)」の項目には、「クレイジー・
ホース(Crazy Horse)はパリにある、世界的に有名な観光ナイトスポットで、
数あるパリのナイトクラブの中では老舗のひとつである。扱うテーマは女性の
ヌードショウでありながら芸術性を伴ったストリップショウであり、他のテー
マを扱う同類のものとは一線を画している。その開業からの歴史は半世紀以上
となっており数多くの観光客を動員し続けている」とある。くぅ〜〜っ。行
く前にそこに気がついていれば!

適当なキーワードを組合せて検索かけたら、それっぽいのが四軒出てきた。そ
の中に上記のはひとつも含まれていなかったのである。シャンゼリゼ通りから
ちょっと路地を入ったところに二軒。ノートルダム寺院のあるシテ島を挟んで
セーヌ川の北岸と南岸にそれぞれ一軒ずつ。

それにしても、最初の二軒の共通点って...。シャンゼリゼ通りからベリ通り
が延び、ベリ通りからポンチュー通りがT字に延びる。そのT字路の突き当たり
に "Hustler Club" がある。ポンチュー通りからポール・ボードリー通りがT
字に延びる。そのT字路の突き当たりに "Pink Paradise" がある。フランスで
は舞台の形状ではなく、立地がT字なのか?

ウェブサイトが存在して、英語でも説明が提供されているのは "Hustler Club"
だけであった。パリに到着した7月4日(水)、ホテルにチェックインし、近く
で見つけたレストランで夕食をとり、バスチーユ駅から Metro 1号線に乗って
シャルル・ドゴール・エトワール駅へ。ホントはひとつ手前のジョルジュ・サ
ンク駅で降りたほうが近いのだが、凱旋門からシャンゼリゼ通りを散歩してみ
たかったので。過去に二度パリに来ているのに、見てなかったのだ、凱旋門。

ジョルジュ・サンク駅を見落として通り過ぎ、倍以上歩いてから気がついて、
戻ってくる。やっと見つけた。予想通り、バウンサーが立っている。望ましか
らざる客を跳ね返す役で、よく弾みそうな感じの大柄で恰幅のいい人が立って
いるものと相場が決まっているらしい。

こういうところに行くときは、目立たない格好で、こそこそっと行きたいもの
である。なのに、私の格好ったら、セーラー服、それも白の夏服に、明るいエ
ンジ色のスカーフ。短いプリーツスカートからすらっと延びる生足。長いあご
髭を二条の三つ編にして、それぞれにピンクのリボン。おっさんがストリップ
見に行くのに、あまり向いた格好とは言いがたい。

「ここ、ハスラークラブですよね?」「そうだけど」「入っていいですか?」
ぶっとふきだすバウンサー。苦笑いして困り果てている。たぶん前例がないの
であろう。「いいですよね?」。半ば強引に入ってしまった。

一階と地下一階の二層構造になっている。一階に設けられた四角いステージは
ガラス張りの透明で、地下一階から見上げて鑑賞できるようになっている。透
明ステージは、地下一階の床から一階の天井まで至る何本かの鉄棒によって貫
かれている。一階ステージの周辺を取り囲んで客席が設けられている。通路を
隔てて、テーブル席も設けられている。その構造、今見たら、米国メリーラン
ド州ボルチモアにある本店とまったく一緒やんけ。

踊り子さんたちは、パンティーとブラジャーをまとい、さらにネグリジェのよ
うな薄物をまとっている。鉄棒でくねくねしながら脱いでいく。パンツは脱が
ない。黒人もいれば、白人もいる。客席の人たちは、舞台があたかも液晶モニ
タに映し出される環境映像ででもあるかのごとく、気にもとめてない様子で、
マイペースで飲んでいる。野次を飛ばす者はいない。

いくらだったか、すご〜く高い追加料金を払うと、席の近くで独占的に踊って
くれるサービスがあるのだとか。四人ばかりのグループで来てボックス席を占
めているスーツにネクタイのおじさんたち、どうも日本人のように見えるなぁ。
仕事の出張で来て、こんなところで憂さ晴らしだろうか。あるいは接待だろう
か。その追加料金を払って、同人数の踊り子さんたちをはべらせている。

私の姿、踊り子さんたちからはウケた。けど、ほとんどの踊り子さんは、英語
がまるっきり通じない。意志の疎通の困難さも、興の乗らなさに加担していた。
はっきり言って、あんまり楽しくない。近くで独占という追加オプションを断
って、早々に退散してきた。まあ、早々とは言いながら、終電を逃してタクシ
ーで帰っているのだけれど。

そもそも下調べが甘く、行くべき店を間違えたというのが、根本的な敗因であ
った。次回パリに行く機会があったら、ぜひ「クレイジー・ホース」に行って
みよう。ジョルジュ・サンク通り沿いにあるのか。ってその店、すんげーいい
お値段するようだけど、おっさんがセーラー服着て行ったとして、入れてくれ
るのだろうか。もみのこさん、半端なレポートになっちゃってごめんなさい。
どうか次回のパリ行きにご期待を。

【GrowHair】GrowHair@yahoo.co.jp
セーラー服仙人カメコ。アイデンティティ拡散。

下着類はたいていネット通販で買っていたのだが、品揃えの単調さにだんだん
飽きてきた。世の中を広く見渡せば、もっとバリエーションに富んだのが見つ
かるはずだ。コットン素材のカワイイ系が大好きなワタシ。中野のスーパーの
下着売り場へ。やっぱいろいろあるじゃん。通販でよくある3枚組990円のなど
は、往々にして、そのうち1枚はぜんぜんかわいくないのが抱き合わせ販売さ
れている。スーパーにはよりどり3枚1,000円のコーナーがあって、自由に選べ
るところがいい。

普通に買えた。「防犯カメラ作動中」と書いてあっても、変態は犯罪ではない
からだいじょうぶなのだ。若い女性二人組から声をかけられる。ツイッターの
フォロワーさんたちなのだそうで。そう言えば、「中野に住んでいるので、ま
た見かけたら写真撮らせてもらっていいですか」「はいぜひ」みたいなやりと
りをしてたっけ。大学生だという。で、撮られたのがこれ。
< https://picasaweb.google.com/107971446412217280378/NakanoLife120714 >

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■デジタルちゃいろ[19]
ビッグウェーブこわい

browneyes
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20120724140100.html >
───────────────────────────────────
梅雨明け以降暑くなったかと思ったら涼しくなったりで困りますね。直近で最
も暑い日には厚手のTシャツで寝たかと思ったら、寒〜くなった頃にキャミソ
ール1枚で寝たりと、常に後手後手の温度調整をしております。夏風邪はナン
トカが引くというので気をつけなければ…。

●今更つくづく感じたTumblrのキャズム超え

未だにリリース当時からの一定の愛好家を抱え、そういった層とは異なる利用
者も企業もユーザーとして着々と増え続けているTumblr。ワタシもリリースの
頃から結構長い期間、ダッシュボードに「潜る」コトを楽しんではいたものの、
以前のような中毒症状からは抜け出てもう数年は経ったかな。

