2011年7月29日金曜日

日刊デジクリ[#3095] 「映画は世界を変える」とワイラーは言った

─[PR]─────────────────────────────────
◆◆ 将来に備えたマネープランをやさしく教えてほしい!そんな方へ ◆◆
\\好評!★@niftyマネー相談★女性限定無料セミナー★お土産付!//

●賢いお金の運用方法を知りたい!⇒ http://a.mag2.jp/FRI
●「保険」を見直して有効活用したい!⇒ http://a.mag2.jp/FRIy
─────────────────────────────────[PR]─


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
【日刊デジタルクリエイターズ】 No.3095    2011/07/29.Fri.14:00.発行
http://www.dgcr.com/    1998/04/13創刊   前号の発行部数 10018部
情報提供・投稿・広告の御相談はこちらまで     mailto:info@dgcr.com
登録・解除・変更・FAQはこちら  http://www.dgcr.com/regist/index.html
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
 
       《23日間の夏季メンテナンス休暇に突入します》

■映画と夜と音楽と…[511]
 「映画は世界を変える」とワイラーは言った
 十河 進

■Otaku ワールドへようこそ![136]
 女装対決(!?)超絶美しいヴィジュアル系とセーラー服のおっさん
 GrowHair

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■映画と夜と音楽と…[511]
「映画は世界を変える」とワイラーは言った

十河 進
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20110729140200.html >
───────────────────────────────────
                   〈黄昏/L・B・ジョーンズの解放〉

●「ローマの休日」で赤狩りを批判したウィリアム・ワイラー

7月の午前中、WOWOWがウィリアム・ワイラー特集を組んでくれた。「ファニー・
ガール」(1968年)「探偵物語」(1951年)「黄昏」(1951年)「L・B・ジョ
ーンズの解放」(1969年)「必死の逃亡者」(1955年)の順で放映された。ど
ういう基準でのセレクションなのか、どういう意味付けでの放映順なのかはわ
からないが、そのプログラムを見ただけでワイラー作品の幅の広さがわかる。

「ファニー・ガール」はバーブラ・ストレイザンド主演のバックステージもの
のミュージカルであり、「探偵物語」は舞台劇を映画化したシリアスな人間ド
ラマである。「黄昏」は年齢差のある男女が不倫関係になるメロドラマ、「L・
B・ジョーンズの解放」は人種差別を告発する社会派ドラマだった。「必死の
逃亡者」は、脱獄囚3人が幸せな一家を人質にして立てこもるサスペンスドラ
マで、晩年のハンフリー・ボガートが凶悪犯を演じた。

WOWOWのワイラー特集の少し前、NHK-BSの特番で「ローマの休日」(1953年)
が取り上げられた。例によって赤狩りとの関係を取材し、分析したものだ。
「レッドパージ・ハリウッド」(作品社刊)をまとめた上島春彦さんが出てい
たので、僕もその番組を見た。赤狩りでハリウッドを追放された脚本家ドルト
ン・トランボ(知人名で「ローマの休日」を書いた)については特に目新しい
情報はなかったが、ワイラーについては知らなかったことが多く興味深く見た。

NHK-BSの特番ではトランボの娘とワイラーの娘が登場し、家族にしかわからな
いことを証言したのが印象に残った。なぜワイラーが「ローマの休日」をほと
んどローマロケで撮影したのか、なぜ新人のオードリー・ヘップバーンを起用
したのか、ワイラーは脚本を書いたのがトランボだと知っていたのか、などな
ど突っ込んだ情報や分析がいろいろあったし、少し緊張しているような上島さ
んの顔も見られたので、なかなか面白かった。

ウィリアム・ワイラーについて検索してみると、来年で生誕110年になるのが
わかった。ハリウッド草創期に活躍したユニヴァーサル・スタジオの設立者で
あるカール・レムリの親戚だったそうで、その息子に呼ばれてハリウッドに渡
り、小道具係やキャスティング担当、助監督を経て監督になったのが1925年だ
というから、日本では昭和が始まった年である。生年も監督になった年も、ほ
ぼ小津安二郎監督に近い。

僕がワイラー作品を同時代で見たのは、「コレクター」(1965年)である。中
学生の頃に毎月買っていた早川書房の「エラリィ・クィーンズ・ミステリマガ
ジン」に大伴昌司さんの新作映画紹介欄があり、そこで「コレクター」が取り
上げられていた。もっとも、ジョン・ファウルズ原作の問題作「コレクター」
の映画化なのだが、今でも思い出す印象的なシーンはあるものの、15歳の少年
には単なる変質者映画としか理解できなかった。

ワイラー監督は「コレクター」以後、遺作になった「L・B・ジョーンズの解放」
までの間、2本しか作っていない。「おしゃれ泥棒」と「ファニー・ガール」
だ。どちらも映画雑誌で特集される注目作だったが、僕は新人バーブラ・スト
レイザンドの顔が気に入らなくて「ファニー・ガール」は敬遠した。それに、
熱心なオードリーファンだったくせに、なぜか「おしゃれ泥棒」(1966年)も
見ていない。相手役のピーター・オトゥールが神経質そうで気に入らなかった
のかもしれない。

しかし、改めて数多いワイラーの作品群を眺めてみると、僕にとっては思い出
深い作品が多い。「嵐が丘」(1939年)「我等の生涯の最良の年」(1946年)
「ローマの休日」(1953年)「必死の逃亡者」「大いなる西部」(1958年)
…厳選するとこの5本に絞られるが、さらに枠を広げると10本ほどがマイ・フ
ェイバリット・ムービーに入る。もっとも、僕は戦前の作品はほとんど見てい
ないので、これからも素晴らしいワイラー作品に出会える可能性はある。

