2011年10月28日金曜日

日刊デジクリ[#3142] 怖いもの見たさの夜

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.3142    2011/10/28.Fri.14:00.発行
http://www.dgcr.com/    1998/04/13創刊   前号の発行部数 10036部
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        《それはそのはず夢の中なのだから……》

■映画と夜と音楽と…[520]
 怖いもの見たさの夜
 十河 進

■ところのほんとのところ[65]
 エゴイスト
 所幸則 Tokoro Yukinori

■イベント案内
 東京デザイナーズウィーク2011

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■映画と夜と音楽と…[520]
怖いもの見たさの夜

十河 進
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20111028140300.html >
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      〈アウトレイジ/喜劇 女生きてます/月はどっちに出ている/
                  ラブ・レター/パーマネント野ばら〉

●深夜の歌舞伎町には黒い肌をした客引きばかりが目立った

恥ずかしながら女性が隣につくような酒場には、自分の金で入ったことはない。
ということは奢りでしかいっていないのだが、その場合も数えるほどしかない。
20代のとき、当時の上司に連れられて伊勢丹会館にあったキャバレーに入った
のが最初だった。「ロンドン」とか「クインビー」といったキャバレーが、深
夜にテレビCMを流していた頃のことである。キャバレー王こと福富太郎がタレ
ント並にテレビに顔を出していた。

だから、数年前に昔なじみの編集プロダクションの社長に、歌舞伎町のキャバ
クラに連れていかれたときは勝手がわからず、10分おきに隣に座る女性が交替
するのに面食らった。彼女たちは肩をむき出しにしたドレスで目のやり場に困
り、肩が触れあうのを避けるように身を縮め、話題を見付けるのに苦労した。
日本国籍ではない人もいた。編集プロダクションの社長はなじみの女性を指名
して、ずっと話をしている。結局、一時間足らずの間に僕は5、6人の女性と会
話することになった。

キャバクラを出た後、編集プロダクションの社長と歌舞伎町を歩いていると、
やたらに客引きが声をかけてきたが、その人たちの多くが肌が黒いのに驚いた。
別に日焼けした人がいっぱいいたわけではなく、ナイジェリアやジャマイカと
いった国から日本にきているらしい。そんな遠くからきて、何も歌舞伎町で客
引きをやらなくても…と思ったが、最初からそのつもりできたわけではないだ
ろう。そう言えば大沢在昌さんの「新宿鮫 狼花」は、歌舞伎町のナイジェリ
ア人たちのトラブルから物語が始まる。

先日、ゴールデン街の「深夜+1」で「渋谷の巨匠」ことシェフのカルロス兄
貴と会い、店を出て歌舞伎町を抜けているとき、日本語のうまい黒人に声をか
けられた。カルロスが立ち止まり、その黒人の相手を始めた。今は渋谷でスペ
イン料理のレストランを出しているが、10数年前は新宿の末広亭の近くで店を
持ち、それよりずっと以前はゴールデン街で数軒の酒場をやっていたというカ
ルロスだから、歌舞伎町は庭みたいなものだ。僕は、カルロスが黒人の客引き
をからかっているのだろうと思って見ていた。

──たまには、こんな店いってみるか?

カルロスが僕を振り向いて言った。えっと思ったが、カルロスと一緒ならどん
なことになっても大丈夫という安心感があり、たまには冒険してみるかという
気になり、「いいですよ」と返事をしていた。客引きの黒人は「二人で90分、
一万円」と繰り返す。その黒人とエレベーターに乗ると、カルロスが千円札を
出して渡す。チップである。そんなこともカルロスが場慣れをしているように
見え、40年近く勤め人をやってきた僕とはまったく違う人生を送ってきたのだ
なあ、兄弟分になってよかったなあ、としみじみ思った。

その黒人に「日本語うまいね。どこからきたの?」と訊いてみた。「ジャマイ
カ」と答えたので、「フェアウェル・ジャマイカだね」と言って、その歌を少
し口ずさんだ。相手は「もう2年もいるよ」と白い歯を見せて言う。人好きの
する笑顔だった。彼が店のドアを開けたところで僕は一万円を払おうとしたが、
札挟みに引っかかり札が破れた。「ダイジョブよ」とひったくるようにして黒
人が一万円を受け取り、店の男に渡した。