今でも日々アクセスはしてはいるのですが、もはやTumblrならではのreblogも
ほとんどせず、以前の様にダッシュボードで繋がってる別のTumblrユーザーと
の独特な無言の交流も意識せず、ポストするものもあくまで自分専用でテーマ
も一貫性のない中途半端なライトユーザー。

ある日の深夜、とあるサイトで、特別好みという訳ではないけどステキ系写真
が目に入ったので自分のための参考程度のつもりでTumblrにポストしました。
ポストしたコトすら覚えてないくらい。

翌朝メールチェックすると、いつになくTumblrからのフォロー通知が沢山届い
てる。何かの不具合で過去の通知が一気にメールボム化して届いてるのかな。
更に、Tumblrに設置はしてるもののほとんど通知が来ることもない外部コメン
ト管理サービスのDisqusからもいくつか通知が。あぁ、Disqusにもコメントス
パマーとか現れたのかしら。そんな感じであまり気にも止めず。

さーて、Tumblrのダッシュボードをチラ見だけして別作業に入ろう、あれ、い
つになくreblogが多いな、どれどれ……えええ、7000 notes! (※reblogや
likeをされた、というTumblr上でのリアクション総数) 一晩にして7000とは
びっくり。

どうやらどこかの時点でTumblr公式のTumblr Radarという、ユーザーのポスト
をフィーチャーするTumblrに取り上げられたらしく、リアクションも雪だるま
式に増えているらしい。ポストして9日後のこれを書いてる時点では約9600
notes。勢いは衰えたもののまだまだゆるゆるとリアクションは増えてるよう
ですね。GrowHairさんのセーラー服姿に追いつけ追い越せ! …いや、競うつ
もりはないです。

ワタシが日々ダッシュボードに張り付いてた頃は「あのポスト、300もreblog
されてるよ、すっげぇ!」みたいな数だったので、知らぬ間にユーザーの母数
もすごいことになってるんだなぁ、というのを見せつけられました。

そしてそのTumblr Radar、どうやらダッシュボードのサイドにもランダムに表
示されているらしくてフォローも続々増えているようです。数年前ならいざ知
らず、今やただの1ライトユーザーだし、元々万人に好まれるものをポストす
るタイプでもないので嬉しさよりも「もう、そっとしといて」気分の方がやや
優勢。

●見える数字と見えない数字の間で波乗り

最近、国内のネット上でも、常にどこかしらで各種の炎上騒ぎが続々と生まれ
てる感覚が強かったのですが、国内外問わずネットのユーザー母数はホントに
すごい勢いで増えてるのですよね。

なので、数年前と比べても、いい方でも悪い方でも、追い風というかビッグウ
ェーブというか、そんなのに乗った時の伝播の勢いはとんでもない、というの
を軽く体感したようなものなのかなぁ。これが仮に悪い方だと想像したら大分
怖い。

そして裏を返すと、以前に比べてものすごい数のリアクションは可視化される
一方で、それを目にしたけどリアクションしなかった人がどの程度いるのかは
見えない。可視化された9600人より多い筈…だよね? でもそれがちょっと多
いのかかなり多いのか、それすら解らない。見た人の総数中リアクションした
人が何%だったのか。

自分の目に触れたものが一見ものすごく多数派に見えても、実際のマジョリテ
ィがどこなのか、そして、それとは別軸としての「何が正しいのか」は情報過
多が故に以前より見失いやすくて溺れやすい。反面、個々人の見たくないもの
に対して、カジュアルにフィルタをかける、というコトも、技術的にも精神的
にも以前より容易になってる。良くも悪くも。

が故に、個々人が意図していてもしていなくても気づいたら何かに偏ってしま
う可能性も大きくなってる気がする。ある意味、個を尊重しているようで個が
失われていく時代性、なのかな。

シンプルライフが懐かしい気もするけど、もう戻れないんだろうな。戻りたい
かどうかは置いといて。そうやって考えるとインターネットって、アダムとイ
ブの林檎◯個目でもあるのかもしれない。

            +----+----+----+----+

■今回のどこかの国の音楽

□Sajjad Ali & Sanam Marvi "Rang Laaga"
└< http://j.mp/A0yrnn >

ここでも何度か紹介しているパキスタンのCoke Studio。最近Season 5が終了
しましたが、全体通してこの曲が実は今までで一番ハマった曲なのです。もう
YouTubeでも何度観たか解らないほど。Sajjad Aliさんという方も90年代頃?
からずっと有名なポップス寄りな歌い手さんらしいのですが、この若き歌姫
Sanam Marvi、どの曲も歌詞を目で追うことすら忘れて魅入ってしまうのです
よね。

(あ、CokeStudio、CCボタンを押すとウルドゥ/ウルドゥのアルファベット発
音表記/英語対訳が表示されます。歌詞がまたどれも美しいので是非CCで見て
ください)

このSanam Marviが、なんと先日、第一回東京無形文化祭で来日! パキスタ
ンの、しかも非常に好きだわ、と思ってた歌い手さんが来るだなんて、これは
見逃したくない! というワケで行ってまいりました。Sanam以外にも以前聾
唖の太鼓叩きとして紹介したDholという太鼓の親子(聾唖の人とは別ですが)
や不思議な二連の笛の使い手の演奏も見れて大満足!

□東京[無形文化]祭 | The 1st Tokyo Festival of Intangible Culture
└< http://j.mp/JPGjUn >

【browneyes】 dc@browneyes.in
日常スナップ撮り続けてます。アパレル屋→本屋→キャスティング屋→
ウェブ屋(←いまここ)しつつなんでも屋。
□立ち寄り先一覧 < http://start.io/browneyes >
□デジタルちゃいろ:今回のどこかの国の音楽プレイリストまとめ
└< http://j.mp/xA0gHF >

先日、Twitter上で「扇風機で死ぬのは都市伝説なのか!?」という記事が流
れてきて( http://j.mp/MytUCs )、万年暑がりのワタシ的には都市伝説でも
そんな話があったことにびっくり。今年は今のところまだ扇風機だけで頑張れ
てますが、ワタシよりマシンが根を上げ始めて不穏なモーター音を高らかにし
始めたので、扇風機→マシン→ワタシという配置で風の流れを受け止めること
に。ちょっと腑に落ちない。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集後記(07/24)

●日曜日に我が家から自転車で30分、板橋区立美術館に「イタリア・ボローニ
ャ国際絵本原画展」を見に行った。同美術館が長いこと続ける十八番展示だ。
この世界最大の規模を誇る絵本原画コンクールは、すでに45年の歴史がある。
2012年は、世界60か国2685人の応募があり、その中から日本人7人を含む19か
国72人(組)が入選した。その全入選作(各5枚一組)と、台湾のアーティス
ト、ペイジ・チューの絵本作品が特別展示された。

原画サイズは手頃な大きさで見やすい。5枚の絵にはそれぞれの短いストーリ
ー(解説)があるので、とてもわかりやすい。ボローニャブックフェアのドキ
ュメント映像も流れていて、審査のようすや作家インタビューも見られた。国
際審査員の絵本作家・荒井良二さんの解説もある。この作家はデビュー当時か
ら知っているが、ユーモアを交えながら国際審査員たちと渡り合って審査して
いる姿が頼もしい。ご立派になられた。

それぞれの作品には、さまざまなテクニックが使われている。鉛筆、パステル、
アクリル絵具、切り紙、木版画、シルクスクリーン、ペン、刺繍、複合技法…、
そしてCGもかなりある。でも、伝統的技法+CGってなんだろう。400点近い原
画を目の前にしてじっくり観察した。手ワザの世界もいいものだ。わりと空い
ていたので、会場内を行ったり来たりして濃密な時間を楽んだ。ハッピー。高
齢者だから入場料半額だったのはベター。次の「自転車で美術館」は、埼玉県
立美術館の「ウルトラマンアート!」だな。こっちは高齢者無料だからベスト。
暑くない日に北へ向かうのだ。                 (柴田)

< http://www.itabashiartmuseum.jp/art/schedule/e2012-03.html >
2012イタリア・ボローニャ国際絵本原画展
< http://momas.jp/exhibitionguide/exhibition/ウルトラマン・アート!/ >
ウルトラマンアート!