●ラストシーンで初老の男の哀感と矜持に涙する「黄昏」

WOWOWが放映してくれた5本のうち、僕が見ていなかったのは「黄昏」と「L・B
・ジョーンズの解放」の2本だった。「黄昏」はローレンス・オリヴィエとジ
ェニファー・ジョーンズの共演。モノクロームの映像が美しかった。ローレン
ス・オリヴィエとワイラーと言えば、「嵐が丘」がある。オリヴィエは「嵐が
丘」出演のためにハリウッドに赴くのだが、そのとき愛人だった新人女優ヴィ
ヴィアン・リーを同行した。

インド生まれのヴィヴィアン・リーは、ロンドンで名優ローレンス・オリヴィ
エと恋に墜ち、ハリウッドに同行し、ヒロインが決まらないままアトランタ炎
上シーンを撮影していた「風と共に去りぬ」の現場を見にいき、炎に照らし出
された彼女を見たプロデューサーのセルズニックが「ついにスカーレットを見
付けた!」と叫んだというのは、ハリウッドにおける心温まる伝説のひとつで
ある。

もっとも、アン・エドワーズが書いた「ヴィヴィアン・リー」(文春文庫)に
よると、事実はそうではなかったらしい。イギリスで出版されたばかりの「風
と共に去りぬ」を読んで、スカーレット・オハラを演じることに執念を燃やし
たヴィヴィアン・リーは、映画化権を持っていたセルズニックに熱心に売り込
んでいたという。彼女はオリヴィエの相手役でスクリーンに出ていたから、セ
ルズニックもヴィヴィアン・リーのことは知っていたに違いない。

「黄昏」は「嵐が丘」から12年後の作品だ。オリヴィエも若くはない。相手役
のジェニファー・ジョーンズとは、かなりな年齢差がある。その若いジェニフ
ァー・ジョーンズを愛したが故に落ちぶれていくオリヴィエが哀しく、ラスト
シーンなど初老の男の哀感と矜持に共感し、思わず涙してしまうほどだった。
「男のメロドラマ」と紹介されることもあるが、珍しい男の転落物語である。

シカゴの高級レストランの支配人だったオリヴィエは、女好きの店の客(エデ
ィ・アルバート)にだまされて同棲していたジェニファー・ジョーンズを愛し
てしまい、心ならずも店の金に手をつけて彼女と一緒にニューヨークに駆け落
ちをする。保険会社の人間に捕まり、金を返すことで告訴は免れたものの無一
文になり、貧乏アパートに暮らしながら日雇い仕事に就く。有名店の支配人と
して裕福に暮らしていた中年男のみじめさが、ひしひしと伝わってくる。

貧乏暮らしの中、ジェニファー・ジョーンズは妊娠するが流産し、「今は子供
を産むのは無理だった」というオリヴィエの言葉から、男が流産を喜んでいる
と思い次第に心が離れていく。やがて、ジェニファー・ジョーンズが舞台のオ
ーディションに受かり女優として売れていくのとは対照的に、オリヴィエの人
生は負への階段を急激に転がり落ちる。ある日、誤解から女が出ていき、仕事
もないオリヴィエは浮浪者に身を落とす。何だか、ヴィヴィアン・リー主演
「哀愁」(1940年)の男バージョンみたいだ。

こういうみじめな役は、毅然とした、覚悟のある、誇りに充ちたローレンス・
オリヴィエのような(何しろ爵位をもらい「サー」の称号がついた人ですから)
名優が演じないと、見ている方がやりきれなくなる。冬の夜、安宿も追い出さ
れ病に冒されたオリヴィエは、みすぼらしい格好で「食べないと、死ぬ」とつ
ぶやき、今は大女優になった女の楽屋を訪ね小銭をねだる。それでも、オリヴ
ィエの物腰からは男の矜持が感じられるのである。

●二人の弁護士は現実に妥協してきた叔父と理想に燃えた甥

「L・B・ジョーンズの解放」は、若きリー・メジャースとバーバラ・ハーシー
が列車の車窓越しにいちゃついているカットと、同じ列車に乗る思い詰めた顔
をした大男の黒人のカットが交互に映るオープニングシーンから引き込まれた。
黒人は葉巻の空き箱にリボルバーを入れている。黒人は駅の手前で列車を飛び
降り、駅で停車した列車からリー・メジャースとバーバラ・ハーシーが降りる
と、リー・J・コッブが笑顔で出迎える。

リー・J・コッブと言えば「波止場」(1954年)の港湾労働者組合を牛耳るボ
ス、「十二人の怒れる男」(1957年)の根拠もないのに最後まで被告の有罪を
主張する固陋頑迷な男の役が記憶にあるので、本人も人種差別主義者で白人至
上主義の共和党員というイメージがあるが、大変リベラルな考え方をする人だ
と何かで読んだ記憶がある。ただし、役柄はいつも悪辣なボスや卑劣な権力者
というものだった。そういう顔をしているのである。

そのコッブが演じているのは、60年代末のテネシー州の小さな町で30年も弁護
士をしてきた男である。市の顧問弁護士も務めている。彼は黒人も同じ人間だ
と思っているが、黒人差別に反対しているわけではない。他の大多数の白人た
ちのようには、露骨な差別をしないだけである。ときには見て見ぬふりをする
し、黒人の依頼を断ることも多い。妥協しなければ、黒人差別の強い南部の町
で成功することはできなかったのだ。

そこへやってきたのが、結婚したばかりの甥夫婦である。甥は叔父のコッブの
裁判を30年前に見て、叔父のようになることを目指して勉強し、弁護士になっ
た。そして、テネシー州の町にやってきて、叔父と共同事務所を持ったのであ
る。リー・メジャースが演じる甥は、理想家肌の若い弁護士である。結婚もせ
ず妻子のいないコッブは、仕事も大きな邸宅も甥夫婦に譲るつもりでいる。

