2012年5月25日金曜日

日刊デジクリ[#3267] 半世紀を演じ続けたふたり

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.3267    2012/05/25.Fri.14:00.発行
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           《撮った本人ですってばー》

■映画と夜と音楽と…[545]
 半世紀を演じ続けたふたり
 十河 進

■Otaku ワールドへようこそ![153]
 河原に点在する限りなく軽い存在たち
 GrowHair

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■映画と夜と音楽と…[545]
半世紀を演じ続けたふたり

十河 進
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20120525140200.html >
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              〈小川の辺/東京流れ者/無頼・人斬り五郎〉

●藤竜也と松原智恵子が演じた「小川の辺」の隠居夫婦

僕は藤沢周平さんの愛読者で映画化作品はすべて見てきたが、なぜか藤沢さん
は生前には自作の映画化を許可しなかった。テレビドラマになった作品はずい
ぶんあるが、作品の映画化は作者の没後に実現した。それでも山田洋次監督が
映画化した三作、黒土三男監督が悲願を達成した「蝉しぐれ」(2005年)、北
川景子が主演した「花のあと」(2009年)、評価の高かった「必死剣 鳥刺し」
(2010年)など、それほど多くはない。

篠原哲雄監督は「山桜」(2008年)に続いて、「小川の辺」(2011年)を映画
化しており、やはり藤沢周平作品に愛着があるのではないかと思う。作品歴を
見ると抒情的なものが多く、そういう資質の監督なのかもしれない。「小川の
辺」は「山桜」に続いて主人公に東山紀之を起用し、ストイックな武士像を描
き出した。登場人物たちの挙措動作にもメリハリがあり、時代劇好きの僕を喜
ばせてくれた。

冒頭、戌井朔之助(東山紀之)が家老(笹野高史)の役宅を訪れるところから
始まる。笹野高史の芝居がたっぷり間を取ったものでじれったいほどだが、時
代劇の時間が流れ出すのがわかった。このゆったりした時間が時代劇なのだな
あ、と実感した。その後、朔之助は家老から脱藩した佐久間森衛の討手を命じ
られる。佐久間は朔之助の妹・田鶴の夫であり、田鶴も共に藩を出て行方をく
らませていた。

家老宅を辞して、朔之助は戌井家の屋敷に帰る。その座敷でいきなり、「他の
方にお願いすることはできなかったのですか」と詰め寄るような母親の声が響
く。その母親を演じていたのが、松原智恵子だった。体型は昔と変わらず細く、
和服をキリキリと着こなしている。顔も「細面」と表現したいほど変わってい
ない。ああ、マチバラチエコだ、と僕は思った。

その松原智恵子の言葉に、「お上の処置を、とやこう申してはならぬ。口を慎
め」とたしなめたのは、父親役の藤竜也だった。妻が朔之助に「田鶴が手向か
ったら、どうするのですか?」と問い詰めると、藤竜也は「そのときは…斬れ」
と口にする。その夫にとがめる目を向け、松原智恵子は「おまえ様…」と絶句
する。その後、彼女は子供たちに剣術を教え込んだ夫を責める。

妻と居室に戻った朔之助は、妻(尾野真千子)を相手に「昔から勝ち気な人で
はあったが、父上にあのような言い方をされることはなかった」と述懐する。
その後「母上を頼むぞ」と、父母の関係を気にするようなことを言う。朔之助
は母親に似た勝ち気な妹を思い浮かべ、「田鶴は…手向かってくるであろうな
あ」と妻に漏らす。血の繋がった兄であろうと、上意討ちの討手である己に夫
を助けて手向かってくると彼は確信しているのだ。妹も遣い手なのである。

その後、「小川の辺」は藤沢周平的な武家のしがらみに充ちた世界が展開され、
藤沢作品の魅力だと言われる美しい自然風景が具体的な映像として描写される
のだが、僕は松原智恵子と藤竜也の老夫婦の関係が気になった。隠居の父親は
息子夫婦にすべてをまかせて口出しをしない。上意は絶対であり、肉親への情
は殺さざるを得ないと知っている。

だが、松原智恵子が演じる母親は、家族への愛情だけで生きている。家中にお
ける戌井家の立場などは考慮しない。幼い頃の田鶴の思い出を嫁に語り、田鶴
への情を募らせる。だから義弟の討手を引き受けた息子も、非情にも娘を「斬
れ」と命じた夫も許せない。それは、「仕事と家庭のどっちが大事なの」と迫
る妻の前で絶句する夫のように、現代の夫婦にも共通するすれ違いである。

●松原智恵子は儚げな役ばかりが印象に残っている

松原智恵子は、気の強い女性像を演じる人ではなかった。儚げな役ばかりが印
象に残っている。彼女は日本が戦争に負ける年の一月に生まれ、16歳で映画デ
ビューした。石原裕次郎と小林旭が人気を二分していた頃の日活である。先輩
の女優には、芦川いづみや笹森礼子、子役から出ていた浅丘ルリ子などがいた。
彼女たち以前の日活は、月丘夢路や南田洋子、北原三枝といった女優がヒロイ
ンを担った。