●先日、宝塚歌劇の「ロミオとジュリエット」を観に行ったと書いた。役替わ
りとも書いた。今度は明日海りおさんのロミオを観に行った。初演の星組、柚
希礼音さんのロミオは観た。雪組の音月桂さんのロミオは、仕事の都合でチケ
ットを取っていたにも係わらず行けなかった。実況CDを聞いて、なんとなく彼
女のロミオは想像できている。東宝の城田優のロミオも観た。買ったのは山崎
育三郎ロミオのCDだったが。そして月組の龍真咲さんのロミオを観て、今回の
明日海りおさん。ロミオとしては、明日海りおさんが、若いというアドバンテ
ージもあって一番合っているように思った。柚希礼音さんのロミオは、ピュア
で暴走しそうな雰囲気があって好きではある。

出演者が違うと、台詞や音楽はほとんど同じなのに、ちょっとずつ印象が違う。
星の時は、「死」と「愛」の手のひらの上で翻弄されるような話に見えた。死
の策略を愛が阻止しようとしているようだった。最後に死が勝利(ロミオとジ
ュリエットが死に、人々が悲しむ)を確信した後、母親たちの、これは私たち
への罰だ、いがみ合いをやめようと手を取り合う姿を見て、こんなはずじゃな
かったと悔しがる死の姿が印象的だった。愛の包容力も感じた。月のは、死と
愛があまり目立たず、そういう意味では原作のロミジュリに近いのかも。いろ
いろ書いたけれど、死と愛、そして群舞とコーラス、お衣装に音楽と、多人数
でやるからこその豪華さが、宝塚歌劇でのロミジュリの良さだったりするよ。
                            (hammer.mule)

< http://kageki.hankyu.co.jp/rj2012/movie/romeo_hoshi_120622/ >
これが星ので
< http://www.tca-pictures.net/romeo_and_juliet/02.html >
こっちが雪で
< http://www.tca-pictures.net/romeo2012/02.html >
これは月の龍真咲さんロミオ
< http://romeo-juliette.com/jp/index.php >
東宝版公式
< http://www.youtube.com/watch?v=lF1R2bzDYUY&list=PL3FEC8BA691130275 >
本家フランスのロミジュリ。これの宝塚歌劇化と日本版(東宝)がある。
衣装の赤と青、曲は同じだが、踊りや演出は違っている。
< http://romeo-juliette.com/ >
字幕なくてもわかるわ……日本語が聞こえてくるわ……

< http://blog.livedoor.jp/beelzeboulxxx/archives/12393703.html >
「日本人は一体何なんだ!」 『勝手に入るゴミ箱』に外国人が驚愕
< http://appscore.blogspot.jp/2012/07/macintegrity.html >
サイトやブログ内のデッドリンクを調べることができるMacアプリ「Integrity」
< http://taisy0.com/2012/07/23/5395.html >
Google、タブレット端末「Nexus 7」の初のTVCMを公開。オチが好き
< http://www.kids-app.com/archives/1561.html >
撮った昆虫と植物を調べられる図鑑アプリ「図鑑カメラ」
< http://blog.nobon.boo.jp/?eid=904157 >
アップルが透明スクロールバーの特許を取得

< http://www.4gamer.net/games/074/G007497/20120713064/ >
ファミコン版「スペランカー」制作者による裏話がここに。御年70歳、業界歴
37年の現役クリエイター、スコット津村氏が振り返るあの頃
< http://blog.livedoor.jp/beelzeboulxxx/archives/12331532.html >
日本語のタトゥー入れてる外人てなぜもう少し調べてから入れないの?
< http://news.livedoor.com/article/detail/6781702/ >
「脳泥棒」の寄生生物たち、精神病の原因にも
< http://blog.livedoor.jp/kinisoku/archives/3499407.html >
仕事がうまくいかない人のためにミサワ画像貼ってく
< http://anond.hatelabo.jp/touch/20120723031601 >
「主婦は超忙しい」「主婦は誰にも認められない」
< http://blog.livedoor.jp/ikakimchi/archives/6435493.html >
「そよぐ」を漢字で書いた時のギャップは異常

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編集長     柴田忠男 < mailto:shibata@dgcr.com >
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2012年7月23日月曜日

日刊デジクリ[#3307] 時空倫理学(Space-Time Ethics)のススメ

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■まにまにころころ[5]
 夏風邪に注意
 川合和史@コロ。 Kawai Kazuhito

■クリエイター手抜きプロジェクト[325]電子書籍編
 kobo Touch 買ってみた
 古籏一浩

■データ・デザインの地平[20]
 時空倫理学(Space-Time Ethics)のススメ
 薬師寺 聖

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■まにまにころころ[5]
夏風邪に注意

川合和史@コロ。 Kawai Kazuhito
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20120723140300.html >
───────────────────────────────────
こんにちは、ここ2週間ほど風邪でダウンしていたコロです。していた、とい
うか、現在進行形です。もう治りそうなんですけれども、あと一歩ってところ
で足踏みしてる感じです。

──夏風邪に注意

夏に風邪ひいたから「夏風邪」って書いたんですが、そもそも夏風邪って、冬
の風邪と何が違うのかと、ちょっと調べてみました。まあ、話は簡単で、感染
するウィルスの種類が違う、とのことのようで。

風邪の8割から9割はウィルス感染が原因らしいのですが、夏の湿潤な環境を好
むウィルスと、冬の乾燥した環境を好むウィルスの違いが出るようです。風邪
引いた身からすると、だからどうした、って話ですけれど。

──意外と見つからない病院

私の場合、今回の風邪はまず喉の腫れから始まりました。最初の数日は、やば
いなーと思いつつも、うがいしたりする程度で、なんとかしのごうと、自分の
免疫力を信じて耐えていたのですが、3日目くらいにもう無理だって思うくら
いに喉が腫れ、白く膿が乗ってるような状態になったので諦め、数年ぶりに病
院に行くことにしました。

日々Webに触れている私としては、とりあえず近くの病院を求めてググるとこ
ろからはじめたんですが、これが意外と出てこない。もしかしたら、地域にも
よるのかもしれませんが、Webサイトがある病院って思いのほか少なくて、な
かなか情報が得られない。病院検索サイトや、口コミサイトが検索には引っか
かってくるのですが、病院名程度しか載っていなかったり。

正直、ちょっと意外でした。大きな病院はそれなりに出てくるんですけどね。
こんなにも存在しないものなのかと。

──口コミも拡がりにくい?