コッブが甥を事務所に連れ帰ると、黒人紳士が待っている。コッブに「離婚調
停の代理人になってほしい」と依頼するが、叔父は何かと理由をつけて断る。
それがリー・メジャースには不自然に映り「僕が引き受けてもいいですよ」と
言い出したため、コッブは甥の手前、仕方なく葬儀社を営む穏和な黒人紳士L・
B・ジョーンズの離婚弁護士を引き受けることにする。

L・B・ジョーンズは人望のある裕福な黒人だが、若い妻が白人の警官と浮気を
したので「男と別れるのなら目をつぶる。別れないのなら離婚する」と言うの
だが、妻はジョーンズの金を当てにしているので、「離婚しないし、男とも別
れない」と言い出し、自分でも弁護士を立てる。そんな事情を、コッブはすべ
て承知しているので、浮気相手の白人警官に会いにいく。

コッブは裁判で黒人女の浮気相手の名前が出て、白人警官が窮地に陥るのを防
ごうとしたのだ。不名誉だし、それが公になれば、職を失うからである。だが、
白人の警官は女の尻ばかり追っかけている男で、ある夜、警官を罵った黒人を
逮捕し、その妻が釈放を頼みにくると、パトカーで人気のないところに連れ出
し交換条件を出して犯し、犯した後で「釈放はできないな」と約束を反故にす
るような卑劣きわまりない男である(僕は本当に憤慨した)。

●奇妙な果実とはリンチで縛り首にされた風に揺れる黒人の死体

10代半ば、僕は初めて「ストレンジ・フルーツ(奇妙な果実)」という歌を聴
いた。ビリー・ホリディが歌っていた。その歌を聴こうと思ったのは、五木寛
之さんの小説にその曲が出てきたからだ。僕がジャズを聴き始めた最初である。
奇妙な果実とは、木に吊された黒人の死体のことである。白人たちのリンチで
縛り首にされた黒人の死体が、奇妙な果実のように風に揺れている…。

1960年代半ば、人種差別とベトナム戦争でアメリカは揺れていた。公民権運動
が高まり、キング牧師が登場した。あの感動的な「私には夢がある」というス
ピーチが世界に知れ渡った。しかし、キング牧師は暗殺され、黒人たちの怒り
は先鋭化し、ブラックパンサーも登場し過激化した。キング牧師と同時代に生
きた、過激な黒人解放運動のリーダーだったマルコムXも暗殺された。

「L・B・ジョーンズの解放」は、そんな時代にワイラーが残した最後の作品に
なった。やりきれない映画だが、ワイラーの誠実さが伝わってくる名作だった。
赤狩りの時代に「ローマの休日」を残した、ワイラーらしい誠意の表し方だと
思う。コミュニストであることで人間としてのすべてを奪われてしまうこと、
肌の色が違うだけで人間扱いされないこと、どちらもワイラーには許せないこ
とだったのだ。

女好きの警官の相棒である年配の警官は、黒人を人間とは思っていない。冒頭、
列車から飛び降りた黒人は、その白人警官に復讐するために10数年ぶりに戻っ
てきたのである。彼は13歳のときにその警官に半殺しにされ、故郷を棄てたの
だ。そんな彼は、L・B・ジョーンズが離婚裁判を起こしたことを聞き、裁判が
始まる火曜日までボディガードになることを買って出る。

女好きの白人警官がジョーンズの葬儀社にやってくる。彼はジョーンズの妻に
離婚を承知しろと説得するが、子供が生まれるので金が必要な妻は承知しない。
その子供は間違いなく白人警官の子だという。白人警官は「堕ろせ」と女を殴
るが、彼女は承知しない。気の毒なのはジョーンズだが、心優しい彼は殴られ
た妻の傷を手当てしてやる。黒人は白人にどんな目に遭わされても耐えなけれ
ばならないのか(ここでまた僕は憤慨した)。

ジョーンズの妻を説得できなかった白人警官は、ジョーンズに「月曜日の夕方
までに離婚裁判は取り下げると弁護士に言え」と恫喝する。コッブが白人警官
の名前が浮気相手として出ないようにと配慮し、裁判にせずに解決したいと白
人警官にアドバイスしたばかりに事態はどんどん悪い方へ転がり、悲劇の予感
が漂い始める。

●白人たちの黒人差別に眉をひそめながら見て見ぬふりをしてきた男の罪

コッブが甥に過去を語るシーンがある。コッブが大学に通っている頃、彼の身
の周りのことを見ていた黒人のメイドがいた。コッブはそのメイドと関係し、
やがて妙な気持ちが生まれた。そう語るコッブにリー・メジャースは「彼女を
愛したんですね」と明確に言う。コッブは黒人女を愛するということが理解で
きない。黒人との恋愛などタブーだった時代である。彼女とのことを婚約者に
知られ、婚約を破棄され、そのまま結婚せずに生きてきた、とコッブは遠い目
をする。

コッブが南部の大きな都市の大学に通っていた頃のことだから、1930年代であ
る。「アラバマ物語」(1962年)がその時代の南部の田舎町を舞台にしていた。
そこで起こった白人娘のレイプ事件で、弁護士アティカス・フィンチは犯人と
された黒人を弁護した。もしかしたら「L・B・ジョーンズの解放」のコッブが
演じた弁護士も、若い頃はそんな理想家だったのかもしれない。