客は、他に誰もいなかった。壁際にどこの国の人かわからない女性が、4人並
んで座っていた。その向かいのテーブル席に案内され、カルロスと一緒に腰を
降ろす。テーブルに水割りが置かれた。カルロスに「場末のスナックみたいで
すね、兄貴」と囁くと、壁際にいた女性たちがやってきた。「間に入るから、
開けてください」と変なイントネーションで女性が言う。横に置いた僕のバッ
グを「重〜い」と言いながら持ち上げて遠くへ移す。当たり前だ、本が2冊に
iPadが入っている。

●「イングロリアス・バスターズ」のメラニー・ロラン似の女性が…

カルロスの両脇に座ったのは背の高い黒人女性と、国籍不明の女性だった。僕
の左手に腰を降ろしたのは白人の(本物かどうかはわからないが)金髪女性、
右に座ったのはコギャル風化粧の女性だった。コギャル風の方は、見た目はビ
ヨンセの形態模写をする太った女性タレントに似ている。「えーと、どこの出
身?」と両方に訊くと、左から「フランス」という答えがあり、右からは「私
は日本人よ」と少しムッとした口調が返ってきた。

僕は、日本語がたどたどしいフランス女性の方に向き、「昔、初めて習ったフ
ランス語が『ジュ・マルシュ・ビット』だったんだよね」と言った。とりあえ
ず、喋っておこうと思ったのだ。こういう店で沈黙すると間が悪くて、女性か
ら「どんなお仕事ですかあ〜」などと訊かれるのがイヤだった。ところが、僕
の下手なフランス語が通じたらしく、フランス女性(照明が暗かったから、ち
ょっと「イングロリアス・バスターズ」のメラニー・ロラン似に見えた)が笑
った。

それからしばらく「ジュマペール・ソゴー」だの、フランス語はどうして男性
名詞と女性名詞があるのだという、酒場の話題にはあまり似つかわしくないこ
とを僕はまくしたててしまった。おまけに「『ル・リス・ダン・ラ・バレ』っ
てあるじゃない、バルザックの…。花は女性名詞なのにユリは男性名詞なんだ
よね」と僕が言うと、そのマドモアゼルは「ル・リ…? バルザック?」と首
をひねる。僕の発音がまずかったか。あるいは、この娘はバルザックも「谷間
のユリ」も知らないのか。

そんな10分足らずが過ぎ、右隣のコギャル風女性がテーブルに置いてあったメ
ニューを取り上げた。おもむろに「お店のシステムの説明は聞きましたよね。
私たちも飲み物か何か頼んでいいですか?」と言う。たぶん、警察沙汰になっ
たとき、ちゃんと説明しましたよという言い訳を用意しておきたいのだ。おい
おい、システムの説明は聞いてないし、飲み物頼まれても…と僕は思ったが、
なぜか口から出た言葉は「ああ、いいよ」だった。

しかし、そのとき僕の目はメニューに書かれた飲み物の値段が、すべて5000円
以上であることを確認していた。えっ、ふたりで頼んだら一万円、お代わりし
たら二万円、フルーツ出てきたらウン万円…と気付き、僕は一気に酔いが醒め
た。それと同時に、僕は北野武監督作品「アウトレイジ」(2010年)のワンシ
ーンを思い出していた。ぼったくりバーで、スーツを着込んだ男が脅されてい
るシーンだった。

中年サラリーマン風の男が盛り場を歩いていると、客引きにつかまる。口車に
乗せられて、中年男は酒場に入る。次のシーンでは法外な金額の請求を受けて、
泣きそうになっている中年男がいる。中年男を取り囲んだ男たちが凄む。中年
男は「事務所が近くにあるから、そこで払いますよ」と気弱そうに言う。客引
きの若い男が付け馬になって中年男と一緒に事務所へいき、ドアを開けると怖
そうな男たちが勢揃いしている。そこは別のヤクザの組の事務所だったのだ。

「アウトレイジ」の場合は、相手の組に因縁をつけるきっかけ作りのために、
サラリーマンにしか見えないヤクザがわざとぼったくりバーに引っかかるのだ
けれど、僕の場合はちょっとした冒険心(?)というか、「怖いもの見たさ」
で窮地に陥ったのだ。「君子危うきに近寄らず」を信条にして生きてきた僕に、
一度、こんな場所を経験しておくのもいいかという余裕が生まれたのは、カル
ロスが一緒だったからである。言い訳かもしれないが、好色な気分はなかった
(と思う)。