口コミサイトを覗いて思ったのは、みんな病院ってあまり積極的に「オススメ」
しないのかなと。日常会話では「どっかいい病院知ってる?」なんて話題は、
割りとあるものなのに、口コミサイトに投稿してまで薦めないようで。

よく考えてみれば、さっき書いたように「どっかいい病院知ってる?」って、
訊くことはあっても、訊きもしないのに「この病院良かったよー」って話は、
日常会話でも少ないなと。そのあたり、料理屋さんの話題とはやはりちょっと
話題の質が違うんだなって感じました。

そんな感想はさておき、とりあえず出てきた2、3の病院に絞ってもう少し調べ
てみたところ、一番近い病院は口コミサイトで酷評、次に近い病院は3つの中
で唯一自前サイトを持っていたのに、そこに「本日臨時休診」と……結局、選
択の余地なく、3つ目の病院に行きました。

道中、酷評されてた病院の前を通ったら、どうやら廃業した雰囲気でした。

──薬の情報は充実

病院検索で力を発揮できなかったネット検索ですが、薬の情報を調べるのには
大いに力を発揮してくれました。今は病院でも薬を出す際に説明ありますが、
もう少し知りたいなと調べると、薬名からばっちり情報が出てきます。私はた
またま入れてたiPhoneアプリで調べました。

知ったからどうってこともないのですが、もらった時の薬袋から出た薬を、
「あれ、これって食後だっけ、食間だっけ」なんて調べたり。

──まだまだ発展の余地あり

正直、Googleがあれば得られない情報なんてほとんどない、くらいにWebを過
信してたところがあったんですが、今回のことで、まだまだそんな状態には程
遠いなと実感。分野によって情報量の少ないジャンルもあることがよくよく分
かりました。
「病院にWebサイト制作の営業かけたらいいんじゃね?」なんて単純な話では
ないですけど、まだまだビジネスチャンスも溢れかえってそうな、そんな印象
を受けました。

──健康第一

仮に病院の情報が充実しても、当然、病気にならないことが先決。予防法とか、
健康法の情報は(真偽はともかく)たくさん出てきますので、うまく利用して、
なにはともあれ健康な日々をお過ごしください。夏風邪に注意!

【川合和史@コロ。】koro@cap-ut.co.jp
合同会社かぷっと代表
< http://cap-ut.co.jp/ >

病院なんて何年ぶりにいったことやらってくらいに久しぶりだったんですが、
「安っ!」ってのが第一印象。でもよくよく考えたら毎月、何万円と保険料を
払ってるわけで、そう思えば、数年分、数十万円の費用だったんですかね……

8/2大阪で高広伯彦さんの講演を開催します!
(裏方のお手伝いしてます)
< http://dcc-net.biz/event/index.html >

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■クリエイター手抜きプロジェクト[325]電子書籍編
kobo Touch 買ってみた

古籏一浩
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20120723140200.html >
───────────────────────────────────
7月19日にkobo Touchが発売されました。このkobo Touchは電子書籍リーダー
のひとつです。楽天が力を入れて販売(?)するらしいので購入してみました
(koboのkは大文字なのか小文字なのか……。楽天の日本語ページでは小文字
で英語ページは大文字……)

kobo
< http://kobo.rakuten.co.jp/ >
< http://www.kobobooks.com/touch >

購入したら、いつものようにkobo Touchの使い方を説明したページ作りです。

Kobo Touch 使い方辞典
< http://www.openspc2.org/reibun/Kobo_Touch/ >

簡単に作れるかなと思ったら、最初からトラブル。kobo Touchの電源を入れる
と昔懐かしいMacライクなアイコンが表示されます。少し待つと言語を選択す
る画面に。ここは日本語をタッチして選択。

これで、kobo Touchに入っている青空文庫が読める……かと思ったら「パソコ
ンがないと駄目ですよ。アプリをダウンロードしてパソコンに入れてからにし
てね」という事態に。

パソコンがなくても、最初から青空文庫あたりは読めるようにしておいた方が
いいんじゃないでしょうか? そもそも、青空文庫のデータが入ってないのか
とも思いますけど、まあ手順に従ってセットアップ。

MacProに接続するので、Kobo Desktopアプリ(MAC用)をインストールします。
< http://rakuten.kobosetup.com/ >

kobo TouchをUSBケーブルで接続してKobo Desktopアプリを起動。……起動し
ません。環境にもよるのかもしれませんが、使っているMacがオーバースペッ
クなのか、とにかく駄目。Twitter経由の情報によると、koboレビューが大炎
上とのこと。

< http://blog.livedoor.jp/rbkyn844/archives/5701594.html >

まあ、私だけではないようで。気を取り直してリトライ。まず、kobo Touchを
外してからMacを再起動。ようやくKobo Desktopアプリが起動しました。とい
うことで、kobo Touchを接続して設定……しようとしたのですが、kobo Touch
を接続するとKobo Desktopアプリがハングアップ。

USBケーブルを使うな、ということなのかもしれません。ではで無線LAN経由で
セットアップできないのかと思ったら、これができない様子。

30分〜1時間ほど再起動したりしていると、運良く1回接続に成功しkobo Touch
のセットアップができました。その後は、やはりハングアップして駄目。本も
購入してみましたが、接続するかどうかが神頼みなので一冊だけ。購入画面に
進んで注文寸前にKobo Desktopアプリがハングアップ。

気を取り直してMacを再起動してから再挑戦。再挑戦している間に本の価格が
暴落して半額に……。そんなに売れなかったのでしょうか? というか、ブッ
クオフで買った方が遙かに安い。というか、そのくらいなら表紙がカラーな新
刊で買った方がいいんじゃない? という金額だったせいかもしれません。

調べたら最初に提示されていたのはアマゾンの価格の半値。しかし、数時間も
しないうちに、さらに半値。アマゾンの正規の金額の1/4という状態に。

< http://www.amazon.co.jp/dp/4022739010 >
(アニメは都合によりモーレツ宇宙海賊という名前)

何度かやっているうちに無事に購入。でも、その時点で挫折気味だったので手
持ちのPDFを表示する方向に。PDFが表示できれば、それなりに使えるはずです。

PDFは本の購入とかとは比べものにならないほど簡単でした。マイクロSDカー
ドにPDFを入れてkobo Touchに差し込むだけ。あとは、ホーム画面に移動して
「ライブラリ」>「本」をタッチして表示したいPDFをリストから選択するだ
けです。

すべてのPDFが表示されるわけでなく、大きいサイズのは表示できずにホーム
画面に戻ってしまうこともあります。PDF書類内のリンクは機能します。

PDFの場合、タッチしてから次のページに移動し表示されるまでに1.5秒ほどか
かります。実際にA4サイズのPDFを表示すると、細かい文字の認識が辛い部分
があります。iPhoneなどのRetina Displayくらいの解像度があれば見やすいの
ですが。