松原智恵子は同い年の吉永小百合、2歳年下の和泉雅子と同じ頃に銀幕デビュ
ーし、日活三人娘として売り出された。ラジオの「赤胴鈴之助」で子役として
仕事をしていた吉永小百合は、「拳銃無頼帖 不敵に笑う男」(1960年)や
「霧笛が俺を呼んでいる」(1960年)などの赤木圭一郎主演作品で注目され、
「キューポラのある街」(1962年)で女優開眼する。

和泉雅子は「銀座の恋の物語」(1962年)や「泥だらけの純情」(1963年)な
どで、ヒロインの友人といったやや目立つ脇役を演じていたが、「非行少女」
(1963年)の主演に抜擢され、その演技が高い評価を受ける。それは「キュー
ポラのある街」で監督デビューした浦山桐郎の二作目だった。吉永小百合も和
泉雅子も粘りに粘る浦山監督の演出に耐え、その演技力をきたえたのである。

松原智恵子の不幸は、強烈な個性を持つ監督に出会わなかったことにあるので
はないか。主演作品は早くからあったのに、浜田光夫と共演した「大人と子供
のあいの子だい」(1961年)は若杉光夫監督、小林旭作品のヒロインに抜擢さ
れた「さすらい」(1962年)は野口博志監督など、プログラム・ピクチャーを
無難にこなす監督ばかりだった。

その意味では、松原智恵子が出会った最初の個性的な監督は鈴木清順だったの
かもしれない。「関東無宿」(1963年)「花と怒濤」(1964年)「俺たちの血
が許さない」(1964年)「東京流れ者」(1966年)に彼女は出演し、今までに
ない役柄を演じた。特に「俺たちの血が許さない」では、人形のような無機質
な演技をしている。しかし、清順監督が気に入っていたのかどうかは分らない。

僕は30年前、「陽炎座」(1981年)を完成させた鈴木清順監督にインタビュー
している(プロデューサーとして荒戸源次郎さんが同席した)のだが、そのと
き「東京流れ者」で「松原智恵子が歌うときに異質な低音の女性の声に吹き替
えたのは、『陽炎座』で妖怪の声を使ったのと同じ異化効果を狙ったのですか?」
と訊いた。清順監督の答えは「ありゃ、松原が歌えなかっただけだよ」だった。

「東京流れ者」で、松原智恵子はナイトクラブの歌手を演じている。くりかえ
し歌う曲はブルース調で、当時なら青江三奈でも歌えば似合いそうな曲だった。
それにしても、あれほど極端に声質の違う人に吹き替えさせなくてもいいんじ
ゃないか、と僕は思った。だって、松原智恵子はレコードだって出してるし、
少なくとも酒井和歌子の歌よりは上手である。

吉永小百合のヒット曲は数知れずあるし、和泉雅子も山内賢とデュエットした
「二人の銀座」がある。ベンチャーズが作曲し、大ヒットした。その結果、19
67年に日活で映画化し、以前から共演が多かった和泉雅子と山内賢のコンビが
定着した。この頃、日活は歌謡曲映画を量産した。歌手を主演にすることも増
え、松原智恵子は、舟木一夫や西郷輝彦主演映画でヒロインを演じた。

●70歳になった藤竜也など想像できるはずもなかった

1941年に北京で生まれた藤竜也は、すでに70歳を越える。「小川の辺」でも枯
れた演技が半世紀に及ぶ年月を感じさせた。藤竜也が日活でデビューしたのは、
「望郷の海」(1962年)である。日大芸術学部の学生で、20歳を過ぎたばかり
だった。もっとも、僕はその映画を見ていない。藤竜也を初めて見たのは石原
裕次郎主演「夜霧のブルース」(1963年)だが、ほとんど目立たないチンピラ
役だった。

藤竜也が初めて騒がれたのは、日活を代表する女優だった芦川いづみの結婚相
手としてである。初期の裕次郎映画のヒロインを演じ、その純情可憐さで多く
のファンを持っていた芦川いづみが、6歳も年下で、ほとんど無名の俳優と結
婚し引退してしまうというニュースを聞いたとき、僕も「なぜ?」と思った。
芸能ジャーナリズムは「格下俳優と結婚引退」と騒いだ。1968年に芦川いづみ
は引退し、今も藤竜也の妻である。

1968年…、まるで芦川いづみとバトンタッチしたかように、藤竜也は作品に恵
まれ注目され始める。清純派だった芦川いづみが、踊り子から娼婦に身を落と
す役で出演した「無頼」シリーズ二作目の「大幹部 無頼」(1968年)に続く、
四作目「無頼 人斬り五郎」の藤竜也は冒頭に登場するだけの役だったが、僕
には強い印象を残した。

藤竜也が演じたのは、人斬り五郎の弟分マサである。冒頭、悪辣なオヤブンを
殺したふたりは刑務所(ムショ)に入るが、マサは重い病気になりムショの病
棟で死にかけている。仮釈放が決まった五郎が面会にきて、マサは姉への言付
けを頼む。日をおかずマサは死に、棺がムショの裏門から運び出される。仮釈
放で出た五郎がそれを見つめている。五郎のナレーションが重なる。

──刑務所で死んで引き取り手のねえ奴は、この裏門から出されて骨は囚人墓
地に埋められる。それを囚人は「裏門仮釈放」という。ムショで死ぬ奴、誰だ
ってムショでだけは死にたくねぇ。そう言い、心で願ぇながら誰かが死んでい
く。マサもそうだった。奴のたったひとりの姉は、とうとう現れなかった。奴
は、あんなに出たがっていた娑婆に、裏門仮釈放でしか出られなかった。