やれやれ、ここはぼったくりバーだったんだな、と僕が思ったとき、「おい、
兄弟、出るぞ」とカルロスが言った。そのとき、巨体のバーテンがすばやく反
応した。何か起こるか、と警戒したが、僕はカルロスに続いて立ち上がり重い
鞄を抱えた。カルロスがゆっくり店を横切る。その後ろについて、僕も店を出
た。「もう、帰るの」と誰かが言ったような気がした。エレベーターに乗った
後、カルロスが「あのままいたら、とんでもないことになってたな」と笑った。

●どうしょうもなくダメな人間たちが猥雑な世界で懸命に生きている

どうしょうもなくダメな人間たちが懸命に生きている。猥雑で、下世話な世界
で這いずりまわるように、それでも懸命に生きている。そんな姿に好感を持つ
傾向が僕にはある。昔から、生きる切なさを物語で感じさせるなら、登場する
男はヤクザ、女は娼婦に設定するのがいいと思っているくらいだ。誰だって苦
界でなど生きたくはない。しかし、堕ちて堕ちて、社会の底辺に巣くうヤクザ
や娼婦にならざるを得なかった人間たちもいる。それより他に生きる道がなか
ったのだ。

そんな男や女たちを共感を込めて描いたのは、森崎東監督だった。「喜劇 女
生きてます」(1971年)「女生きてます 盛り場渡り鳥」(1972年)「喜劇 
特出しヒモ天国」(1975年)などでは、ストリップや風俗の世界で生きるしか
ない女たちの姿が偏見のない目で描かれる。森崎東の視線は、彼女たちと同じ
高さにある。ずるい女もいる。だらしない女もいる。ダメな男と別れられない
女もいる。男を騙す女もいる。しかし、そんな人間たちはどんなエリートの世
界にもいる。

その後、そうした世界で描かれる女たちは様変わりする。在日韓国人やアジア
の国から日本に出稼ぎにきた人間たちを描いた、催洋一監督の「月はどっちに
出ている」(1993年)でフィリピン・パブの女を演じたルビー・モレノが代表
的だが、外国人女性たちが風俗街の中心になっていく。それは、現実世界の反
映だったのだろう。南米やアジアの外国人たちが徘徊する歌舞伎町を舞台に描
いた、馳星周の「不夜城」が出版されたのは1996年の夏のことだった。

ある意味では、風俗の世界には人種偏見がないのかもしれない。酒と女…、そ
こにやってくる男たちの目的はハッキリしている。それを提供できるのなら、
国籍や人種はどうでもいいのだ。だから、歌舞伎町では黒い肌の男たちが客引
きをし、中国、台湾、フィリピン、タイ、ブラジルといった国籍を持つ女たち
が男たちの欲望を引き受けている。

森崎東監督にも、そんな世界を描いた作品があった。浅田次郎の短編を映画化
した「ラブ・レター」(1998年)だ。男(中井貴一)は、歌舞伎町でビデオ屋
の店長をやっている半端者である。もちろんその店では裏ビデオを扱っている
し、店そのものがヤクザ系の経営である。ある日、男は兄貴分に頼まれ、金を
もらって中国からきた女と偽装結婚をする。しかし、入管審査のときに一度だ
け会った女のことなど男はすぐに忘れてしまう。

女は日本語もたどたどしいのに、ヤクザ組織によって地方の酒場に送り込まれ、
客を取らされる日々を送る。女は故郷へ仕送りをするために、日本にやってき
て身を売り続けるのだ。まるで、昭和初期の東北の農村の娘たちのようではな
いか。貧しさ故に、彼女たちは親に売られた。10数年前、蛇頭に大金を払って
まで、中国から日本にやってくる女性たちも同じだったのかもしれない。しか
し、彼女は病で倒れ、息を引き取る。一通のラブ・レターを遺して…。

男は偽装結婚した中国人の妻が死んだため、迷惑に思いながらも亡骸を引き取
りにいき荼毘にふす。遺骨を抱えて立ち寄った、妻の働いていた酒場の寒々し
い屋根裏部屋の隅に置かれた遺品の中に、その手紙を見付ける。手紙を読み上
げるシーンが原作のヤマ場でもあり、映画のハイライトシーンだった。映画で
は、死んだ中国人妻の声で読み上げられる手紙の内容が涙を誘う。たった一度
しか会わなかった夫への切々たる心情が綴られる。苦界に身を沈めた女の哀れ
さが胸を打つ。