だが、市の顧問弁護士を務めるまでになったコッブは、現実的妥協をする弁護
士になった。白人たちの露骨な黒人差別に眉をひそめながら、彼らのやること
を見て見ぬふりをしてきたのだ。黒人の命を何とも思っていない白人たち、犬
を射殺するのと同じように良心の仮借もなく黒人を殺してしまう白人たち。そ
んな白人たちを守ってきたのは、見て見ぬふりをする良識派の白人たちだ。甥
のリー・メジャースは、そのことをコッブに指摘し、去っていく。

あの時代から、まだ40年しか経っていない。あの頃、20歳だった僕は60だし、
30だった男は70だ。何10年経とうと、その人たちが子供の頃から植え付けられ
てきた差別意識や偏見が消えるとは思えない。あの白人警官が現実にいたとし
たら、まだ、南部の町で暮らしているだろう。「俺たちが若かった頃は、黒人
に今のような大きな顔はさせなかった」などと昔語りをしているかもしれない。

僕が子供の頃、まだ、中国人や朝鮮人に対する差別は強く残っていた。父母の
世代が差別的な言葉を口にするのをよく耳にした。戦後の民主教育を受けた僕
は、父や母がそんな言葉を口にするのがイヤでたまらなかったが、あれから半
世紀近くが過ぎた現在、日本の若者たちは韓国やアジアのアイドルに夢中にな
っている。韓国や中国の映画もたくさん日本で公開されている。差別や偏見を
なくすには、長い年月と文化の交流が必要なのかもしれない。

文化交流というと堅いけれど、音楽や映画が持つ力は大きい。偏見や差別意識
を払拭させることもある。黒人差別に凝り固まっていた白人が「L・B・ジョー
ンズの解放」を見て、描かれた白人たちの醜さに己を顧み反省することがある
かもしれない。映画で世界は変えられる。ワイラーはそう確信していたに違い
ない。赤狩りについても黒人差別についても声高な主張はしなかったが、映画
の力を信じ、己の信じる映画を作り続けたのだ。

【そごう・すすむ】sogo@mbf.nifty.com < http://twitter.com/sogo1951 >

原田芳雄さんが亡くなった。告別式での石橋蓮司さんの弔辞が印象に残った。
原田芳雄さんが竜馬を演じた「竜馬暗殺」で、石橋蓮司さんは中岡慎太郎の役
を演じた。通夜の客では俳優座養成所同期の地井武男さんのコメントが忘れら
れない。原田+地井と言えば、日活ニューアクションが甦る。そして、立て続
けに中村とうようさんが亡くなった。膨大なレコードやCDなどのコレクション
を大学に寄贈しての、覚悟の死だったらしい。合掌。

●306回〜446回のコラムをまとめた「映画がなければ生きていけない2007-20
09」が発売になりました。
< http://www.bookdom.net/suiyosha/1400yomim/1447ei2007.html >
●305回までのコラムをまとめた二巻本「映画がなければ生きていけない1999-
2002」「映画がなければ生きていけない2003-2006」が第25回日本冒険小説協
会特別賞「最優秀映画コラム賞」を受賞しました。
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4880651834/dgcrcom-22/ >

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■Otaku ワールドへようこそ![136]
女装対決(!?)超絶美しいヴィジュアル系とセーラー服のおっさん

GrowHair
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20110729140100.html >
───────────────────────────────────
このごろは、セーラー服を着て一人で電車に乗ってお出かけするのもすっかり
平気になってしまった私だが、これはちょっと敷居が高かった。Versaillesの
ライブ。ヴィジュアル系といえば、多くの場合、男性メンバーからなり、超絶
美しく女装してステージに立つミュージシャングループである。おっさんがほ
とんど悪ふざけのノリで、セーラー服を着て出歩くのとは本質的に異なる。そ
れが、なまじ同じ「女装」という言葉で括れちゃうところが気まずさの根源だ。

しかも、メンバーご本人たちからも見られちゃうという特典つきである。どん
な羞恥プレイだ?! Teruさんとのつながりで映像作家の寺嶋真里さんが調達
してくれたチケットは関係者席で、ライブ終了後にロビーでメンバーからの挨
拶があり、握手したり話をしたりできるのである。なんと、寺嶋さんもセーラ
ー服で来た。やはりお家から一人で電車に乗って。こういうのはたぶん女性に
とってのほうが敷居が高かろう。捨て身の攻撃、恐れ入りました。

Versaillesのライブは、ほんとうにほんとうにすばらしかった。視覚的にも音
楽的にも。Versaillesの魅力については、にわかファンの私があれこれ言うよ
りも、由緒正しいファンに語ってもらうのがよく、イタリアのGiulia(ジュリ
ア)さんにコメントをお願いした。

●イタリアで出会ったVersaillesファン

Giuliaさんとは今年の4月3日(日)にイタリアで出会ったばかりである。人形
作家の清水真理さんと映像作家の寺嶋真里さんとともにイタリアを訪れ、
Brescia(ブレーシア)の教会の敷地内にある美術館 "Museo Diocesano di
Brescia" で開かれた日伊文化交流イベント "Il Giappone nel Chiostro" に
参加したとき、Giuliaさんも出展者として参加していた。

中庭を囲む廊下に沿ってテーブルが並べられ、出展者たちは日本の文化や生活
とかかわりのある、ありとあらゆるものを展示していた。清水さんいわく「コ
ミケ状態」。その中で、Giuliaさんはヴィジュアル系のミュージシャングルー
プをテーマに、ポスターやCD、写真集を展示していた。Versaillesのポスター
は中心にどーんと大きく置かれていた。

前の年の9月4日(土)にやはり寺嶋さんがチケットを調達してくれて、私は清
水さんと3人で渋谷C.C.LemonホールでVersaillesのライブを見ている。そのこ
とを言うと、Giuliaさんはすごく驚いていた。

Giuliaさんはヴェネツィアに住んでいる。4月5日(火)にBarbaraさん、
Simonaさん、寺嶋さんと(清水さんは別行動でフィレンツェなどを観光してい
た)ヴェネツィアに行ったとき、Giuliaさんは駅で迎えてくれ、丸一日かけて
われわれを案内してくれた。観光地にありがちなことだけど、人通りの多いと
ころにある店は概して高くてまずいそうで、海のほうへだいぶん歩いたところ
にあるレストランに連れていってくれた。店内の雰囲気よし、窓外の景色よし、
味よし。観光案内は地元の人に限る!