「無頼」は、ヤクザとして生きる悲しみに充ちたシリーズだ。五郎は「ヤクザ
なんて虫けらだ」と言いながら、ヤクザとしてしか生きていけない自分を嫌悪
している。いつか堅気の生活に戻りたいと願いながら、悪辣なヤクザたちに黒
ドスを向けるのだ。そのヤクザの悲しみが、病床で「俺も早く出てぇなあ」と
涙を流す藤竜也の表情で刻み込まれる。情感にあふれた役だった。

その藤竜也は、日活の経営が傾き始めた頃から主演級になった。「日活ニュー
アクション」と呼ばれる作品群である。「野獣を消せ」(1969年)を経て、
「反逆のメロディー」(1970年)の寡黙なヤクザ役に到る。原田芳雄が主人公
のヤクザを演じ、地井武男が対立する組織のヤクザを演じた。藤竜也は地井武
男の組織のボスを仇とつけねらう一匹狼だが、地井武男は藤竜也に惚れて彼を
匿う。

さらに「野良猫ロック」シリーズに出演した藤竜也は、五作すべてで役柄の違
うキャラクターを演じ分ける。「バロン」と呼ばれる不良グループのキザで粋
なリーダー、ベトナム脱走兵を北欧に逃がそうとする男、新宿西口に巣くうフ
ーテン・グループの参謀格など、藤竜也の演技力は一気に花開いたのだ。そし
て、それらの映画で藤竜也に注目したのがTBSのディレクター久世光彦だった。

僕は今でも憶えているが、TBSドラマ「時間ですよ」の初期シリーズで女湯の
更衣室が映ったとき、壁には日活映画「野良猫ロック・セックスハンター」の
ポスターがかかっていた。しばらくして、藤竜也は寡黙な飲み屋の客として
「時間ですよ」に登場しほとんどセリフがないのに人気を得る。その人気に目
を付けた東映が、「任侠花一輪」(1974年)で藤竜也を本格的な主演に迎えた。

●40年前に日活を去った多くの俳優たちが今も活躍している

僕は藤竜也と松原智恵子が同じスクリーンに映っているというだけで「小川の
辺」を忘れない。日活が経営困難からロマンポルノ路線に切り替えた1971年、
このふたりが70近い歳になって夫婦役を演じると誰が予想しただろうか。あの
とき、ロマンポルノには出演しないと多くの俳優たちが日活を去った。石原裕
次郎、小林旭、渡哲也、高橋英樹、浅丘ルリ子、吉永小百合、松原智恵子、梶
芽衣子などだ。

石原裕次郎は石原プロに渡哲也を迎え、多くの日活の俳優やスタッフを引き受
けた。小林旭はしばらく実業の世界へ向かったが、東映の「仁義なき戦い 代
理戦争」(1973年)で復活し、さすがは小林旭だと観客を唸らせた。彼が出演
しなければ、「仁義なき戦い 代理戦争」も「仁義なき戦い 頂上作戦」(19
74年)もあれほどの名作にはならなかっただろう。

日活を出て石原プロに入った渡哲也は70年代前半は映画を中心に活躍し、「仁
義の墓場」(1975年)という衝撃作を持ってはいるが、その後はテレビシリー
ズに出るしかなく、俳優としての作品歴には悔いが残る。松原智恵子も日活を
出た後は、めぼしい出演作がなく、「新仁義なき戦い 組長最後の日」(1976
年)でのヤクザの兄に尽くす近親相姦的な関係の妹役が僕の記憶する最後の姿
だった。

やはり、松原智恵子は渡哲也とのコンビが最高だった。ヤクザを愛し、男の生
き方に耐え続ける女…、現代のフェミニストからは徹底的な批判を受けそうだ
が、そのイメージが松原智恵子には影のように寄り添っている。愁いを含んだ
泣き顔が甦る。「東京流れ者」では、ほとんど「哲也さん…」という言葉しか
口にせず、男の勝手な生き方を許した。

そして、藤竜也と松原智恵子と渡哲也が出演した「無頼 人斬り五郎」では、
薄幸なヒロインを演じながら、何と言われようと惚れた男についていく意志を
顕わにした頑固さを見せる。自分をフェリーに置き去りにして殴り込みに向か
った五郎を、彼女は恨み言も言わずに追う。傷つき地に倒れて起きあがれない
五郎は、目の前のサングラス映る松原智恵子を見る。そのときの松原智恵子は、
五郎にとっての女神である。

1970年に発行された漫画雑誌「COM」に、滝田ゆうが「夕焼けのあいつ」とい
う短編を描いていた。女学生がヘルメットをかぶってデモに出る。機動隊に襲
われそうになったとき、ひとりのヘルメット姿の学生が現れて機動隊を蹴散ら
し、彼女を救う。彼にひと目惚れした彼女は「文学部一年、マチバラチエコ」
と大声で名乗る。それからは、彼と一緒にデモに出て高揚した日々を送る。

やがて彼は卒業し、ある日、彼女は新入社員の研修で自衛隊に入れられ、グラ
ウンドを走らされる彼を見付ける。金網の外から彼女は悲しみの目をして、
「文学部三年、マチバラチエコ」と口にする。悲しい余韻が残るマンガだった。
以来、松原智恵子を見ると、僕は必ずこのマンガを思い出す。