PDFはさておき、せっかく購入した本を読むことに。デフォルトでは書体は
「モリサワリュウミン」となってました。他はモリサワゴシックMB101が選択
できます。漢字にはルビも表示されますし、割といい感じです(ルビは小さい
ので、やはり高精細な方がいい)。EPUBなので文字の拡大縮小なども自由にで
きます。ページの切り替えはPDFよりも高速で、1秒ほどで次のページに移動で
きます。

次はkobo Touchに内蔵されているWebブラウザの起動です。問題はWebブラウザ
が、一体どこにあるのかさっぱり分からないことです(スケッチブックや数独
も同様ですが)。

起動方法は「Kobo Touch 使い方辞典」を見てもらうとして、ブラウザを起動
するとGoogleのトップページが表示されます。モノトーンなGoogleは、ちょっ
と違った感じです。ちなみにYahoo JAPANに移動するとモバイル用のページが
表示されます。モバイル用に作成されているせいか、kobo Touchでも素早く表
示され読むことができます。

kobo Touchのブラウザは、SafariやGoogle Chromeと同じレンダリングエンジ
ンWebKitを使っています。表示に関しては、やはり電子ペーパーゆえに遅く、
何度も画面がちらつきます。でも、Kindleよりは高速に表示されます。Google
Mapsも表示されますし、ボタンをタッチして地図を拡大したりすることもでき
ます。

WebブラウザはHTML5関連は全滅です。位置情報(Geolocation)、ローカルス
トレージやFile APIはもちろん、映像やオーディオは駄目です。

でも、まあ思ったほど売れないんじゃないかという感じです。ひとつは端末そ
のものの問題。他の人にもいじってもらったりしたんですが、iPhone以降では
操作性、速度、便利さという点でずいぶん劣ります。

高いお金を出してiPadを買った方がいいかも。特にユーザーインターフェース
部分は、わかりにくく無駄な時間を費やしてしまいます。ハードウェアでキー
を用意してもらった方が使いやすいかなとも思えます。とにかく、分りにくい。

もうひとつのダメな理由は、買ってもパソコンがないと使えない点。パソコン
がなくても本が購入でき、最初から青空文庫あたりは読めるようにしておいて
ほしいところ。

どうせならば、最初からSFセット、ミステリーセットとか100冊くらい入れて、
すぐに読める状態で販売した方がいいかも。あとは、毎日新聞50年分セットと
か、新聞紙を全部入れちゃって検索できるようにして売るとか。

kobo Touchはお得感がまるでなく、最後はブーメランのように投げて遊ぶしか
用途がないんじゃないか? といった状態です。

あと、マイクロSDカードを差し込むだけで簡単にPDFなどが表示できるという
便利さがあるので、マイクロSDカードに10冊セットとか、漫画なら全巻セット、
あだち充セットとか入れて売った方がいいかもしれないなと思ったりもします。
でも、コピーされるという部分でもめるでしょうし無理がありそうです。最初
から、特定のジャンルの作品を入れて売ってくれてもいいかなとは思います。

デフォルトで入っている手書きメモ(スケッチブック)も、どこにあるかわか
りにくく、もったいない気もします。冷蔵庫とかに貼り付けて使うとか、いろ
いろ便利そうなのですが。ホーム画面からワンタッチで起動できてもいいと思
います。

現状だとアマゾンのKindleの方がいいんじゃないかな〜と。でも、それなら
iPadで十分な気も……。まとめると、以下のような問題があるのかなあ。

・パソコンがないとまったく使えない
・白黒画面。解像度低い。
・遅い。
・紙の本をブックオフで買った方が早くて安い。ファンなら新刊買った方が
 いい。カラーできれいだし。
・青空文庫が全部同じ表紙(区別付かず)
・ユーザーインターフェースがひどすぎる。何をどうすればいいか不明。
・ファーストインプレッションが悪く感動がない。
・お得感がなく、時間が経つにつれて損した気分になる。
・楽天の売り方が悪い。

一言でまとめると「安物買いの銭失いを体感できる」という具合でしょうか。

【古籏一浩】openspc@alpha.ocn.ne.jp
< http://www.openspc2.org/ >

せっかくなのでWindows Phone(OS ver 7.5/IS12T)も買ってみました。地図
サービスが使いものにならず……。仕方ないのでブラウザ(IE)でGoogle
Mapsを表示して代用……と思ったらタッチイベントが動かないみたいで、地図
は表示されるものの何もできず。

その点、kobo TouchはGoogle Mapsを表示でき、一応低速ながら使えるのでよ
いかも。スマートフォンやらいろいろ買ったけど、まとめると、こんな序列
に(あくまでも個人的なランク。使ってる頻度も含む)。

iPhone > ガラケー > iPad > Android > Androidタブレット > Windows
Phone > kobo Touch

・毎度おなじみASCII.jpの連載「enchant.jsとジャイロセンサーで作るスマホ
ゲーム」
< http://ascii.jp/elem/000/000/709/709291/ >

・PDF構造解説
< http://www.amazon.co.jp/dp/4873115493 >

・10日で覚えるHTML5入門教室
< http://www.amazon.co.jp/dp/4798124184 >

・AndroidのためのHTML5本格アプリ開発
< http://www.amazon.co.jp/dp/4897978971/ >

・改訂5版JavaScriptポケットリファレンス
< http://www.amazon.co.jp/dp/4774148199 >

・ハイビジョン映像素材集
< http://www.openspc2.org/HDTV/ >

・クリエイター手抜きプロジェクト
< http://www.openspc2.org/projectX/ >

・Adobe Illustrator CS3 + JavaScript 自動化サンプル集
< http://www.openspc2.org/book/PDF/Adobe_Illustrator_CS3_JavaScript_Book/ >
吉田印刷所の「印刷の泉」でも購入できるようになりました。

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■データ・デザインの地平[20]
時空倫理学(Space-Time Ethics)のススメ

薬師寺 聖
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20120723140100.html >
───────────────────────────────────

●ITの進化が変える「いまここ」

皆さんは、時間を知りたい時、腕時計や目ざまし時計を使っていますか? 時
計の用途は、"時間を知る" こと以上に、ファッションやインテリアになって
はいませんか。また、皆さんは、自分の位置を確認したい時、"自分が見てい
る" 紙の地図を使いますか? "自分が見られている" GPS衛星を使うのではな
いでしょうか。

SNS とスマートフォンは、ヒトがいる時間と場所の意味を変えつつあります。

まず、時間と空間の情報が標準化されつつあります。時刻も位置も共通のデー
タをもとに計算されるので、それぞれの持つ時計や地図によって極端に情報が
違うということはなくなりました。

また、時間と空間の情報は、受信するだけではなくだけでなく、発信されるよ
うになりました。コメントを投稿したり写真を保存することによって、自分の
いる時間や場所の情報が他者に対して発信されます。