翌4月6日(水)はミラノを観光したのだが、夕方、ドゥオーモ(大聖堂)前の
広場でまた会ってくれた。雅-MIYAVI-のライブを見にいくとのことだった。

今回、Giuliaさんに「Versaillesについて語ってください」とお願いしたとこ
ろ、翌日には英文の原稿を送ってきてくれた。たった一日でこんなに、と思う
くらい存分に語り倒してくれている。Versaillesに対して熱い思いを抱き続け、
深く理解している、すばらしいファンなんだなぁ、というのが伝わってくる。

Giuliaさんは日本語も上手で「ほんとは日本語で書けたらよかったんだけど」
と言っていたが、まだ英語ほどすらすらとは書けないらしい。なので、英文原
稿を全文余さずGrowHairが和訳しました。後ほど。

●会場はゴスやコスがいっぱい──盛り上がるライブ

私もVersaillesにはちょっとした思いがある。2000年ごろ、世紀末的な写真が
撮れないものかとカメラを持って原宿あたりをうろうろしているとき、ヴィジ
ュアル系のバンドのコスをしている女性の集団を見つけ、衝撃を受けた。最初
はゴシックないでたちの異様さに驚いただけだったが、だんだんと美しさが見
えるようになってきたら、もう、撮らずにはいられないという衝動から逃れよ
うがなく、一年以上にわたってほぼ毎週末、そこへ行った。

その中に、LaReine(ラレーヌ)のコスをしている中学生グループがいた。し
ょっちゅう撮らせてもらい、おなじみさんになった。撮るからには深く理解し
たいという思いから、CDを買って聞いたりもした。そのLaReineのボーカルの
Kamijoさんが、いま、Versaillesのボーカルとしてグループを率いている。フ
ァンの人たちを撮っていたら、巡り巡ってご本尊に近づいてきたという不思議
な感慨がある。

今回のライブは7月17日(日)、やはり渋谷C.C.Lemonホールで行われた。めち
ゃめちゃ暑かったが、開場の1時間ほど前に到着したら、会場の前の広場には、
すでに多くの来場者たちが集まっていた。Versaillesのコスをしている人たち
もいるし、ゴシックなファッションの人やロリ服の人もいる。

寺嶋さんと私は、ちょっとしたシタゴコロをもって早めに行ったのである。寺
嶋さんの映像作品『アリスが落ちた穴の中』のフライヤーを手渡しで配布しよ
うという魂胆。そのフライヤーにはVersaillesのギタリストであるTeruさんか
らもレビューがいただけているのが自慢。

イタリアで清水さんが発見した法則というのがあって「寺嶋さんの映像を食い
入るように見ている人たちは、日本もイタリアもファッションが同じだ」とい
うもの。なので、そういうファッションの人に重点的に配る。その作品、すで
に知ってたって人が何人かいた。なんと正鵠を射たマーケティング。

海外からの来場者も多い。フィンランド、デンマーク、ポーランド、アメリカ
などから。デンマークとポーランドから来たという女性二人組にはライブの後
でもちょっとだけ話を聞くことができたが、非常に楽しめたという。今回、日
本に観光に来たメインの目的のひとつがこのライブだったそうで。ヨーロッパ
での公演にも行ったけど、日本でのほうがトークが多かったり、会場に返答を
求めたりと、「遊び」の要素がふんだんに盛り込まれていたという。

ライブは、ものすごく盛り上がった。登場前から会場は総立ちだった。「心得
てる」感じの人が多かった。曲によって、光る薔薇の花を取り出して左右に振
ったり、髪を振り乱して頭を振ったり。スローなテンポの歌や、インストルメ
ンタルの曲を交えたりして変化に富み、視覚的にも音楽的にも、非っ常〜に心
地よい。

ギタリストのHizakiさんのドレス姿が美しい。動きは女性的でしなやかなのだ
が、エネルギーに満ち溢れ、ちょこまかと動いたり回ったりとすばしっこい。
Yukiさんのドラムは、まるで楽々叩いているような安定感で、聞くほうはじっ
としていられず、気持ちよくノレる。

寺嶋さんは、お家からセーラー服を着て出て、一人で電車に乗ってやってきた
そうで、自分で「狂気の沙汰」と言っているが、開演前にはちゃっかりと持っ
てきたゴシックな衣装に着替えていた。

ライブ終了後にロビーで関係者へのあいさつがあり、その後で、寺嶋さんは、
豪華版のDVDをTeruさんに手渡しした。念願だったそうで。そのとき、Kamijo
さんが近づいてきて「僕は貴方の作品の世界観、とても好きなんですよ」と寺
嶋さんに声をかけてくれた。そのときはうまく言葉を返せなかったみたいだけ
ど、ブログには「帰りの電車の中で、自然に涙が出てきました」と書いている。

< http://rose-alice-milky.net/versailles.html > 寺嶋さんのブログ
< https://picasaweb.google.com/Kebayashi/VersaillesLive110717# > 写真