だが、「小川の辺」の松原智恵子を見たときには、「夕焼けのあいつ」は思い
出さなかった。勝ち気な役をやるときは松原智恵子も泣き顔ではなく、少しき
つい視線をするんだなと気付いた。そりゃあ女優だもの、ともうひとりの僕が
彼女をかばうように言う。観客は勝手なイメージを抱き、喜んだり落胆したり
する。女優は役柄で変わるのだ。松原智恵子も石坂洋次郎原作のテレビドラマ
では、勝ち気なヒロインをやっていた。

藤竜也は大島渚監督「愛のコリーダ」(1976年)でハードコア男優として有名
になり、翌年は出演作がない。同じ大島渚監督の「愛の亡霊」(1978年)で吉
行和子と共演して復帰し、「大追跡」や「プロハンター」といったテレビシリ
ーズでかっこいいアクションスターのイメージを作った。北方謙三原作の「友
よ、静かに瞑れ」(1985年)では、日本の代表的なハートボイルドスターにな
った。

どちらにしろ、長い長い年月が過ぎ去ったのだ。藤竜也は隠居した武士を演じ、
松原智恵子はその妻を演じるようになった。「小川の辺」で主演した東山紀之
はすでに45歳になるが、彼が生まれたときには藤竜也はデビュー5年め、渡哲
也主演でリメイクした「嵐を呼ぶ男」(1966年)で音楽家の弟を演じていた。
松原智恵子は「東京流れ者」など一年に10本ものプログラム・ピクチャーに出
演する売れっ子だった。

【そごう・すすむ】sogo@mbf.nifty.com < http://twitter.com/sogo1951 >

このところ立て続けに、ヴィダル・サスーンが亡くなり、加藤郁也さんが亡く
なり、中原早苗こと深作欣二夫人が亡くなった。そう言えば吉村達也さんも訃
報が出ていたなあ。加藤郁也さんが亡くなったとき、思潮社版「加藤郁也詩集」
を書棚から取り出してきたが、40年前に買ったとは思えないほど綺麗なままだ
った。

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■Otaku ワールドへようこそ![153]
河原に点在する限りなく軽い存在たち

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本題に入る前に、ちょこっと日食のことをば。

●日食はツイッターで観察したクチです

火曜日に岡田陽一さんが「十数人が日食グラスやNDフィルタ越しに同じ方向の
空を見上げているのに、何事もないかのように、まっすぐ前だけを見てウォー
キングしたり犬の散歩をしたりしている人たち」を不思議に感じたと書かれて
いるが、私の同僚のK島氏も同じことを言っていた。

2009年に皆既日食を見にわざわざ中国まで行って、世紀の天体ショーの観察の
場に立ち会えたことへの感動で「もう死んでもいい」とまで思っていたのに、
その傍らを犬連れて無関心に歩き過ぎる人とか。この温度差っていったい何な
んでしょ。

大災害に見舞われたり疫病が流行ったりしたとき、みんな同じ仕様に出来てい
て同じ行動をとったら種として全滅してしまう恐れがあるので、バリエーショ
ンをもたせておくのが生物の知恵というか自然の摂理なのかも、と思っておき
ましょうか。

私もまた写真を撮る者の端くれ。素人がちょちょいと撮ったのとは一線を画す
る「これぞ金環食!」ってのを撮ってお目にかけましょうか、といつになく張
りきった。……ということはなく、早起きしようという気すら起きなかった。
これがもし十数年前、何でもかんでも雑食的に撮ってたころだったらがんばっ
てたかもしれない。

「写真ってのはなぁ、ほんのちょっとでもメンドクサイって気持ちを起こした
ら、その時点でオワリなんだよ。気ぃ抜いて撮るくらいなら、即、引退すべし」
なんてとんがった信条もってたっけなぁ。あのころのオレが今のオレを見たら
「もう撮らんでよろし」って言うかなぁ。ごめん、メンドクサイ。

だいたい世の中の関心と自分の関心が一致してるって感覚もってる人って、テ
レビの見すぎなんじゃないかな? ……とか何とか言ってる、うっす〜い関心
の人は、実物を見るよりツイッターで観察するほうが楽しめる。

この写真には深く感心した。「結構うまく撮れた!!!」とか言ってるけど、
心なしかゆがんでるように見えるんですけど。「イスの上に置いた輪ゴムが」。
はいはいよかったね。時として、手抜き写真のほうが面白い場合もあるってこ
とだ。
< http://bit.ly/LpU20D >

マジメにすごいと思ったのがこの写真。太陽を背景に飛行機が黒くシルエット
で、月を背景にジェット噴射が白く、という奇跡のような白黒コンビネーショ
ン。撮った本人「飛行機うぜぇ」。おいおいマジすげぇって。
< http://bit.ly/JTbdf3 >

逆向きに観察するとこうなってる、っていうのにもちょっと感動した。うん、
ナイトスポットだ。意味違うけど。
< http://bit.ly/LBTVFq >

あと、1,500円も出して日食グラスを買っておいたのに寝坊したことを嘆く専
用の掲示板ができてたり。えーっと次は2030年に北海道であるらしいですよ。
そのころには「2012年の製品は実は目に危険だった」なんてことになってない
ことを祈る。