●怖いもの見たさと言い訳しながらバカを承知でバカなことをする

「苦界に身を沈める」なんて言葉は、もう死語なのだろう。あるいは、そうい
う事態を生み出す状況が、現在の日本にはなくなったのかもしれない。誰もが
携帯電話を持っている、21世紀の日本である。いくら国が借金まみれだといっ
ても、貧しさのために身を売るなんて何10年前の話だよ、ということか。今や
手っ取り早く稼げるからという理由で、水商売や風俗系の仕事に就くのかもし
れない。どんな風に稼いでも、金は金だ。多い方がいい。

先日、「パーマネント野ばら」(2010年)という映画を見た。西原理恵子のコ
ミックを原作とし、三人の女性たちの友情物語であるのは「女の子ものがたり」
(2009年)と共通するが、こちらの方はさらにほろ苦い物語になっている。女
たちの生態が露悪的に晒されるけれど、これは男には描けない世界である。高
知県の小さな漁村にある美容院「野ばら」で女たちが交わす会話はあけすけす
ぎて、僕などときに恥ずかしくなる。

その映画の中で、主人公(菅野美穂)の幼なじみ(小池栄子)は、フィリピン
パブみたいな酒場を開いている。いかにも田舎町のパブのママ風の出で立ちで、
小池栄子は店の女と男を奪い合う。たどたどしい日本語を口にする国籍不明の
女たちは、あっけらかんと男たちの相手をし、夜が明けると「ママー、帰るよ
ー」と言いながら帰っていく。きっと、現実もこんな風なんだろうなあ、と僕
は思った。誰も苦界などとは思っていない。

「パーマネント野ばら」で印象的だったのは、深夜の電話ボックスにしゃがみ
込んだ菅野美穂が、受話器に向かって涙を流しながら訴えるシーンだった。
「どうしてこんなにさみしいが…、さみしゅうてさみしゅうてならんが…」と
土佐弁で彼女は心の奥の悲しみを口にする。魂の叫びのようだった。こういう
場合、土佐弁というのが効いてくる。西原さんが熟知する土佐の漁村を舞台に
した、可笑しくて悲しい物語だった。

ところで、ぼったくりバーを出た僕とカルロスは、その後、焼鳥屋へ入って手
羽先を食べ、「どん底」へいって柳ジョージが死んだことを知り、深夜にタイ
料理屋でトムヤンクンを食しながらタイビールを飲み、渋谷の店に帰還した。
翌朝、カルロスが前夜を振り返って口にした「あの店のバーテン、ごつい体格
してたけど、俺たちをその筋の人間と間違ったみたいだな」という言葉で納得
した。

確かに、カルロスの風貌はその筋の人に見える。体は大きいし、髪は短く刈り
込んでいて、ヒゲを生やし、堅気には見えない。初めて「深夜+1」のカウン
ターでカルロスに会ったとき、僕にも正体はわからなかった。そのときは黒い
ソフト帽をかぶっていて、毒舌を吐きまくり、何かを罵倒していた。××組の
幹部だと言われれば、僕は間違いなく信じただろう。凶暴オーラをまき散らし、
全身から醸し出す雰囲気は、その筋の人に近い。

──そうすると、さしずめ僕は経済ヤクザだね。頭が切れる現代ヤクザ。スー
ツもビシッと決めてたし、フレームなし眼鏡越しの目が鋭いと言われるし。

僕はカルロスを「兄貴」と呼び、カルロスは僕のことを「兄弟(きょうでぇ)」
と呼ぶ。これじゃあ、誰だってその筋の人だと思う。しかし、還暦を過ぎたス
ペイン料理界の重鎮シェフと、某出版社でそれなりの責任あるポジションにい
る還暦間近の男の会話じゃないな、と反省しきりの二日酔いの朝だった。もっ
とも人間だから「さみしゅうてならん」ときもあり、怖いもの見たさと言い訳
しながら、今夜もバカを承知でバカなことをしそうな気がする。懲りないなあ、
まったく。