●ところで、おっさんがセーラー服で出歩くと何が起きるか

このときも含め、私はいままでに6回、セーラー服着て電車に乗っている。ま
た、コンビニ、喫茶店、ラーメン屋、回転寿司、カラオケ屋、ヨドバシカメラ
などにも一人で立ち寄ってみた。交番の前を通ったり、自転車でパトロール中
の警官とすれ違ったりもした。で、分かったのだが、何も起きない。人だかり
もできない、騒ぎも起きない、通報もされない、石を投げられもしない、逮捕
もされない、職質もされない。そんな気配さえただよいもしない。

また、電車や人混みで、自分の周辺だけやけに人口密度が低くなる、というこ
ともない。つまり、人々の日常の営みに、なんら影響を及ぼさないのである。
個人個人の自由が最大限に尊重された、成熟した社会。これは女装愛好者には
朗報なのではなかろうか。女装でお出かけしたいけど、人々の反応が恐くて躊
躇していた方、だいじょうぶです、何も起きません。あなたが通りすぎた一瞬
のちには、あたかもそんな事実はなかったかのごとく、かき消されていきます。

ただし、ツイッターではずいぶんつぶやかれる。やっぱ気にはなるわけね。検
索をかけてみて分かったのだが、セーラー服を着たおっさんは、実は毎日のよ
うに日本のどこかに出没している。週末ともなると、同時多発ゲリラの様相で、
あちこちから目撃情報が発せられる。しかし、その情報は、リツイート、リツ
イートで指数関数的にわーっと広まっていくということはなく、ローカルに小
さな波紋を起こすだけで、さっと消えていってしまう。

また、おっさんがセーラー服着て街を歩いた程度ではニュースにもならない。
'09年11月10日の読売新聞の記事にこんなのがあった。「さいたま市JR東浦和
駅近くで8日夜7時前、30〜40歳くらいの小太りの男が髪をツインテールにして
女子用のスクール水着を着て現れ、女子高校生らに「みんなもこんなの着る?」
などと声をかけ、高校生らが交番に連絡するなどの騒ぎが起きた」。よくよく
読んでみると、法に触れたとも逮捕されたとも書いてないので、セーフといえ
ばセーフなのかもしれないけど、だいたいこの辺が、やっていいことの限界の
ようである。

それと、こんな趣味が会社にバレたらクビになるのではないかと心配する向き
もおられるでしょうけど、まあ、会社によるのかもしれませんが、私の場合は
特に隠そうとしてなく、気がついたらなぜかみんな知ってました。今のところ、
特にお咎めはありません。

なので、これ、みなさんにもお薦めです。いいストレス解消になります。細か
い悩みなんか、吹っ飛んじゃいます。足をつるつるに剃って、短いスカートを
履いて歩くと、涼しくて実にいいです。スーパーキュートビズ。普通の格好な
んかつまらなくてできるか、と思えるほど、気分が高揚します。

7月9日(土)には、秋葉原の秋月電子の上にある「コスメイトプラス」でセー
ラー服の夏服をゲットしてきた。店で試着してみて気がついたのだが、白は透
ける。下にランニングシャツを着てるのが丸分かりで、かっちょ悪い。なので、
一緒にブラジャーも購入。翌日、池袋のロサ会館地下の「Live Inn Rosa」で
「国内最大級のGothic & Lolita Under World!!」と銘打った「Alamode Night
39」というイベントがあり、さっそく着て行った。

ブラを着けて外出するのは、このときが初めてだったが、これがまた、いい。
うまく形容できないけど、なんともいえず、いい。ブラを着用する男性を「ブ
ラ男くん」というのだそうだが、増えてるらしい。また、男性用ブラという商
品があり、これがまた売れ行き好調らしい。変な世の中だ。

女装で外出。これから爆発的に流行るポテンシャルがあるように思えてならな
いのだが、気のせいだろうか。今に女装専用車両とかできたりして。これが混
雑する光景というのもあんまり想像したくはないけど。

話がすっかり逸れた。元に戻して、次の段は、Giuliaさんが語ってくれた
Versailles の魅力です。

---------------------------------------------------------------------

◎日本への思いに火をつけてくれた Versaille

私はイタリア人で、名前はGiulia(ジュリア)です。Versaillesは今、私が最
も好きなバンドのひとつです。Versaillesを最初に知ったのは2007年のことで、
私は17歳でした。あのころ、私は日本の音楽にそれほど興味があったわけでは
ないのですが、友人たち(既に日本のヴィジュアル系のファンでした)が私に
いくつか聞かせてくれて、私は一目でVersaillesを好きになってしまいました。

それからというもの、日本への興味はどんどん膨らみ、大学はOriental
Language University(東洋言語大学)に行くことに決め、今は日本語と日本
文化を勉強しています。Versaillesは、私の日本への情熱に火をつけてくれた
発端だったと言えます。

Versaillesについて、まず言えることは、彼らの美的感覚と演出たっぷりの振
る舞いでしょう。それともうひとつあるのは、彼らの音楽の中に見出せる優雅
さと美しい暴力性との対比です。それを受け止めると、彼らの世界観と歌のク
オリティの高さすっかり魅了されてしまうことは避けようがありません。私見
ですが、西洋のメタルバンドとははっきりと一線を画するこれらの要素が、彼
らの由来する音楽世界からさえも傑出していることと相まって、彼らの音楽を
世界中の誰にとっても面白く魅力的なものにしているのだと思います。

最初にVersaillesを見たのは2009年、日本においてでした。Scuber Diveフェ
スティバルのライブでしたが、悲しいことに、ベーシストのJasmine Youさん
が亡くなる数日前でした。ライブはもちろんすばらしかったのですが、私は、
彼を失ったことの悲しみから切り離すことができずにいます。おそらく彼らの
思いはステージに100%投入できず、彼らの友人のほうに向いていたでしょう
けど、それにもかかわらず、演奏はすばらしかったです。