さらに、携帯端末を常時身近に置くことによって、ヒトには四六時中、時間と
空間の情報が従属するようになっています。

我々ヒトは、異なる時間に同じ空間にいる(元いた場所に戻ってくる)ことは
できますが、同じ時間に異なる空間、同じ時間に同じ空間に(重なって)いる
ことはできません。ヒトが占有している時空を表す「いまここ」の情報は、
"社会的な意味で"「そのヒトを特定する」情報となります。

そして、我々が携帯端末を常時所持せずとも、自らの存在自体がデバイスと化
した暁には、時間と空間の情報は、ヒトの一意性を決定付けるプロパティとな
ります。

時間と空間の情報は、望まずとも、不特定多数から入手可能になるでしょう。
一人のヒトを一ノードとして、全国民、全世界の人々について、時間に沿って
位置を追ってグラフ化できるまでに計算機の速度が向上すれば、その情報はビ
ジネスや統治に利用されるようになるかもしれません。

●操作される時間と空間

ヒトにとって重大な意味を持つ時間と空間の情報は、もちろん慎重に扱われな
ければなりません。

そのためには、それらの情報が意図して操作された結果、望ましくない状況を
招くことのないように、倫理上の規定が必要になるでしょう。

ここでいう操作とは、たとえば次のような行為です。

過去の「時刻Aの、位置aに、ヒト1」がいた後、現在「時刻Bの、位置bに、ヒ
ト2」がおり、未来の「時刻Cの、位置cに、ヒト3」がいると予測される場合、
現在あるはずの情報は(A,a,1)と(B,b,2)です。未来の(C,c,3)を知るヒ
トが個人の利得のために(C,c,3)を(D,d,3)になるように操作したり、現在
の(B,b,2)が(C,c,3)になることを阻止するために状態を継続させて(C,b,
2)にいたるよう操作したり、過去の(A,a,1)を(A,b,1)などに書き換えた
りすると、他者の目には、書き換えられた未来や現在や過去が、変わらぬ事実
であるように映ります。

この人為的操作が、操作者以外のヒトに不利益をもたらす可能性もあるでしょ
う。我々人類は、これまで何世紀にも渡り、共同体単位で「いまここ」を生き
てきました。科学技術の発展により可能となった時間と空間の操作は、既存の
社会システムや常識には馴染みません。それは、倫理上の問題を引き起こしか
ねないのです。

起こりうる問題を洗い出すには、時間と空間をいくつかに分類して考えると、
分かりやすくなります。

ピラミッドの下の段から順番に、物理学的時空(時空とはいうものの、時間に
依存しない世界)、生物学的時空、社会的時空、データの時空、個体の時空、
を重ねた図をイメージしてみてください。物理学的時空を基盤として生命があ
り、その生命が構成する社会があり、社会のインフラを担う情報システムの中
で動くデータがあり、情報をフィルタリングして認識する脳を持つ個体がある
という構造です。

それでは、具体的に、どのような操作が考えられるか、いくつかの例をあげて
みます。

(1)生命に従属する時間・空間情報の操作

日常生活でよく見られる例は、ヒトの誕生に関するものです。生まれてくる子
供の属性情報を事前に知って、親が行動を変えると、子に従属するはずだった
時間と空間の情報が変わります。

また、卵子の凍結は、特定の女性に従属する時間の情報と、その女性の"卵子"
という部分に従属する時間の情報を切り離し、卵子の現在の情報を未来まで維
持させます。

存在の終焉にも、ヒトに従属する情報は操作されることがあります。高齢者の
胃ろう、延命措置、脳死判定が、これに該当します。今後、「生者なのか死者
なのか」を判断するための脳活動センシング技術が進化し、高精度の機器の測
定機器が開発されるまでは、問題が噴出し続けることでしょう。

生と死の両方が往来するケースでは、より厄介な倫理上の問題が生じます。た
とえば脳死者の出産です。母子は共通の時間を歩まず、「戸籍上」過去に存在
した母から、未来の子が生まれることになりかねません。出産を推し進めるに
せよ、中止するにせよ、いずれにしても判断を下した者は操作者として、苦い
思いを抱えることになるでしょう。

(2)社会における時間・空間情報の操作

この社会では、未来の予測情報を持つ者が、情報を持たない者に従属している
時間と空間の情報を操作する可能性があります。操作する側と、操作される側
の力関係によっては、倫理上の問題が生じます。

未来の予測情報といえば、円や株価、新製品のマーケティング情報を思い浮か
べるかもしれません。もっとも、ビジネスでは、操作による倫理的問題は、限
定的です。

倫理上の問題が顕著になるのは、内輪の最大幸福と、最大多数の最大幸福と、
個人の利害が一致しない場合です。それを如実に表しているのは、先の原発震
災でしょう。自ら望んであえて危険な方向に逃げる人などいるでしょうか。
"未来" の情報を持つ人々は、持たない人々に従属する時間と空間の情報を、
操作してしまったといえるでしょう。

(3)情報システム上の時間・空間情報の操作

社会のインフラを担う情報システムで扱う時間と空間の情報の操作は、ささい
なものであっても、我々の生活に大きな影響を与えます。

その操作は、何より、知的財産に影響します。なぜなら「先に」申請を受理さ
れることが非常に重要であり、「時間」が特許取得や受賞や予算を決める重要
な要素だからです。未来に申請されるはずの情報をいちはやく入手した者が有
利になります。脳内情報をセンシングするシステムが開発された暁には、優秀
な研究者の "申請予定の" 思考を取得して利用する輩も現れるでしょう。

この問題は、創作活動においても同様です。作曲とは発見であり、早く見つけ
て発表したもの勝ちだからです(※1)。

計算機の速度向上が、この問題をいっそう深刻にします。いまや数学の研究で
さえ、その一部を計算機が担い、多数の学者の脳のネットワークで解決される
時代です。性能のよい計算機を使えば、それだけ早く、未来に見い出されるべ
き答えにたどりつけるかもしれません。量子コンピューターなんぞ登場した暁
には、なおさらでしょう。

また、インフラも問題になります。今後さらに多数の端末が情報にアクセスす
るようになるため(※2)いかに速く未来の情報を入手し、結果を公開するか
は、居住地域や経済事情に左右されることにもなります。

システム上の時間と空間の操作は、多数のヒトが日常的に使っているシステム
でも「良い意味で」行われています。それは、トランザクション(※3)です。
トランザクションとは、あるヒトにとっては時間を進め、他のヒトにとっては
時間を一時的に停止させる操作ともいえるでしょう。

(4)各個体に記録される時間・空間情報の操作

誰しも自らに従属する時間と空間の情報を、完全に記憶しているわけではあり
ません。事実の一部しか認識していなかったり、情報が定着しなかったり、一
部が取り出せなかったり、あるいは順序が逆になる、ということが、誰にでも
起こります。それどころか、自身がいつどこにいたかという情報を記憶する作
業を放棄し、スケジュールアプリに任せきっているヒトも少なからずいるので
はないでしょうか。

我々は、程度の差こそあれ、不完全な記憶を持つ者同士が情報を交換して補い
ながら社会生活を成立させています。記憶が人間関係を形成しているといって
も過言ではありません。