●男一匹と猫15匹

入間川の河川敷に置かれた車の中に猫5匹とともに住むおじさん〜上田友浩氏
(仮名)62歳〜のことを以前に書いた。3月20日(火・祝)に行って聞いてき
た話である。それから一か月経った4月22日(日)、再び上田さんちへ行って、
庭で人形を撮影させてもらった。

そのときは、人形作家さん二人と一緒に行った。吉村眸さんと岡野茜さん。同
じ大学の先輩後輩で、卒業してからも研究生として大学に残り、彫刻を専攻し
ている。吉村さんの作品は、そこの近辺で二度ほど撮ったことがある。

吉村さんとは '09年12月に知り合った。銀座の「gallery 156」で人形作家10
人と私のグループ展「臘月祭(ろうげつさい)」を開いたとき、来てくれたの
である。吉村さんも同じ画廊で個展を開く予定があるとのことで。私の撮った
人形の写真が展示されているのを見て、吉村さんの作品も撮らせていただける
話になった。そのとき私は在廊してなくて、会ったのは年明けだったが。セー
ラー服を着るおっさんだってことは、すでにしっかりバラされていた。

かつて岡本太郎氏は「芸術は爆発だ」と言っていたけど、吉村さんのアートは
「芸術は種火」みたいな感じ。短距離全力疾走ではなく、マイペースを崩さず
長距離を淡々と走り続けるランナーというか。別に歯を食いしばって忍耐に忍
耐を重ねたりしなくても、根気の要る長い工程の作業を日常のことのように自
然体でこなしている。

創作への熱く燃え盛る情熱みたいなのが本人の姿勢から読みとりづらくたって、
作品は非常に面白く、挑戦意欲満々なのが表れている。創造性が高く、既存の
固定観念の枠組みから外へ出よう出ようとしているように感じられる。「尖っ
てナンボだから」みたいなことをおだやかな、落ち着いた調子でさらっと言っ
ちゃうあたりが私としては可笑しくてしょうがない。

去年の12月に吉祥寺の「gallery re:tail」で吉村さんと岡野さんが二人展
「flux:絶え間ない変化」を開き、私は12月24日(土)に見に行って岡野さん
と初めて会った。初っ端からいきなりセーラー服姿をお目にかけてしまったわ
けだ。近いうちにお二人の作品の写真を撮影させてもらい、5月のデザフェス
に展示できればとお願いすると、即座にOKしてもらえた。

で、3月3日(土)に三人で打合せ。新宿西口交番前で待ち合わせたが、このと
きも私はセーラー服を着て行っていた。同じ3月、浜町の「好文画廊」にて東
京学芸大学彫刻展が開かれ、吉村さんと岡野さんの作品も出品されていた。そ
れとは別に岡野さんは銀座の「ギャラリーツープラス」で個展「部屋」を開催
していた。私は3月17日(土)に両方見に行って、浜町で吉村さんと、銀座で
岡野さんと会った。けっこうな雨の中、浜町〜人形町〜日本橋〜京橋〜銀座と
歩いた。このときもセーラー服だった。

ということは岡野さんは私と会った最初の三回、セーラー服姿ばかり見てたっ
てことか。デザフェスには、セーラー服着て来てくれた。これだ。
< http://bit.ly/L7micf >

岡野さんのアートは、精神の地の果てまで行って着想し、戻ってきてこっちの
世界へ生み出されたよう。抽象的なのだ。苦痛で苦痛でたまらない領域へ、あ
えて平気な顔をして踏み込んで行き、自己の精神を徹底的に痛めつけたら何が
出てくるだろうと実験してみたりする。自分の存在の孤独さ、弱さ、意義の軽
さといった、ちゃんと向き合うのをついつい忌避しがちな方向へ、無理やり自
分を向かせてみる。仏教で言うところの「不浄観」の精神修養を思わせる。

ずっと前、渋谷の繁華街で、路上にポイ捨てされた煙草の吸殻を、縦にずらず
らと並べていくという作業を一人で黙々としてみたそうである。私のようにキ
ャピキャピ喜んでセーラー服を着て歩いているのとは大違いで、なんだかわけ
のわからないことをしていることで、通行人から奇異の目で見られることがつ
らくてしかたがない、だからあえてやってみたのだそうである。

銀座の個展のときは、造形作品の傍ら、映像を流していた。被写体は自分。建
物内、ときおり人の往来のある廊下の脇に、金属パイプを直方体に組んで壁や
天井のないのない枠だけの部屋のようにこしらえ、その中に座って、口をガム
テープで塞ぎ、目隠しをして、あとは長時間ただ座っている。その姿を延々収
録したものを映している。

通りがかる人の多くは、状況に対する納得性のある説明が欲しくなるようで、
本人よりも周辺に何か手がかりはないかと見回して、うーんなんだかやっぱり
よく分からん、ってもやもやした気持ちで歩き去っていく。向こうからこっち
は見えるけど、こっちから向こうは見えない。決定的に弱い側の立場。それを
試してみたかったのだそうだ。孤独で無力で、涙が出てきたそうである。

さて、そんな吉村さんと岡野さんと、4月22日(日)に上田さんちへ。二回の
予定が雨で流れ、三度目の正直である。この日も予報はかんばしくなかったが、
撮影中はちょっとぱらついた程度でなんとかもってくれて、撮影を終えて近く
のコンビニで一息ついているときに本格的に降り出した。