以来、Versaillesは3回見ています。2010年にMontpellierとParisで、それと
数か月前にCava de' Tirreniで。すべてのライブが異なっていて、それぞれ独
自の美しさがありました。演奏のテクニックは毎回いつも驚くべきものがあり、
歌はパワフルで感動しました。

いちばん面白かった公演はMontpellierのときで、技術的な問題によりKamijo
さんがジェスチャーと単語だけで場を盛り上げなくてはならなくなりました。
言語の障壁があったにもかかわらず、公演の一瞬一瞬すべてにおいて私たちを
楽しませてくれるよう、ベストを尽くしてくれました。そして、この障害をも
のともせず、親しみのこもった空気を作り出してくれました。

イタリアでの最初のライブは私にとって特別なものとなりました。Versailles
がついに私たちの国で演奏することができ、イタリアのファンたちに出会う機
会となったからです。彼らがイタリア語で少し話してくれたのも、なんだか不
思議な感じで、楽しかったです。ステージは野外でしたが、エネルギーに満ち
溢れ、情熱的でした。

翌日、サイン会が催され、私は日本語で彼らと話すことができ、初めて握手す
ることができました。感動と興奮のひとときでした。彼らはみんなとても優し
かったです。ファン一人一人にしっかりと意識を向けてくれていたことが印象
的でした。

私の一番好きなメンバーはTeruさんです。とても若くみえてかわいいです。彼
は軽い調子で振る舞うことがあるかもしれないけど、本当は、とても深遠で、
思慮深い人です。Masashiさんも、私には、とてもとても優しい人に思えます。
Amebaからよくメールを彼に送るのですが、彼はいつも「ペタ」(メッセージ
を読んだという印)を残してくれます。そして、サイン会のときには、私を思
い出したと言ってくれました。

彼らにとって、ふさわしい成功がずっと訪れ続けますように!
Giulia

----------------------------------------------------------------------

そして、メールには、もう一言書き添えてある。「あああ、ちょっと書きすぎ
ちゃったみたいですね >_< 」いやいや、たった一日でこれだけ書いてくるっ
て、すごい。しかも、英語ってGiuliaさんにとって外国語だし。好きなことに
ついては語り出すと止まらなくなるって、よくあることだけど、Versailles
への強い思いがほとばしり出ていて、感動した。

Giuliaさんの例は、決して特異ではない。ヨーロッパ中に、こういうファンが
いーっぱいいるのである。日本は、長いこと鎖国している間に西洋の文明の進
歩から取り残されてしまったという過去があり、もしかすると、今でも遅れを
取り戻さなきゃという対抗意識が強いのかもしれない。それで、スポーツの国
際試合で強敵を倒したとか、学術で大きな賞をとったというニュースに過剰な
ほど大喜びするのだろうか。

それもいいんだけど、海外には、日本のポップな文化が大好きで、熱い思いを
向けてくれている人がすごい勢いで増えているのである。そのことこそ、大い
に喜ばなきゃ。いつも言ってるんだけど、手を振ってきたら、こっちからも振
り返そうよ。たとえば、駅どで困っている外国人を見かけたら、難しい英語は
要らない、"Need help?" これだけでいいんだからちょっと声をかけてみよう。

世界一の嫌われ国家であるアメリカの同盟国である日本が、(おそらく)世界
一の愛され国家になりつつある。これは奇跡に近い、すばらしい財産なんだよ、
ってせつに思う。

【GrowHair】GrowHair@yahoo.co.jp

セーラー服カメコ。アート系の叢書「TH Series (トーキングヘッズ叢書)」
(アトリエサード)のNo.47は「人間モドキ─半分人間の解剖学」特集。たま
たまだが、この号には、撮影させてもらう機会の多い人形作家さんが3人登場
する。

清水真理さんの書いたイタリアでの展示のレポートが、7ページにわたって掲
載されている。林美登利さんの個展の模様が3ページにわたって、沙月樹京氏
によってレビューされている。美登利さんは、まだ無名のころからずっと作品
を撮らせてもらっているが、6月にパラボリカ・ビスの企画展として初の個展
を開いたことで、はっきりと人形作家のトップ集団の仲間入りを果たしたと言
える。

巻頭カラーページでは、吉村眸さんが紹介されている。吉村さんは東京にある
国立大学の修士課程を修了し、研究生として人形や彫刻を制作している。人形
作家10人と私のグループ展に来てくれたことで知り合った。ありがたいことに、
この号では私の写真が何枚か使われている。表紙はイタリアで撮った清水さん
の人形。巻頭カラーページでも、清水さん、美登利さん、吉村さんの人形写真
を何点か載せていただいている。

さらに清水さんのレポートの中では、私が被写体のセーラー服写真「ヴェニス
に死すごっこ」も。あまりにラッキーすぎて怖くなったので、バランスをとる
ために震災の義援金を追加で振り込みましたけど、動機が不純ですかね?

「30歳以上の人がセーラー服で来店するとラーメンがタダ」という企画を掲げ
るラーメン屋が鶴見にある。6月11日(土)に行ってきた。2ヶ月近く掲げてい
たが、実行したのは私が一番乗りだそうで。ありがたく一杯ごちそうになって
きた。翌週、店に写真を置きに行ってみると、先客がいて、その方が2番手だ
った。セーラー服のおじさんが2人、並んで座り、ラーメンをすする。

同じ日、3番手さんから連絡が来て、写真をブログに掲載させてほしいとのこ
と。放送作家さん。女性。そのブログ、アラフォー女の心の葛藤が表れてて笑
える。世の隠れ女装愛好家の方、思い切ってセーラー服で外出するときは、自
分への口実として、このお店を目指すとよいかも。地元では人気店で、けっこ
う美味い。おっちゃんは69歳、お店は8月で丸36年になるという。店の名前は
ないが通称「ラーメンショップ高梨」。京急鶴見市場駅が最寄り。
< https://picasaweb.google.com/Kebayashi/Takanashi110611# >
GrowHair の写真
< http://ameblo.jp/jyoshi-kosuplay/entry-10928345941.html#main >
3番手、てしこさんのブログ
< http://r.tabelog.com/kanagawa/A1402/A140210/14036225/ > お店の情報