記憶を持つ者同士の交流が減るにつれ、情報格差は大きくなる恐れがあります。
これを後押しするのが、神経細胞の刺激や服薬などのエンハンスメントという
操作です。完全な記憶機能を持ち、記憶を迅速に抽出するよう能力を補強され
たヒトが現れる一方で、時間・空間情報を消去してしまうヒトも現れます。記
憶が消去されると、その時間その場所にいなかったことになってしまうかもし
れません。

存在のデバイス化時代には、それぞれの個体に従属する時間や空間の情報と、
個体が認識する時間や空間の情報の違いが、誰の目から見ても、明らかになる
でしょう。

●いまもとめられる、時空倫理学(Space-Time Ethics)

本稿は、過去記事と異なり、一言一句が練り上げられているものではありませ
ん。しかし、それでも今回このテーマで書いたのは、生煮えの状態でも、でき
るだけ早く発信しておく必要があると考えたからです。

なにしろ、重要性が唱えられ始めて長い生命倫理や脳神経倫理でさえ、「一生
活者からは」ずいぶんゆっくりと進展しているようにしか見えません。専門家
の間で研究と議論が重ねられていたとしても、一般市民、とりわけ「当時者と
なりうる可能性の高い」出産可能年齢の女性や高齢者を介護している女性には
伝わってきません。

そのような我が国の状況のなかで、"SFのような" 時空倫理について、すみや
かに議論が始まるとは考えられません。それならば、できるだけ早く、それが
呼び水の一滴でしかなくても、問いを発しておこうと考えたのです。

たとえば生命倫理については、1980年頃には、現在の生殖医療で起こりうる問
題の多くは、容易に予測できました。しかしながら、30年以上経った今でさえ、
代理出産問題ですら、社会的な合意ができているとは言い難いものがあります。

脳神経倫理についてはなおさらです。この問題の重大性がじゅうぶんに啓蒙さ
れ、多数の一般市民がアウトラインを把握しているという社会的背景があれば、
脳科学者と哲学者と心理学者と教育学者と精神医学者が、遺伝と環境の問題、
更生とは教育なのかエンハンスメントなのかあるいは両方なのかという問題を
(※4)徹底的に議論したうえで、何らかの結論にいたっているはずです。

そして、その結論に社会的合意が得られていれば、さまざまな事件が発生する
都度、ネット住民が自ら世を正さなければならないと思いにかられることはな
いはずです。

生命倫理や脳神経倫理は、時間や空間の情報と相互に影響を及ぼし合います。
いまや生命のパーツを作り出せる時代です。自ら思考するパーツも作られるで
しょう。完全に同じ分子構造を持つパーツが一度失われて、再生されたとき、
それに従属する時間の情報が異なっても、同じ一意性を維持していると見なす
のかどうかという問題などは、生命・脳神経・時空の3つに関わります。

ガザニガの著作から引用すれば、脳神経倫理学とは「病気、正常、死、生活習
慣、生活哲学といった、人々の健康や幸福にかかわる問題を、土台となる脳メ
カニズムについての知識に基づいて考察する分野」(※5)ですが、我々が生
きて死すこの時間と空間の倫理が揺るげば、その上に立つ脳神経倫理も揺らぎ
はしないでしょうか。ならばその土台となる時間と空間の倫理も、併行して固
めなければなりません。

そのうえ、時空の問題に風穴をあけることになるであろうCERNの、さまざまな
大発見のニュースが、科学者ではない一般市民の日常の中にも飛び込んできま
す。それは、我々の想像力をかきたてます。

機器としてのタイムマシン──デロリアンに乗ってヒトが時空を移動する──
の話をしているわけではありません。ただ、特定のヒトに対して、時間を操作
したかのようにように認識させる技術(しかも比較的誰でも使えるような)は、
未来のある時点で実用化されると考えます。

科学も技術も進歩します。30年先まで、一気に、加速をつけて。

「いまここ」にはない時間と空間の情報が操作されるとき、どのような倫理的
問題が生じるかを洗い出し、時間と空間の操作の制約を定め、それでもなお残
る問題をいかに解決するのが妥当かを問う、「Space - Time Ethics(時空倫
理学)」(※6)が必要です。

科学的発見から派生した技術は、科学者の純粋な探究心の範囲を超えて、社会
の中で用いられてきた歴史があります。実際、Fukushimaは現在進行形ではあ
りませんか。地球上の市民がインターネットで結びつくことのできるこの時代、
科学技術が我々を真に豊かにしてくれる方向へと向かうよう、時空倫理の問題
を考えていかなければなりません。

●学者任せにせず、一般市民も自分の頭で考えよう

時空倫理は、我々全員の日常生活に関わる問題です。時間と空間の情報が操作
されると、利益を得るヒトがいる半面、損害を被るヒトもいます。

誰しも、受け入れがたい不条理に対して、自分なりの考えを持ち、主張するこ
とができます。一般市民が、電力や防災について考えるのと同じ切実さで、こ
の問題について考えてみることが望ましいのではないでしょうか。決して専門
家に任せておけばよいというものではありません。

いや、そんな哲学だの倫理だの面倒くさそうな……と、厄介な問題が降って湧
いたように感じられるでしょうか。

なに、大仰に構える必要はありません。哲学とは、ギリシャやドイツの学者の
原著を読破して膨大な知識を蓄積することではないはずです。アカデミックな
知識はないよりはあった方がよいでしょうが、過去の他者の著作を解読する
「哲学研究」や、学校で言葉による考え方を学ぶ「哲学学習」の経験がなくと
も、ヒトは誰でも考えることができます。じゅうぶんな語彙を知らない乳幼児
でも、絵や概念で考えることができるのですから。

自分で生き、感じ、考え、気付きを得れば、それはそのヒトの哲学ではないで
しょうか。

我々一市民は、自分の問題として、自分の頭で考えなければなりません。そし
てもちろん、この連載のテーマである「データ・デザイン」に業務で関わるエ
ンジニアは、これまでの記事で述べてきた「一意性」の問題と絡めて、この時
空倫理における問題を捉えていく必要があるでしょう。

※1 以前の記事「第7回 脳活動センシングの進化が作曲を変える」
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20110613140100.html >

※2 "Internet of Things" (モノのインターネット) をビルドする
< http://msdn.microsoft.com/ja-jp/magazine/hh852591.aspx >
からリンクされているPDF資料によれば、2020年には50億の人々が500億の "モ
ノ" に接続するようになる(P.18)。また、総務省の発表によると
< http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban03_02000096.html >
平成23年12月末時点での携帯電話及びPHSの人口普及率は101.4%で、一人1台以
上の端末を保有していることになる。

※3 トランザクションを理解するための例としては、銀行の引き出しと預け入
れや、販売と在庫管理がよく引き合いに出される。

たとえば、いまA社の材料の在庫データが、n個あるとする。業務部員が在庫n
個を確認し、在庫データに100個を追加する。ところが、製造部員が、在庫n個
を確認して10個を使っており、在庫データを更新する。すると、在庫データは
(n-10)となる。その後で、業務部員の手配した100個が上書きされると、在
庫は(n+100)個となってしまう。

このような事態を避けるため、業務部員が在庫n個を確認して100個を追加する
という一連の手続き(トランザクション)が完了するまで、製造部員の更新作
業を排他制御する。これにより、正しい在庫数である(n+90)個が得られる。

※4 「暴走する脳科学 哲学・倫理学からの批判的検討」河野哲也著、光文社
新書

※5 「脳のなかの倫理 脳倫理学序説」マイケル・S・ガザニガ著、横山あゆ
み訳 紀伊国屋書店

※6 「Space - Time Ethics (時空倫理学)」は、筆者の造語。オルタナティ
ブ・ブログ、イメージ AndAlso ロジック「3年後〜30年後。暮らしに関わる、
10の問題」
< http://blogs.itmedia.co.jp/seindesign/2011/09/33010-9a1f.html >

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■Windows 8 10月26日いよいよお目見え!!