前回のプロフィール欄にちょこっと書いたように、上田さんちへ行ってみると、
猫が10匹増えていた。1匹が5匹産み、10日ほど置いて別の1匹が5匹産んだそう
である。車のシートを倒して寝床にしているが、その下をごそごそ探って代わ
る代わるつかみ出して見せてくれた。片手に2匹乗せられる小ささ。後から生
まれた5匹はまだ目が開くか開かないかぐらい。親が全力でニャーニャー抗議
する。

3月に来たとき、福祉の人が配っているという紙を見せてもらったので、今回
来る前、そこに書いてある番号に電話してみていた。埼玉県福祉士会。電話す
るとどうなるかというと、まず「シェルター」というところに1か月ほど住ま
わせてくれるそうである。その間に戸籍や住民票の復活などの手続きをしてく
れる。また、シェルターであっても住所として認められ、銀行の口座を作って
もらえる。そこへ生活保護が振り込まれる。アパート探しもしてもらえて、そ
こへ移る。生活保護はずっと受け続けることができる。

上田さんはそうは言っていなかった。アパート暮らしして2〜3か月経つと、仕
事見つけろとうるさく言われる。仕事してないと、生活保護が減額されてしま
う、と。「見つけろったって、60歳過ぎてんだから、誰も雇ってなんかくれな
いよ」。

橋の下の集落の人々は、近々塗り替える計画があるとかで立ち退きを迫られて
いるが、福祉の人の助けでアパート暮らしを始めた人たちも、もう半分ぐらい
が河原に戻って来ているという。元の場所には戻れないので、適当に場所を見
つけている。先住者が亡くなって空き家になってた倉庫みたいな掘っ立て小屋
とか。

その人のほかにも、橋の下に住んでた人が一人死んだそうである。集落のよう
にみんなで暮らしているのに誰も気づかず、発見されたときは死後2か月ほど
経っていたそうである。そんなふうであっても、アパート暮らしよりはいいら
しい。

どうも貧困ビジネスのかほりがぷんぷん漂う。生活保護受給者をとりまとめて
食事を出したりする代わりに上前をピンはねしちゃう、あれ。NHKが特集番組
を組んで、さらに本を出版したためか、貧困ビジネスについてはけっこう世の
中に知られているようだ。私はまだ読んでないけど。NHK取材班『NHKスペシャ
ル 生活保護3兆円の衝撃』(宝島社、2012/4/14)

お二人の作品を上田さんちの庭で撮ったらさぞかし面白かんべぇ、と前々から
思っていた。通底する何かがあるのだ。みなさんのご協力のおかげで、それが
実現した。そうらやっぱ面白いじゃん。周辺に散らばっている産業廃棄物との
コンビネーションもまたよい。

ところで上田さんは、近くで畑をやっているK原さんからタケノコをもらった
んだけど、歯が弱くなってるんで硬いものは食べられないのだそうである。だ
からもらってくれ、ってんで、岡野さんがもらった。河原に住んでる人を訪ね
て行って、食料を恵んでもらって帰ってくるって状況がワタシ的にはたいへん
ウケるんですけど。岡野さんは持って帰って食べたそうである。

●そんなに美味いのかタンポポって

3月に一人で来たとき、橋の下にも行ってみた。橋の下の集落は、何回か通り
抜けたことがある。40年間放置されている鉄道線路は廃線ではなく休止線で、
再開する計画もあったはずなんだけど、そんなことお構いなし、って感じで橋
が遮断している。線路沿いに歩いて来るとコンクリートの壁にぶち当たり、水
の流ている方へ少し歩いて橋の下をくぐって、また土手のほうへ戻ってくると、
壁から線路の続きが出ている。

その橋の下に集落があったのだ。なんだか恐くて、息を殺してそーっと歩き抜
けていた。犬を飼ってる人もいれば、文庫本を読んでいる人もいる。3月には
一所帯しか残っていなかった。その住人もお出かけ中で、誰もいなかった。

人が立ち退いた後の区画は、片付けられ、更地にされ、杭が打たれ、針金が張
り巡らされていた。人が住んでいる領域は、屋内のような屋外のような。生活
感があって、非常によい。ここでも撮れないかなぁ。ここの住人だってもうま
もなく立ち退かされるであろうから、この眺めも今しかない、貴重なものなん
だよなぁ。

5月にもう一回行ってお話しすることができたのだが、結局名前は教えてもら
えなかった。ブリタニカの百科事典が積んであったので、仮に谷川鰤(ぶり)
さんとしておこう。茨城県出身で、ここに暮らして3年になるという。

さて、デザフェスには、もうお一方、人形作家さんの作品を撮影して展示させ
ていただける話になっていた。清水真理さん。創作人形ではトップクラスの有
名な方であり、大泉学園駅から徒歩5分ほどのところにアトリエがあり、人形
教室「アトリエ果樹園」を開いている。

清水さんは6月に写真集の出版と、それとリンクした個展の開催を予定してい
るので、たいへんに多忙である。撮影はいいけれど立ち会ってる暇がないって
ことで、2体、貸していただけた。うわ、畏れ多いことです。