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■編集後記(7/29)

◎デジクリは明日から8月21日(日)まで、23日間の夏季メンテナンス休暇に
突入します。猛暑の折(ここしばらく涼しいが)みなさまもご自愛ください。

・小松左京さん逝く。80歳。わたしはこの作家の膨大な数の作品の、いったい
何%を読んだことだろうか。かなりの読み手であると自負はあるが、よくわか
らない。大手出版社で全集が編まれなかったのは、著作物のあまりの多さが理
由だと思う。10年以上前、BookParkがオンデマンドで全集を細々と出版してい
た(続行中)のを取材したことがあるが、「小松左京全集完全版」という書籍
が城西国際大学出版会から出版されているとは知らなかった。500部限定のこ
れもオンデマンド印刷である。欲しい。しかし全55巻(予定)で約25万円とは
手が出せるはずがない。小松左京全集は、やはり電子書籍向きである。どこか
らか出版してほしい。それまでには端末買いますから。この夏休み、書庫にあ
る小松左京本を整理し、まとめ読みを決意。/セミ。27日現在、江東区の猿江
公園ではまったく鳴いていないという情報あり。戸田市内で、一昨日初めてニ
イニイゼミの声をかすかに聞く。昨日、ミンミンゼミとニイニイゼミ、それぞ
れ単独で鳴いているのを聞く。これでいいのか、日本の夏。    (柴田)
< http://www.iocorp.co.jp/ > 株式会社イオ・小松左京事務

・黄昏はきつかった覚えが。家族への贖罪、女への大きな愛なんでしょうか。
人生への諦めなんでしょうか。そんなプライドはいらん(哀)。/GrowHairさ
ん、顔が変態じゃないんだよなぁ。教授や研究家の顔。化粧をしているわけじ
ゃないし、何か意味あってやっていると思ってしまう。東京だし。劇団の人な
のかなぁとか。密度が減らないのはそのせいなのでは? 顔が怪しかったら涼
しくなると思う。にしてもメンドクサイことをやってはるなぁ。書かれてある
諸々に加え、プリーツのアイロンがけがメンドクサイ。もちろんハンカチだっ
てピシッとかかっていて、裁縫セットや救急セット、無色リップクリームもい
るのだ。いまみたいに、いざとなれば百貨店やコンビ二行こう、なんてのはナ
シだ。時間割に合わせて持ち物入れ替えたり。リボンは校則で禁止されている
から、黒か茶のゴムよ。スカートの丈は膝下10cmよ。胸からマスコットが見え
ているじゃないの、そこは生徒手帳を入れるところよ。あー、懐かしくなって
きた。あれはあれで楽しかったが、男性のように化粧せずに外出できたらと思
ってしまう私にはもう無理だ。時々するおしゃれは楽しい。が、とってもメン
ドクサイ。パワーがない。まずは体型改善に体力増強だ。規則正しい生活だ。
/Toodledoのサイト。デザイン良くなってる! 普段はiPhoneからしか使って
いなかったので、いつから良くなったのかは不明。ここのローカライズやりた
いなぁと思ったこともありました。/昨日の続きを入れるスペースがなくなっ
た。続きは休み明けに。みなさま、毎日暑いですが、乗り切りましょう!  
                            (hammer.mule)
< http://www.toodledo.com/ >  Toodledo

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
発行   デジタルクリエイターズ < http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/ >

編集長     柴田忠男 < mailto:shibata@dgcr.com >
デスク     濱村和恵 < mailto:zacke@days-i.com >
アソシエーツ  神田敏晶 < mailto:kanda@knn.com >

情報提供・投稿・プレスリリース・記事・コラムはこちらまで
                        < mailto:info@dgcr.com >
登録・解除・変更・FAQはこちら < http://www.dgcr.com/regist/index.html >
広告の御相談はこちらまで    < mailto:info@dgcr.com >

★等幅フォントでご覧ください。
★【日刊デジタルクリエイターズ】は無料です。
お友達にも是非お奨め下さい (^_^)/
★日刊デジクリは、まぐまぐ< http://mag2.com/ >、
melma!< http://melma.com/ >、
めろんぱん< http://www.melonpan.net/ >
のシステムを利用して配信しています。配信システムの都合上、
お届け時刻が遅くなることがあります。ご了承下さい。

★姉妹誌「写真を楽しむ生活」もよろしく! < http://photo.dgcr.com/ >

Copyright(C), 1998-2011 デジタルクリエイターズ
   許可なく転載することを禁じます。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
◎クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】
のバックナンバー・配信停止はこちら
http://archive.mag2.com/0000005757/index.html


━【まぐまぐ!からのお知らせ】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
100万通を1時間、1通あたり0.08円より。
日本一はやくて、日本一安い。まぐまぐの業務用メール配信!
お問い合わせは info@mag2.com までどうぞ!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
▽こちらもいかが?ビジネス・キャリアジャンルの注目メルマガ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
●お金儲け情報を厳格批評!
http://www.mag2.com/w/0000207752.html 日刊
世間に蔓延る悪辣な即金商材・不労所得商材を、不肖清水惣一が、商材情報商材
購入者の意見を交え、日刊でお送り致します。

★発行者webもご覧ください↓
http://hotate-gai.com/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【まぐまぐ!】━

0 件のコメント:

コメントを投稿