≫Blogging Windows "Windows 8 will be available on…"
< http://windowsteamblog.com/windows/b/bloggingwindows/archive/2012/07/18/windows-8-will-be-available-on.aspx >

≫Surface for Windows RT
< http://www.youtube.com/watch?v=dpzu3HM2CIo&feature=player_detailpage#t=5s >

■"Windows Phone アプリの開発者向け" Windows Phone 無料アプリ

≫「センサー計測セット」(日本語版)6月1日〜公開中
< http://www.windowsphone.com/ja-JP/search?q=SeiSeindesign >

≫「Sensors Set」(English)7月23日公開
< http://www.windowsphone.com/en-US/search?q=SeiSeinDesign >

■Free Online Book

「Windows Phone 7, Beginning Silverlight 4 Programming - Accelerometer
and Sound -」
This book is written about an accelerometer and sounds.

≫Download
< http://sei.seindesign.net/Book2/Default.aspx >

■3曲入りアルバム"Change The Brain"(巡音ルカ)

「人生の卒業」(日)は、高齢者の晩年から自然死にいたるまでの認知機能の
描写。「Change The Brain」(英)はニューロエシックスにおけるエンハンス
メント、「Don't Cry, Mama」(英)は虐待の連鎖を阻止する脳の制御がテー
マ。7月30日、iTunesストア発売「予定」。

≫一部試聴ページ(Windows Phone 対応)
< http://lyric.seindesign.net/info/ChangeTheBrain.htm >


【薬師寺聖/個人事業所セイザインデザイン】
個人事業所 < http://www.seindesign.net/ >
ブログ < http://blogs.itmedia.co.jp/seindesign/ >
PROJECT KySS < http://www.projectkyss.net/ >
< infosei@seindesign.net >

絵・音・詩・文・コードを扱うフリーのクリエーター、思索家。エンジニアリ
ング会社を経てデザイン事務所に勤務後、XML1.0勧告翌月に退職して開業。
科学技術や医療・福祉分野のXML案件を手がけながら、書籍や記事を多数執筆
(PROJECT KySS名義)。四国在住。
Microsoft MVP for Development Platforms - Client App Dev (Oct 2003-Sep
2012)

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編集後記(07/23)

●「大江戸釣客伝」の中に出て来た、夢枕獏の「忠臣蔵」解釈も興味深い。ま
ず、吉良義央はこの物語の中では好人物である。浅野長矩が義央に包んで来た
金が、慣例の1200両より少ない700両であった。吉良側が「以前より少のうご
ざりますな」と言うと、「二度目であるので委細は承知しているから…(これ
くらいが適当であろう)」と煮え切らない。義央は鼻白む。だから今回は手取
り足取り教えたわけではない。訊ねられれば教えはするが、長矩も意地になっ
て訊ねにこない。だが、浅野がしくじったら饗応役指南役たる吉良の責任とな
る。役目上、義央は浅野の様子をそれとなくうかがっている。これを長矩は、
自分がいつ失敗するか、あら捜しをしていると見た。当日、長矩は礼服を間違
えた。思わず義央は衆目のあるところで咎めてしまう。そして、長矩の癇癪が
爆発した。……という説で、説得力はある。

しかしこの作品では、饗応にかかる金を出すのは饗応役を仰せつかった藩で、
その額は1200両である、指南料として多少は吉良の懐に残すが、多くは饗応の
費用として消える、と書いていながら、指南料が通常は1200両だがそれは慣例
であるとか、長矩が家臣に「吉良に賄賂を贈るべし」といわれ激怒したとか、
肝心の金の性格に関して、いくつもの記述があるのはどういうことだ。いずれ
にせよ、このケースでは喧嘩両成敗の理屈は通らず、浅野が罰せられるのは当
然である。

さて、世間はみな赤穂の浪人たちの味方である。赤穂の浪人が吉良邸に討ち入
りする、そういう期待が世間では高まっている。赤穂の浪人たちも世論に背を
押され、やらねばならぬ、やらねば面目が立たぬと考えるようになってしまっ
たのではないか。何かが起こらねば納得しない世間がある。吉良も哀れ、赤穂
の浪人たちも哀れ。彼らはいずれも所詮はそういう世間によって、時代の前に
引き出されてしまった贄なのではないか。……という説も、説得力はある。そ
ういえば、何かが起こらねば納得しない世間がありましたな。2009年の8月。
アレ以来、日本はとんでもない方向に曲がってしまいましたな。無責任な世間
なんてそんなものです。                    (柴田)

●デオドラント・ボディペーパー。先月末のイベントで、湿気と朝からの労働
で汗だくで気持ち悪い。後片付けをしていたら、ひとりの男性がボディペーパ
ーで顔や首筋を拭いていて、一緒にいた男性と私に「使いますか?」と分けて
くれた。使うとヒャッ、シャキ。これはいい! 女性向けのはパウダーが入っ
ているものがあり、使うとサラサラになるが、ここまでのヒヤシャキはないよ
うに思う。ハウス・オブ・ローゼのミントリープシリーズが好きな友人。「こ
のシリーズは8月には売り切れたりするから、売り出したらすぐに買わないと!」
と言ってお店へ行き、お目当てのボディソープを購入。付き合いのつもりが、
試してヒャシャキサラサラだったコンディショナーを買ってしまった。店員さ
んがサンプルにと新製品のボディクールシートを一枚ずつくれて、試したらヒ
ャシャキサラサラ。これはいいわ〜、と言いつつ思い出したのがイベントでも
らったボディペーパーのヒヤシャキ。価格も手頃だし、とギャツビーの氷冷タ
イプボディペーパーを買ったよ。女性向け商品の氷冷タイプってないのかしら。
                            (hammer.mule)
< http://www.houseofrose.co.jp/topics/detail.php?v_op=1&v_ni=286 >
ミントリープシリーズ
< http://www.gatsby.jp/products/catalogue/bodycare/idbp_ifruity.php >
他は売り切れてて、これしか残っていなかった
< http://www.cosme.net/product/product_id/10007876/top >
AG+のクリアシャワーラージシート(クール)はギャツビーの次にスースー
らしい。

< http://hamusoku.com/archives/7261318.html >
ハリウッド映画を独特なタッチで描いた作品
< http://ascii.jp/elem/000/000/709/709258/ >
全118種類を解説!元素が実物で見られる『元素のふしぎ展』
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ITmediaの関連サイトが隠しテキストでペナルティ

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