【そごう・すすむ】sogo@mbf.nifty.com http://twitter.com/sogo1951
チケットを二枚もらったので「夜明けの街で」をカミサンと金曜の夜に見にい
った。不倫の話である。夫婦で見るには、最も適さない映画だった。別に身に
憶えはないのに、つい隣に座るカミサンの反応をうかがってしまう。元来、映
画はひとりで見ることにしていたくせに、大失敗。妻役の木村多江さんの美し
さだけが救いだった。しかし、ラストシーンの木村さんは怖い。

●第25回日本冒険小説協会特別賞「最優秀映画コラム賞」受賞!!
既刊三巻発売中
「映画がなければ生きていけない1999-2002」2,000円+税(水曜社)
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「映画がなければ生きていけない2007-2009」2,000円+税(水曜社)
●朝日新聞書評欄で紹介されました。紹介文が読めます。
< http://book.asahi.com/book/search.html?format=all&in_search_mode=title&Keywords=%E6%98%A0%E7%94%BB%E3%81%8C%E3%81%AA%E3%81%91%E3%82%8C%E3%81%B0%E7%94%9F%E3%81%8D%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%91%E3%81%AA%E3%81%84&x=20&y=18 >

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■ところのほんとのところ[65]
エゴイスト

所幸則 Tokoro Yukinori
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20111028140200.html >
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[ところ]は前回の「EyemazingとZoom」を書き終わってから、しばらく体調
を崩していました。残された人生で何をなすべきか、どうなる放射能問題、わ
けのわからない怪物のようなクレーム親父との戦い、ずいぶん歳をとった両親
のこと、愛している子供達の今後のこと、他にも書けないようなことがこの半
年くらいの間山積みになっていて、しょっちゅう体調を崩してはいましたが、
今回はかなりきつかった……。

[ところ]が創りたいこと、それを発表し続けること、それと生活を両立させ
ること。それって大変なことだったんだなと、この数年間で学びました。やり
たいことを夢中で続けている間は、どこか現実感がなかった。

それはそのはず夢の中なのだから……。生活との両立なんてリアルなことは考
えつくはずもなく、魚のように夢のなかを泳ぎ続けていたんだなと……。それ
で得たもの、与えたもの、失なったもの、いろんなものがあったことに、最近
ようやく気づいた[ところ]です。今でもその癖は抜けていなく、現実に処理
しなければならないことを忘れるのはしょっちゅうです。

そういう意味でも、歳を重ねる間に学習すべきことができていなかった[とこ
ろ]でした。いま社会との関わりのなかで、折り合いをつけなければならない
ことのあまりの多さに、心が耐え切れなくなって、体調を崩していたのだろう
と考えています。

[ところ]は体調がいくら悪くても、今の時点では、写真について人と話した
りするときだけは頭が回るようです。それに気づくと、[ところ]はなんてエ
ゴイストなんだろうって思います。

創造し、それを発表するという仕事に携わる人たちは、どこかエゴイストでな
いとできないのだろうと思う。それは自分勝手な理屈なんだろうかと一瞬考え
ますが、やはりそういうことに間違いないと[ところ]は認識することにしま
した。まずは体調を整え、もう少し頑張ろうと思っています。

ニコニコ動画で不定期ながらしばらく「ファインアート写真のこれから」をテ
ーマに、荻野章太(ギャラリスト志望)と二人で「ファインアートとしての写
真とは? 写真家とは?」「日本でファインアート写真が普及するか否か」
「ファインアート写真家の思想」「作品が購入されたその先」など話しあって
みようと思っています。必要な人が追加で出る場合もあります。

・ニコニコミュニティ「写真家の異常な愛情」
< http://com.nicovideo.jp/community/co60744 >

【ところ・ゆきのり】写真家
CHIAROSCUARO所幸則 < http://tokoroyukinori.seesaa.net/ >
所幸則公式サイト  < http://tokoroyukinori.com/ >

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■イベント案内
東京デザイナーズウィーク2011「LOVE 地球への愛、ヒトへの愛、モノへの愛」
< http://www.tdwa.com// >
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20111028140100.html >
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TOKYO DESIGNERS WEEKは、今年で26年目を迎え、国内外の企業・デザイナー・
大使館・団体、ギャラリーがそれぞれの作品や取り組みを発表します。明治神
宮外苑前広場を中央会場とし、青山を中心とした70以上のSHOPやギャラリー、
カフェが参加するSHOP EXHIBITIONと連動する都市型デザインイベントです。
今年は「LOVE 地球への愛、ヒトへの愛、モノへの愛」をテーマに、デザイン
だけでなく、現代アート、音楽、ワークショップなど、幅広いクリエイティブ
を体感できる場として大人から、子どもまで楽しめるイベントして展開します。
(サイトより)