清水真理『Miracle〜奇跡〜』(発行:アトリエサード、発売:書苑新社)
< http://atelierthird.jugem.jp/?cid=64 >

田中流(ながれ)さんというプロの写真家さんが、清水さんの人形を一番多く
撮っている。もう何万枚というレベルで。撮り始めたら人形に引き込まれちゃ
って止まらなくなり、8時間ほど撮り続けていたこともあるそうだ。今度出版
する写真集で使われる写真は、ほとんどが田中さんの撮ったものである。けど、
実は私が撮ったのも2ページばかり使ってもらえるそうで。奥付にGrowHairの
名前も入れてもらってるそうで。いや、それ、私にとって「Miracle 〜奇跡〜」
なんですけど。

清水さんの人形は夢見る少女の心を映し出したロマンチックな作品が多いので、
撮るとしたら、アンティークショップとか洋館とかチャペルとかがよく似合う。
けど、それはなんだか分かりやすすぎる感じもするのだ。あえて外してみると
いうのも一策ではなかろうか。

谷川さんちと清水さんの人形、ってコンビネーションはどうだろう。汚くて美
しい場所に、きれいで美しい人形。そこにはおのずと「生命」というテーマが
浮かび上がってくるであろう。うーん、撮りたい、撮りたい。けど、いきなり
訪ねて行って、今からあなたのお家で撮らせてください、って話は、いくらな
んでもないよなぁ。と思いつつ、無茶を承知で一か八か、ひとつ賭けてみると
するか。

5月4日(金)、再び入間川の河川敷へ。一人で人形とカメラを持ち歩くのは危
険なので、吉村さんにお手伝いをお願いした。人形作家さんに撮影のアシスタ
ントをお願い、っていうのもこれまた無茶な話なのだけど、人形の扱いを頼む
のに誰でもいいってわけにはいかないのだ。

この日も天気が怪しかった。けど、デザフェスが5月12日(土)、13日(日)
なのに、その約1週間前に撮ってるってこと自体がアレな事態で(毎度の事態
とも言うけれど)、先延ばしは利かないのだ。これまたラッキーで、一通り撮
り終わって、休憩してからまだ行けるようならもう1ラウンド撮ろうかなぁな
んて思ってコンビニに戻ったら、休んでいる間に、もうきっぱりあきらめがつ
くぐらいに強い降りになった。

さて、橋の下の谷川さんちへ。今度は留守ではなかった。ここで写真を撮らせ
てもらえませんか、とお願いすると「何言ってんだ、ここは俺んちだぞ」と言
下に断られる。やっぱそうですよね、と引き下がるわけにはいかない。美しい
し、貴重なんで、ぜひぜひ! と食い下がる。最初は面白半分に撮りたがって
いると思ってたようだけど、ようやくこちらの意図が伝わったようで。「お、
芸術家か。よし分かった、撮らせてやるよ」。

拾ってきたものを売って生計を立てているという。谷川さんもまた猫を飼って
いる。大きなダンボール箱の中で丸くなって寝ている。別のダンボール箱の中
には、子猫がいるそうだ。前日生まれたばかりみたいで、声がするんだけど、
親猫が怒るもんだから近づけず、何匹いるのかまだ分からないとのこと。

以前は三人で暮らしていたという区画に今は一人でいるという。車が寝室で、
囲炉裏みたいなのがこしらえてあるのがダイニングキッチンで、別のところに
リビングがある。リビングでは常時ラジオが鳴っている。

近々日食があることを知っていた。 それと、貧困ビジネスというのがあるこ
とも。ここからは出ていきたくないそうだ。福祉の世話には意地でもなるもん
か、と言っていた。それに、不自由なアパート暮らしよりも、ここには自由が
あっていい、とも。

三人で暮らしていたうちの一人は死んだそうだ。「きっと飲みすぎだったんだ
よ。よく飲んでたからなぁ。目の中、真っ白白だったし、健康に問題あったの
かもなぁ」。そういうことがあってもアパート暮らしは断固拒否なんだなぁ。
私の感覚だと、楽だし、安全だし、快適だし、電気来てるし、アパート暮らし
のほうが断然いいように思えるんだけどなぁ。

ボウルに水が張られ、タンポポが浸されている。花も蕾も茎も葉っぱも。アク
抜き中。「ゼニがねぇからこれ食ってんじゃねぇんだ。美味いから食ってんだ」
と強調する。エグみがいいのだそうで。酒のつまみに最高なんだとか。

湯がいてマヨネーズつけて食べても美味いし、豚肉と一緒に炒めてもよし。フ
ランスではタンポポの葉っぱを食材として売っているようなので、食うこと自
体、間違っていないであろう。キク科の植物なので、春菊とか刺身に添えられ
てる食用菊と似た味なんだろうな、きっと。タンポポは茎を折ると、白い汁が
滲み出してくるので、あれを見ちゃうとあんまり食いたくならないんだけどな
ぁ。とか何とか言っていながら、一度食してみたいかな〜という気も。

【GrowHair】GrowHair@yahoo.co.jp
セーラー服仙人カメコ。アイデンティティ拡散。

デザフェスで展示した写真はこちら。
< http://bit.ly/LqQ6wv >
よく売れたし、「見ていてなんだかグッと来るものがある」と賛辞を述べてく
れた人もいた。

ケバヤシの姿はこちら。ツイッターを検索して拾い出した写真だ。
< http://bit.ly/Kpv198 >
ツイッターでは私のことがつぶやかれたツイートが100件ほど。読んでみると、
私が作品制作者から頼まれて店番している売り子だと思った人がけっこういて
愕然。セーラー服来たおっさんに売り子頼む人なんていますかいな。撮った本
人ですってばー。二日目には、立ち止まる人ごとに自分から強調しておいた。

清水真理さんの写真集出版とリンクした個展の情報です。
◇ヴァニラ画廊にて個展開催!
2012年6月11日(月)〜6月23日(土)※6月17日(日)も特別営業
清水真理個展「Metamorphose─変容─ 〜傷みが悦びに変わるとき〜」
入場料500円
詳細は
< http://www.vanilla-gallery.com/archives/2012/20120611.html >

このところ暑いので、部屋ではズボンを脱いで過ごしている。炬燵の骨をテー
ブル代わりにして、あぐらをかいてパソコンに向かう。すると、大腿部をこち
ょこちょとくすぐるやつがいる。わ、虫か?! 見ても何もいない。こすって
も何もついていない。おかしいなぁ。ってなことが二度三度。あっと気がつく。
自分のヒゲの先端だった。うん、伸びすぎだ。

ずいぶん昔だけど、写真家のアラーキーこと荒木経惟氏が撮った写真で、ご自
身の影を写したものがあり、「どうだ! 影だけでも俺だと分かるであろう!」
と言わんばかりであった。ふふふ、そういうのなら私だって。どうでしょ。
< http://bit.ly/KLSzXp >

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集後記(05/25)

●姉妹誌「写真を楽しむ生活」では全国写真展情報の一覧カレンダーが好評だ
が、一か月くらい先までの写真展情報をコツコツとデータベースに入力し、同
時にカレンダーにも書き込む作業はけっこう大変だ。だいぶ前、6月26日から7
月9日まで新宿ニコンサロンで開催される、安世鴻写真展「重重(Layer by
layer)」を書き込んだ時、これは絶対に大問題になる写真展だなと思った。
案の定、いまニコンサロンのサイトには「諸般の事情により中止することとな
りました」とお詫びが書かれている。一般からの抗議を受けての決定だろう。

ニコンサロンは「プロ・アマの壁を取り払い、企業戦略に影響されず、あらゆ
る分野の優れた作品の展示場として写真展本来の姿を追求する」と位置づけら
れている。公募制で参加資格はとくにない。2か月毎に選考され展示が決まる。
件の写真展は韓国人写真家が、朝鮮人「元日本軍慰安婦」を中国に訪ねて取材
したものだという。選考委員会(土田ヒロミ、大島洋、伊藤俊治、北島敬三、
竹内万里子)は何故、よりによってこのテーマで選考を通過させたのか。虚構
でも、プロパガンダでも、芸術性に優れていればいいのか。この軽卒さには驚
くしかない。天下のニコンともあろうものが、日本でこんな展示をしたら日本
人はどう反応するか分らないのか。おそまつな話だ。でも、一番責任あるのは
5人の審査員だな。中止について彼らの意見もぜひ聞きたいものだ。 (柴田)

●GWにランニング用BGMをTSUTAYAで借りた。つきそいで行って、ふらっと見回
っていたら見つけた。曲が途切れず、すべてが160BPM(1分間に160歩)前後。
試聴してみる。なるほどなぁ、このテンポでずっと流れると、走りやすいわ。
スポーツメーカーとのコラボや、ヒット曲コンセプト、カフェ系の爽やかコン
セプトのものなどいろいろ置いてあった。3枚借りてみて、結局聞いているの
はジョグ・ハウス・ミックス版。Spring Rainから始まり、SATCのテーマ、ロ
ッキーのテーマ(Eye Of The Tiger)、We Will Rock YouにBorn To Be Wild
やら、なんだか元気になる曲がいっぱい。テンポが揃っていると集中力が途切
れにくいし、知っている曲だと弾みがつく。しかしランニングしていないため、
家事や仕事用のBGMになっているよ……。         (hammer.mule)
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B004D95IQK/dgcrcom-22/ >
トウキョウ・ランニング・スタイル・ジョグ・ハウス・ミックス
< http://soundcloud.com/nikerunning/nike-free-running-karaoke >
Nike Free Running Karaoke。歌いながら走るみたい。こっちもロッキーから
< http://www.exermusic.com/ >
変換するサービスはないのかと調べたら
< http://d.hatena.ne.jp/MIYADi/20081017/1224241876 >
Windowsなら。160BPMに
< http://www.musicmashroom.com/app/hashnmash/help/ >
使い方
< http://blog.goo.ne.jp/mainya2010/e/e5011b4facba7501a87f889eed018541 >
Audacityで
< http://ja-jp.facebook.com/note.php?note_id=194513767308352 >
こちらにもAudacityでの変換の仕方があった
< http://panic.com/jp/coda/ >
Coda2、Diet Codaを購入。Macで保存すると、iPadにすぐさま反映されるのが
面白い。
< http://picstar.jp/ >
好きな画像でAR。千円札がマーカーになるからと試したら、手元に千円札なし…

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発行   デジタルクリエイターズ < http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/ >

編集長     柴田忠男 < mailto:shibata@dgcr.com >
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