日時:2011年11月1日(火)〜6日(日)11:00〜21:00(最終日18時予定)
会場:明治神宮外苑絵画館前 中央会場(東京都新宿区霞ヶ丘町2-3)、都内
SHOP
参加費:当日2,500円、前売2,000円
主催:デザインアソシエーションNPO

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■編集後記(10/28)

・麦焼酎「いいちこ」の駅貼りB倍ポスターは1984年からもう27年も続いてい
る。初年度以外は毎年12枚だから大変な点数になる。美しい風景の中にいいち
このボトルが置かれた写真、一行コピーとロゴというシンプルな構成が一貫し
ている。初めの頃はボディコピーもあったが86年からは一行コピーになり、ボ
トルも目立たなくなった。高いクオリティをこんなに長期間持続しているんだ
からすごい。大好きなおもしろサイト「Daily Portal Z」で「いいちこがある
風景は切なく見える、か?」というしゃれた記事を読んだ。「いいちこ」のポ
スターはなぜ格好いいのか。いろいろ試して研究した結果「いいちこ、風景、
よくわからないコピーが揃うと結構良い感じにいいちこポスターになるんじゃ
ないかと思う。名付けて、いいちこメソッドである」と気がついたので、その
メソッドで遊んでみようという企画だ。「いいちこ」ポスターそっくりさんを
たくさん作って掲載しており、じつに楽しい。そして写真がうまい。そのうち
メソッドを応用したり崩したりして遊ぶ。さきいかやウーロン茶、かっぱえび
せんをプラスしたり、別商品を対象にしたり、もうやり放題だ。切なさとか叙
情を表すのに食べ物はダメ、人が入ると決定的にダメという結論も出た。ナイ
スな企画だ。わたしもやりたい。ところで、先日の「いいちこ日田全麹」の新
聞広告。コピーの締めが「この焼酎は、うまいです。」だって。違和感あるな
ー。従来「形容詞+です」は使用禁止の日本語だったはずだ。このコピーは、
まずいです。                         (柴田)
< http://portal.nifty.com/kiji/111025149183_1.htm >
いいちこがある風景は切なく見える、か?(Daily Portal Z)

・社会人になってから行った専門学校の卒論で、いいちこのアートディレクタ
ー河北秀也氏の『河北秀也のデザイン原論』を参考書籍にした。図書館で借り
たら、先に勉強した人がいたらしく、大事なところには全部、線が引いてあっ
た。内容をすっかり忘れてしまっているので、読み返したくなってきたよ。/
ケチすぎて収納用品を買うのすらためらっていた頃があった。いまは収納のた
めにはそれなりのものが必要だと気づいたし、それがイヤなら物を買うな、で
ある。前々から欲しかったTEPRAも買った。ずーーーっと別のが出るのを待っ
ていたのに、結局買ったのは従来品。Macでも使えるSR3700P。せめてSR3900P
をと思ったが、Mac使えず。資料類はすべて個別のクリアファイルに入れて、
座って手の届く本棚に。いちいち引き出して探すのは面倒なので、ポストイッ
トに手書きで件名を書いて、手前(背に近い部分。隣との隙間を少し広げると
見えるところ)に内側から貼付けてある。これを昇格させるため、鏡面プリン
トのできるラベルライターが必要だったのだ。件名をプリントしたA4用紙を一
番上に置く人もいるだろうが、私は上へ上へと置いていくため、1枚上をよけ
て収納するのがめんどくさい。上へ置くのは、何か知りたい時って、新しいも
のが多いから。本棚からクリアファイルを傾けるだけで、軽く中身を確認でき
る。請求書類は穴を開けて綴じるが、納品書類はさほど重要ではないのでクリ
アファイルに放り込む。何をいつどこから買ったか調べたい時に便利。ネット
通販だと販売店名と販売会社名が違っていて、メールでのやりとりと違う社名
がハンコつきであったりするよ。SR3700P、SR3900PへはiPhoneからも直接プリ
ントできる。鏡面プリント、縦書きは不可。        (hammer.mule)
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